Blackmagic Designは、DaVinci Resolve 21を発表した。今回のアップデートでは、カラリストや写真家がカラーツールをスチル写真に適用できる新しい「フォトページ」が追加された。
その他の更新には、コンテンツ検索を支援する「IntelliSearch」や焦点調整用の「CineFocus」などのAIツール、顔補正用ツールが含まれる。また、「Krokodove」ツールセットによる70種類以上のグラフィック追加、Fairlightフォルダーによるオーディオ管理の簡素化、キーフレーミングやMultiMasterトリムパスの改善なども実施された。
DaVinci Resolve 21パブリックベータは、同社ウェブサイトからダウンロード可能となっている。また、本製品はNAB 2026のBlackmagic Designブース(#N2502)で展示される。
スチル写真編集を統合する「フォトページ」の新設
新設されたフォトページにより、スチル写真の編集がポストプロダクションワークフローに統合された。ユーザーは写真を読み込んで管理し、カラーページと連携してノードベースのグレーディングを適用できる。これにより、映像制作で培われたカラーグレーディングツールを静止画でも活用可能となった。
プライマリーカラーコレクション、カーブ、クオリファイアー、Power Window、ノードエディターを使用し、プロジェクト全体のカラーを精密に調整できる。DaVinciカラーパネルを併用することで、複数のパラメーターを同時に制御することも可能だ。
スチル写真においてもノードベースのワークフローが利用可能となり、ノードを直列または並列で追加して複雑なグレードを構築できる。イメージの複数箇所に異なる補正を同時に適用したり、共有ノードを用いて特定のルックを写真アルバム全体に一括適用したりすることもできる。
フォトページでは、元のソース解像度およびアスペクト比を維持したままリフレーミングやクロッピングが行える。すべての調整において元のファイルの品質が保持されるため、画質を損なうことなく構図を調整できる設計となっている。
LightBoxビューでは、グレーディングが適用されたアルバム全体を一覧表示できる。任意の画像を選択してグレーディングを行うと、その結果がコレクション全体にリアルタイムで反映される。グレーディングの有無や星評価、フラグ、クリップカラーによる絞り込み機能も備えている。
アルバム機能により、コレクションの作成・管理をソフトウェア内で直接実行できる。撮影日やカメラモデルなど任意の条件でアルバムを作成でき、タグ付けやRAW設定の一括処理による効率化が図られている。アルバムは各ページにタイムラインとして表示され、容易にアクセスできる。
カメラコントロール機能では、SonyまたはCanonのカメラを直接テザリングし、画像をライブでキャプチャーできる。ISO、露出、ホワイトバランスなどの設定を調整し、ライブビューでモニタリングしながら、キャプチャープリセットを保存して一貫性のあるルックで撮影することが可能だ。
ResolveFXおよびOpenFXプラグインはフォトページでもサポートされており、エフェクトやグラフィック、変形、DCTLの適用が可能。LUTを使用したルックの適用に加え、LUTを生成・保存してカメラ内やモニタリング時に使用することもできる。
AIツールへのアクセスも統合されており、「AI Magic Mask」を使用すればワンクリックで人物やオブジェクトを選択し、個別のカラーグレーディングが行える。また、新開発の「AI UltraSharpen」を用いて、低解像度イメージのアップスケールを実行することも可能となっている。
フォトページはBlackmagic Cloudを使用したマルチユーザー・コラボレーションに対応している。アルバムのコンテンツやメタデータ、タグ、グレード、エフェクトを、世界各地のスタッフ間でリアルタイムに共有・編集できるワークフローが構築されている。
AIによる検索・音声生成・映像補正機能の拡充
「AI IntelliSearch」は、人物やコンテンツの瞬時な検索を可能にする。メディアを分析し、特定のオブジェクトや会話内のキーワード、個々の顔を検索できる。結果はクリップとしてメディアプールに表示され、管理および編集作業の迅速化に寄与する。
AI音声ジェネレーターは、Blackmagicのボイスモデルまたは独自の音声サンプルを使用してテキストから音声を生成する。DaVinci AI Neural Engineにより、10秒のクリップから独自の音声を生成でき、速度やピッチ、抑揚を調整してナレーションなどの複数バージョンを作成できる。
「AI CineFocus」では、シーン内の特定のエリアに焦点を合わせ、アパーチャーや焦点距離を調整して被写界深度を変更できる。アパーチャー形状の選択やレンズ効果の追加も可能で、キーフレーム制御によるラックフォーカス機能も備えている。
AIフェイス年齢変換ツールは、顔を解析してしわや顔の丸みなどの特徴を調整し、被写体の年齢を変更する。AIフェイス形状調整では、動く被写体の目、鼻、口、眉、顔全体の形状を個別に調整でき、トラッキング機能により動的な補正が可能となっている。
AIシミ除去ツールは、肌の質感を維持しながら、色むらや毛穴などの気になる部分を補正する。強度スライダーで適用量を微調整できる。また、AIスレートIDはカチンコの情報を自動検出し、暗い映像やピンボケの映像からもメタデータをインテリジェントに抽出する。
シャープニングツールも強化され、AI UltraSharpenを適用することで、低解像度やピントのズレがある映像を鮮明に補正できる。AIモーションブラー除去は、ビデオコンテンツから不要なブレを低減し、スローモーションやフリーズフレームの品質を高める効果がある。
エディット・Fusionページにおける編集効率の向上
キーフレーム機能では、新しいイーズアニメーション(ループ/ピンポン/相対モード)が追加され、複数クリップの同時調整に対応した。カーブエディターのズームモードや4ポイントのベジェイージングにより、複雑なタイミング調整の利便性が向上している。
カットページとエディットページにおいて、Fusionエフェクトを直接調整できるようになった。エディットページを離れることなくテキストやトランジション、モーショングラフィックスを編集でき、より高度なVFXが必要な場合はワンクリックでFusionページへ移行できる。
OGraf HTMLグラフィックとLottieアニメーションにネイティブ対応し、.jsonおよび.lottieファイルを直接メディアプールで使用できる。アルファチャンネルも認識される。また、多言語スペルチェックや専用フォントブラウザ、文字単位のスタイリング機能も追加された。
カットページにはスマートビンや新規ビン作成ボタンが追加され、規則に基づいたメディアの絞り込みが容易になった。MultiMasterトリムマネージャーでは、1つのタイムラインから複数のHDR/SDR納品データを生成し、一括レンダリングすることが可能となっている。
Fusion・Fairlightの機能強化と制作管理の効率化
「Magic Mask」パレットには「レンダリングして置き換え」機能が追加され、マスクをキャッシュすることで処理負荷を軽減し、リアルタイムでの作業継続を可能にした。また、レイヤーリストノードグラフにより、ノードの管理や操作の視認性が向上している。
Fusionには、合成ツールライブラリ「Krokodove」が搭載された。マクロエディターもアップデートされ、インターフェースの改善によりカスタムツールやテンプレートの作成が直感的に行える。新対応のインスペクタビューで、マクロの公開設定も迅速に行える。
Fairlightのアニメーター・モディファイアーは、オーディオ分析に基づいた自動アニメーションを可能にする。また、USDツールセットがHydra 2.0 APIを含む最新版にアップデートされ、VFXアーティスト向けの機能が強化された。
オーディオトラックをフォルダーに割り当てて折り畳む機能が追加され、タイムラインのスペースを効率的に管理できるようになった。Apple Immersiveイメージ処理では、視線に合わせて解像度を調整するフォービエイテッドレンダリングをサポートし、再生性能が向上している。
イマーシブワークフローへの対応とメディア管理の改善
DaVinci Resolve 21は包括的なイマーシブワークフローをサポートし、Meta QuestやYouTube VR向けの配信フォーマット制作が可能。Panomap回転による向きの調整や、ILPDリターゲティングデータの適用など、高度な360°メディアの処理にも対応している。
Resolve FXの新しいピクチャー・イン・ピクチャー機能では、フローティングフレームの配置やサイズ調整が容易に行える。また、IntelliScriptが台本フォーマットに対応し、音声と台本を比較してシーンのカットを自動生成する機能も追加された。
メディアプールの管理機能として、5段階の星評価や「グッドテイク」などのタグ付けパラメーターが追加された。これにより、大量のクリップから優れたテイクを迅速に抽出できるようになり、メディア管理の効率が向上している。
Blackmagic DesignのCEOであるグラント・ペティ氏は、今回の発表について次のように述べている。
ペティ氏: DaVinci Resolve 21の新しいフォトページは、ハリウッド最先端のカラーツールを、初めてスチル写真の編集に導入したものです。プロのカラリストや写真家たちが、DaVinciカラーツールセットをフル活用できるようになり、レイヤーベースの手法をはるかに凌駕するノードベースのワークフローを使用して、複雑なグレードを構築できます。また、DaVinci AIツール、ResolveFX、FusionFXをすべて使用したり、世界規模のコラボレーションもリアルタイムで行えます。これらのツールによって、創造性が大きく広がっていくのを見るのが楽しみです。