キヤノンはリモートカメラ向けコントローラー「RC-IP300」を発表した。発売は2026年6月下旬を予定する。価格はオープンだが、キヤノンオンラインショップの参考価格は税抜32万円。

本製品は、従来のRC-IP100とRC-IP1000の中間に位置するモデルである。

左からRC-IP100、RC-IP300、RC-IP1000

IPによるカメラ映像表示に対応した高機能な3.5インチタッチパネルを搭載するほか、フォーカス制御やクロップ制御、アドオンアプリケーション(Add-On)制御に対応する。さらに、サムネイルによる確認や物理ボタンでの登録・呼び出しが可能なカメラプリセット制御を備える。

加えて、ネットワーク機能とカメラ制御機能を統合し、PCレスでの運用を実現する点も特徴である。PTZ操作やUserボタンはカスタマイズに対応しており、運用環境に応じた柔軟な操作が可能だ。筐体は小型軽量で、設置性にも配慮された設計となっている。

価格帯はRC-IP100に近い一方で、機能面では上位機種であるRC-IP1000の要素を多く取り入れている点が特徴である。機能・コスト・サイズのバランスを重視した構成である。

従来機種の課題として、RC-IP100は映像確認ができず直感的操作に制限があり、RC-IP1000は高機能であるもののコストや設置性に課題があった。RC-IP300はこれらの課題を踏まえ、実用的なバランスを重視した製品となる。

項目 RC-IP1000 RC-IP300 RC-IP100
サイズ 約342×145×245mm 約255×94×180mm 約350×110×182mm
カメラPTZ操作
IP映像確認 ×
カメラ設定制御
タッチAF ×
プリセット制御
ネットワーク設定
画質調整
映像入出力IF ○(SDI IN/OUT、HDMI OUT) × ×
カラーマッチアプリ連携 ○(SDIから静止画取り込み) × ×
PoE ○(PoE+) ○(PoE) ×
どんな人におすすめ より大きなモニターでコントロールしたい!
PTZ + 映像確認 + 設定制御 + カラーマッチを行いたい!
映像確認をコントローラーで行いたい!
省スペースでコントロールしたい!
映像確認は別モニターで十分!
PTZ操作は快適に行いたい!
安いコントローラーで台数を揃えたい!
GPIO等を用いてスイッチャーと直接接続することも可能である。電源はPoE給電とDC 12V(ACアダプター)入力の両方に対応する。LANケーブル1本で給電・制御・映像配信を完結できるPoE運用のほか、同梱のACアダプターを用いた給電にも対応しており、設置環境に合わせた電源確保が可能だ

映像連携による操作性向上

本製品の主な特徴は、操作性と利便性の両立である。まず、PTZカメラ操作においては、コントローラー上でカメラ映像を直接確認しながら操作できる点が挙げられる。従来はモニターやスイッチャーが必要だったが、本製品ではLAN接続したカメラ映像を本体上で確認可能となる。単画面表示に加え、2×2や3×3のマルチ表示にも対応し、複数カメラの同時監視と操作が可能である。

RC-IP300の最も大きな特徴のひとつは、IP映像の表示に対応している点である。写真は4画面表示の例
3×3にも対応する

さらに、オートフォーカスやタッチフォーカス、自動追尾、クロップ設定などの各種機能もコントローラー上から操作できる。IP映像と連携した制御により、撮影中の細かな調整を一元的に行える構成となる。

オートフォーカスにも当然対応しており、この点は比較的珍しい特徴であるといえる。コントローラー上でカメラが捉えている映像を確認しながら操作できる点も特長である

プリセット・設定管理と運用効率化

プリセット機能にも対応し、登録した画角をサムネイルで確認しながら呼び出しが可能である。物理ボタンによる操作や長押しによる登録にも対応し、操作ミスの低減に寄与する。また、複数台のカメラに対して同時にプリセットを適用するマルチプリセット機能も備える。

例えばプリセットの登録にも対応している。あらかじめ登録した画角は、ボタン操作によって瞬時に切り替えることが可能。また、プリセットにはサムネイル表示機能も備えている

PCレスでのカメラ設定機能も本製品の特徴である。従来はPCが必要だった初期設定やカメラ登録、ネットワーク設定などをコントローラー単体で実行できる。同一ネットワーク上のカメラ検索や初期設定も可能であり、設置時の作業負荷を軽減する。

従来はカメラの初期設定や各種パラメーターの設定にパソコンが必要であった。特に初期設定に関する部分は、PCに依存する割合が大きい領域であった。RC-IP300は、本体の画面表示を用いてこれらの設定を行うことが可能

さらに、複数台のカメラに対して設定を一括適用する機能や、特定設定のみをコピーする機能にも対応する。USBメモリを用いたバックアップや設定の復元にも対応しており、機材管理や運用効率の向上に寄与する。

カスタマイズ性と拡張性

カスタマイズ機能としては、最大12個のUserボタンに任意機能を割り当て可能である。物理ボタンとタッチパネルの両方から操作でき、用途に応じた操作体系を構築できる。また、ジョイスティックやズームロッカーの感度や応答特性も調整可能であり、操作感の最適化が図られている。

外部機器との連携にも対応し、Stream Deckなどを利用した操作拡張も可能である。これにより、運用環境に応じた柔軟な操作系を構築できる。

Stream Deckと統合することで、カスタマイズ可能で高速なアクセス制御を実現可能

ワークフロー統合とラインアップ

RC-IP300は、設置から設定、撮影、運用までの一連のワークフローを1台で完結させることを目的とした製品である。従来必要だった複数機器を統合し、効率的なカメラ運用を実現する。コンパクトな筐体ながら上位機種に近い機能を備え、用途に応じた選択肢として位置付けられる。

同社はRC-IP300に加え、より高度な操作性を求める場合にはRC-IP1000も選択肢として提示しており、用途に応じたラインアップを展開している。