上段左:「プチ フォトグラフ」 1841年 銀板/フランス、上段右:「トロピカル リリー」 1931年 乾板/日本
中・縦:銀板写真、135フィルム、2インチフロッピーディスク
下段左:「ポラロイドSX-70 ランドカメラ」 1972年 インスタント/アメリカ 下段右:「シグマ BF」 2025年 デジタル・内蔵メモリー/日本
日本カメラ博物館(館長 櫻井龍子)では、2026年6月30日(火)から10月18日(日)まで、特別展「カメラと写真のしくみと歴史」を開催する。
カメラのしくみは、フィルムやイメージセンサーなどの感光材料の進化と密接に関わりながら発展してきた。それに伴い新たな写真表現の可能性も広がり、記録や芸術としてはもちろんのこと、コミュニケーションツールとしても活用されるなど、文化として成熟を遂げ広く認知されている。
今回の企画は、感光材料とカメラ技術のかかわりを明らかにしながら、その発達史をたどる特別展だ。
写真の誕生とカメラの発展
絵画のスケッチに用いられた器具でありカメラの原点となった「カメラ・オブスクラ」から、1839年フランスで発表された最初の実用的写真術「ダゲレオタイプ(銀板写真)」と世界初の市販カメラ「ジルー・ダゲレオタイプカメラ」、1888年にロールフィルム用カメラとして登場し写真の大衆化に貢献した「ザ・コダック」、映画用35ミリフィルムを転用し精密化と機動力を高め、以後のカメラの方向性をかたちづけた1925年誕生の「ライカI型」など、19世紀の写真術誕生から20世紀前半の写真とカメラの発展を紹介する。
写真とカメラの進化と多様化
ファインダーと撮影レンズの視差を克服し1950-60年代に発達した「ニコンF」をはじめとする35ミリ一眼レフ、インスタント写真の実用性を高め現代の「チェキ」にも繋がる方式を発明した1972年登場の「ポラロイドSX-70ランドカメラ」、「ハッセルブラッド500C」に代表される中判カメラによる画質の精緻さ、そのほか水中カメラや航空カメラなど、私たちの視覚世界を広げることに貢献したカメラの数々を紹介する。
デジタル化から現在まで
液晶モニターによるデジタルならではの撮影スタイルを確立し普及にも貢献した1995年登場の「カシオQV-10」、コンパクト機や一眼レフのデジタル化と再編、そしてミラーレスカメラ登場による動画機能やAI活用などのさらなる進化、一方で趣味性に特化したデザインや機能など、カメラの現在地を紹介する。
写真とカメラの誕生から今日までを実物資料でたどることができ、歴史を基礎から学びたい方にも適した企画だ。
展示予定資料
カメラ・オブスクラ
レンズを通して結像した映像をスケッチする光学器具。カメラの原点となった。
- 「カメラ・オブスクラ」1790年頃:製造者不詳 反射式の小型カメラ・オブスクラ。本体は約100×164×193ミリ(約10×16.4×19.3cm)で携帯可能。
銀板(ダゲレオタイプ)
1839年フランスで発表された初の実用的な写真術。原板自体を鑑賞し複製はできない。
- 「プチフォトグラフ」 1841年:ヴィンセント&シャルル・シュバリエ(フランス) 約80×105ミリ(約8×10.5cm)の画面を撮影するダゲレオタイプカメラ。
湿板
1851年発表。ガラス板に薬品を塗布し湿ったうちに撮影する写真術。原板ネガから印画紙に複製可能。
- 「フォトグラフ・ド・ポシュ」1875年:デュブロニ(フランス) 撮影後に上部から薬品を投入しカメラ内現像を行う湿板用カメラ。
乾板
1871年発表。ガラス板を支持体として、乾いた状態で保管と撮影が可能。
- 「トロピカル リリー」1931年 小西六本店(現コニカミノルタ/日本):1930年発売の「リリー」を高温多湿地域向けのトロピカル仕様とした機種。
ロールフィルム
支持体に当初は紙、のちにポリエステルなどを使用し広く普及した感光材料。
- 「ザ・コダック」1888年 イーストマン・コダック(アメリカ):紙ベースの100枚撮りロールフィルムを内蔵。撮影後はカメラごと現像所に預けるとプリントと共にフィルムを再装填して返却された。
インスタント
撮影後すぐに鑑賞可能。1947年発表、翌年初の引きはがし式のポラロイドフィルムカメラが発売された。
- 「ポラロイド SX-70 ランドカメラ」1972年 ポラロイド(アメリカ):撮影後にプリントがカメラから自動的に排出されて内部で現像される。現在の「チェキ」にもつながる自己現像方式を採用。
特殊用途
水中や航空、体内など特殊用途専用のカメラも多く製造された。
- 水中カメラ「カリプソ」1960年 スピロテクニーク(フランス):水深50メートルの耐水性を備える。技術提携により1963年にニコンから「ニコノス」として発売された。
- 航空カメラ「KE-28B」製造年不詳 J.A.マウラー(アメリカ):70ミリフィルム使用の航空カメラ。
デジタル
フィルムにかわりCCDやCMOSなどの撮像素子で受光し電子媒体に記録。写真の利用や普及を爆発的に高めた。
- 「カシオ QV-10」1995年:カシオ計算機(日本) 液晶モニター内蔵で撮影・観賞スタイルを変えたほか、低価格で発売されデジタルカメラの普及に貢献。
- 「シグマ BF」2025年 シグマ(日本):アルミインゴット削り出しのユニボディ構造や感圧式ボタンなどを採用したミラーレスカメラ。
※掲載は展示予定品の一部である。展示品や各テーマは変更される場合がある。
特別展「カメラと写真のしくみと歴史」開催概要
| 開催期間 | 2026年6月30日(火)~ 10月18日(日) |
| 展示品 | カメラの原点カメラ・オブスクラをはじめ、銀板、湿板、乾板などの感光材料とカメラ、ロールフィルム用カメラの誕生と発展、最初期のデジタルカメラから現在の製品までを展示(展示点数約150点を予定)。 |
| 常設展等 | 常設展として「日本の歴史的カメラ」、世界最初の市販カメラ「ジルー・ダゲレオタイプカメラ」、「ライカコーナー」、「カメラのおもちゃコーナー」、ピュリツァー賞を受賞した報道写真家・沢田教一のカメラなどを展示する。 |
| 図録販売 | 今回展示される資料を収めた図録を制作し、日本カメラ博物館受付にて販売する。または通信販売も利用可能だ。 |
| 開館時間 | 10:00~17:00 |
| 休館日 | 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日の火曜日) ※9/24(木)は開館 ★展示替え期間(6/22~6/29、10/19~10/26) |
| 入館料 | 一般300円、中学生以下無料 / 団体割引(10名以上)一般200円 |