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ゼンハイザーグループは、NAB 2026において、放送事業者、スタジオ、ストリーミングプラットフォーム、クリエイターに向けた先進的な技術を、セントラルホールのブースNo.4931で紹介している。ブースは「Reliable Integration」「Connection」「Future & Innovation」の3つのエリアに分かれており、来場者はワークフローに沿って体験できる構成となっている。

Sennheiser、Neumann、Mergingのソリューションによるコンテンツの収録・拡張・モニタリングから始まり、統合・接続のエリアでは、パートナーであるSoundBaseが、ブランドに依存しないRFプランニングおよび制御アプリの新機能を紹介している。そして最後に、「Future & Innovation」エリアでは、AMBEO Zone、Specteraの展示、Spectera Labが展開されている。

また、ゼンハイザーのジョー・シァウデリ氏による「1435〜1525MHz帯における大規模イベント向けワイヤレスマイク運用」をテーマとした講演も予定されており、4月18日(土)14:10〜14:30にRoom N25にて開催される。

NAB 2026におけるSpecteraの最新アップデート・新機能紹介

最新のSpecteraファームウェアアップデート v1.3.0により、Specteraベースステーション向けのOpenAPI仕様17.0が公開された。Spectera APIは、より高度な統合、新たなワークフロー、そしてパートナー主導のイノベーションを実現する。これにより、安全なHTTPSベースのSSCv2インターフェースを通じてリモートアクセスし、自身の制御システムやモニタリングダッシュボード、制作ワークフローへSpecteraを組み込むことが可能になる。

Specteraのシニアプロダクトマネージャーであるベネディクト・オイエン氏は、次のようにコメントしている。

オイエン氏:APIへのアクセスは"あれば便利"なものではなく、ユーザー環境やワークフローの中でエコシステムを発展させるために不可欠な要素です。独自のワークフローを構築したいオペレーター、自社デバイスとの統合を目指すメーカー、さらにはオーディオプラグインやソフトウェアを開発するプログラマーにとって、Specteraの可能性を大きく広げるものになります。

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Spectera APIは、より高度なシステム統合、新たなワークフローの構築、​そしてパートナー主導によるイノベーションを可能にする

ブースでは、Spectera APIによるカスタマイズの可能性が、Bitfocus CompanionおよびButtonsアプリを用いてデモ展示されている。ライブやツアー環境において、これらのアプリをDAWコントロールと連携させることで、アクティブなSpecteraベルトパックを通じた楽器切り替えやエンジニアモードの操作が可能になる。ユーザーはストリームデッキやタッチスクリーン、DAWソフトウェアを通じてSpecteraを操作・制御・モニタリングできる。

Specteraをレンタルできるパートナーを探す「Spectera Rental Finder」

大規模な放送制作で追加のSpecteraユニットが必要となった際には、「Spectera Rental Finder」により、スクロール可能な世界地図を通じて世界中のSpecteraシステムを探すことができる。同ツールはゼンハイザーのウェブサイト上で利用可能で、プロフェッショナルなレンタルパートナーと顧客をつなぐものだとしている。

Specteraソフトウェアの構成について

ゼンハイザーは、Specteraにおけるソフトウェア構成の変更も発表した。

オイエン氏:ユーザーコミュニティからの多くのフィードバックにより、LinkDeskよりもSpectera WebUIへの明確な支持があること、また高度なマルチシステム・マルチベンダー管理においてSoundBaseへの関心が高いことがわかりました。

これを受けて、LinkDeskの開発はバージョン1.6.0以降は継続しない方針とし、今後はSoundBaseにおいてSpecteraの統合を強化し、将来的にLinkDeskのすべての機能をカバーする予定だ。これにより、SoundBaseはナローバンドおよびワイドバンドのワイヤレス双方を統合管理できる、初のブランド非依存アプリケーションとなる。一方で、Spectera WebUIは引き続き各ベースステーションの操作・管理を担う中核ツールとして位置付けられる。

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Spectera WebUIは、Specteraのオンデバイスソフトウェアとして位置付けられ、​今後はブランドに依存しないSoundBaseアプリケーションが推奨されるオンプレミスソフトウェアとなる

台湾・ブラジルでのライセンス対応、中国本土ではトライアルライセンスを提供

Specteraは新たに、台湾(LIC ZONE 15)、中国本土(トライアル、LIC ZONE 17)、ブラジル(LIC ZONE 16)におけるアクティベーションライセンスの提供を開始した。ブラジルについては、Anatel認証も取得済みだという。

さらに、LIC ZONE 1(EU、EFTA、英国、トルコ)における1.4GHz帯の使用可能周波数も拡張され、従来の1350〜1400MHzに加え、1492〜1525MHzが新たに含まれた。

1435〜1525MHz帯における大規模イベント向けワイヤレスマイク運用

Specteraのファームウェアバージョンv1.3.0では、米国における1.4GHzシステム向けのAFTRCC eキー管理にも対応するエコシステムが整備された。

UHF-TV帯の混雑に代わる有効な選択肢として1.4GHz帯に関心のあるプロユーザーに向け、専門家のジョー・シァウデリ氏による講演が、4月18日(土)14:10〜14:30にN256で開催される。スーパーボウル、ワールドシリーズ、アカデミー賞といった大規模イベントにおける運用事例のほか、規制、申請条件(FCC Part 74ライセンスの保有が必要)、運用手続きについても解説する。

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4月18日、ジョー・シァウデリ氏が、米国における放送イベントを支えるための​1.4GHz帯の活用方法について講演を行う(14:10~14:30、N256)

AMBEO Zoneにおける放送およびOTT向けイマーシブワークフロー

AMBEO Zoneでは、放送事業者、OTTプラットフォーム、メディアクリエイターが、先進的なイマーシブオーディオ技術によってオーディエンスエンゲージメントをどのように高められるかを体験できる。これらの技術は、リアルタイム放送およびファイルベースのVOD制作の双方において、非イマーシブ環境で再生されるコンテンツの価値を向上させる。

AMBEOマネージャーであるカイ・デトルフセン氏は次のようにコメントしている。

デトルフセン氏:現在、コンテンツの再生はモバイル環境においてステレオデバイスで行われることがほとんどです。当社の柔軟なイマーシブワークフローは、クリエイティブな意図を維持しながら、安定した高品質な音響体験を提供し、視聴者との感情的なつながりを強化します。

展示では、ファイルベースの「AMBEO 2チャンネル・スペーシャルオーディオレンダラー」が紹介されている。これはVODやアーカイブコンテンツ向けの効率的なポストプロダクションソリューションで、オンプレミスおよびクラウドの両環境で利用可能。このワークフローにより、イマーシブミックスを自動的に魅力的なAMBEO 2チャンネル体験へ変換でき、必要に応じてエンジニアが各種パラメータへアクセスし調整することも可能だ。

同様のコンセプトに基づき、リアルタイム対応の「AMBEO 2チャンネル・スペーシャルオーディオ・ブロードキャストレンダラー」も展示されている。このレンダラーは、イマーシブおよびサラウンド音声をリアルタイムで動的なAMBEO 2.0ストリームへエンコードし、リスナー側の環境変更を必要とせずに、即座にイマーシブな音響体験を提供する。NABでは、このレンダラーがNeumann MT 48のようなコンパクトなプロフェッショナル機器上で動作し、AES67、ST 2110、Danteといった既存の音声ネットワーク環境へ容易に統合できる様子が紹介されている。

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リアルタイム対応のAMBEO 2チャンネル・スペーシャルオーディオ・ブロードキャストレンダラー(ここではNeumann MT 48上で動作)は、一般的なステレオ再生環境でも臨場感あるAMBEO 2.0のライブ体験を実現

AMBEO ZoneではNeumannの「VIS」visionOSアプリケーションも展示されている。同アプリは、Apple Vision Proのような空間コンピューティングデバイスを用いて、イマーシブコンテンツの制作および調整を実際の再生環境に即して行う方法を紹介するものだ。

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Neumannの「VIS(Virtual Immersive Studio)」によるイマーシブオーディオミキシング

空間上でミックス要素を可視化することで、音の配置、奥行き、動きに対する直感的な理解が可能となり、オーディオプロフェッショナルのクリエイティブ判断を効率化するとともに、試行錯誤のサイクルを加速させるとしている。