Blackmagic Designの発表によると、長編ドキュメンタリー「Sell Your House」の編集およびグレーディングに、編集、グレーディング、VFX、オーディオポストプロダクション・ソフトウェアであるDaVinci Resolve Studioが使用され、米国各地に所在するアーティストがポストプロダクションの作業を行うためにBlackmagic Cloudのリモートコラボレーション・ツールが使用されたという。
エリック・フォス氏が監督と撮影、ブランドン・ピッカリング氏が共同監督と撮影を担当した同作は、アパレルブランドThe Local Boogeymanの創設者であるジェームズ・クレイズ氏が、親友のフランシス・ガルッピ氏が脚本と監督を務めた長編映画「The Last Stop in Yuma County」の資金調達のために家を売る姿を追っている。
当初、同作は短いプロモーション用を意図して制作されていたが、伝えるべき物語が明確になった後にその方向性が変わったという。
フォス氏は、次のようにコメントしている。
フォス氏:撮影開始から3日ほど経ち、背景の物語がどのようなものか理解し始めた頃からアイデアが膨らんでいきました。ジェームズは親友が映画を撮影できるように自分の家を売ったんです。二人の友情はそのような重圧に耐えられるのか、というのが本作のテーマになりました。
そこから、本来は短編であった本作は大きく発展していきました。最終的には、フッテージは250時間にも上りました。
最初の3ヶ月間、同氏は撮影、制作、音声収録、編集のすべてを一人でこなした。それにあたっては、サバイバル系リアリティ番組の制作に長年携わる中で磨き上げた技術を活かしたという。
フォス氏:シングルカメラ・フォロー・ドキュメンタリーと呼ばれる手法で撮影しました。
1台のカメラでワンテイクの撮影を行い、30分の映像を3分に編集できるよう、エディターに十分な素材を渡す必要があります。やりがいがありますが、とても大変です。
そんな中、同氏と長年共に働いてきたピッカリング氏から助けの手が差し伸べられたという。
ピッカリング氏:フォスさんとは2020年にフロリダの沼地で出会いました。二人とも「The Naked」というリアリティ番組に関わっていたんです。

ピッカリング氏は、同作に関する投稿をInstagramで見かけた際に、即座に何か手伝えることがあるかとフォス氏に連絡を取ったという。資金と同様に、距離もまた本作のワークフローを形作った。フォス氏はカリフォルニア州ジョシュアツリー、ピッカリング氏はニューヨーク市に拠点を置いているため、ポストプロダクションはDaVinci Resolve StudioとBlackmagic Cloudのコラボレーションツールを中心にワークフローが構築された。
フォス氏:作品をシーンごとに分割しました。ブランドンが一つのシーンを手掛け、私が別のもので作業しました。
それぞれが担当のシーンのカット割を終えた後、互いに交換し、各シーンを自分なりの方法でカット割しました。その後、二人で電話をしながら、すべてのシーンにおけるカットをすり合わせていきました。その結果、とても優れた編集に仕上がり、注目を集め始めました。
8TBにおよぶフッテージを扱っていたため、フォス氏は2つのドライブをミラーリングし、一つを自分用に、もう一つをピッカリング氏が使えるように送り、二人で単一のクラウドプロジェクトを共有した。
フォス氏:クラウド・コラボレーションを使い始めたのは2022年、まだ比較的新しい技術だった頃ですが、本当に衝撃を受けました。
全く新しい可能性の扉が開かれ、本来なら時間のかかるデータ共有や高価な共有サーバーを必要とするプロセスが迅速化されました。クラウドでの共同作業は、低コストで簡単に行えました。
グレーディングにおいては、フォス氏と長年共に仕事をしてきたカラリストであり、同作と意外なつながりがあるマック・フィスケン氏が担当した。
フィスケン氏:エリックとは10年以上の付き合いがあり、その間、いくつかのプロジェクトで一緒にカラーグレーディングを行いました。
また、私は「The Last Stop in Yuma County」で撮影監督も務めていました。「Sell Your House」は、この映画に関するドキュメンタリーなので、エリックがカラーの準備ができる何年も前から本作に関わっていたことになります。
同作のフッテージは多岐にわたるソースから集められたもので、それらを統一感のあるものに仕上げることが、グレーディングにおける中心的な課題となった。
フィスケン氏:複数の異なるカメラフォーマットをDaVinci Resolveの一つのタイムラインに読み込みましたが、DaVinci Resolveではほぼあらゆるファイルフォーマットを扱えるので、技術的にはほぼ完璧に動作するレベルにまで達していると思います。解像度やフレームレートもバラバラで、ファイル拡張子にいたっては5種類のカメラからのものだけで10種類もありました。さらに画面録画、アニメーション、スチルなど、他にも様々な要素が絡み合っていました。
かつては、多種多様なフッテージをうまく組み合わせて再生できるようにするには、膨大な手間をかけて調整や変換を行う必要がありました。しかし、今やそうした技術的な課題は解消され、様々なソースの映像をどう調和させ、一つの統一感あるプロジェクトにまとめ上げるか、という創造的なプロセスに集中できるようになりました。その点において、DaVinci Resolveでは、シャープ、ソフト、解像度のアップスケーリング、デノイズを多数の方法で行えるので大変助けられました。本作では、それらのツールをこれまで以上に活用しました。

フィスケン氏は、各ショットを単体で最大限に見栄え良く仕上げた後、連続性を意識して見直し、全体から浮いているクリップを微調整してシーンに馴染ませていった。そういった作業の中で、あるシーケンスが特に目立っていたという。
フィスケン氏:燃料トラックの爆発シーンは、非常に難しかったので、最も気に入っています。爆発が起きるのは夕暮れなので、明るい昼間と夜の間を行き来するような状況になりますが、そうした変化が物語の流れを妨げないようにするのがカラリストの仕事です。
明るい昼間のショットを雰囲気のある夕暮れのトーンにグレーディングする。そして数週間後、そもそも夕暮れの撮影ではなかった、という事実を忘れてしまっている自分に気づくという瞬間は、非常に充実感を感じます。
Power Windowが作業において大変役立ったという。
フィスケン氏:Power Windowは絶えず使っています。不可能かと思えるようなカーブを描いても、DaVinci Resolveは激しい動きのあるハンドヘルドのショットをどうにかしてトラッキングしてくれるので、本当に嬉しくなります。それにクオリファイアーを入念に適用することで、イメージが魔法にかかったようになります。
フォス氏とフィスケン氏はプロジェクトのファイルを互いにやりとりする必要があったが、編集とグレーディングの間の受け渡しはDaVinci Resolve Studio内で完結した。
フィスケン氏:おかげで、コンフォームの悪夢のような大変さが大幅に軽減されました。
ピッカリング氏:東西の離れた場所にいながら、まるで同じ部屋にいるかのように、共に長時間をかけて編集やカラーグレーディングを行いました。最後には当たり前のことのように思えていましたが、もし他のソフトウェアを使っていたら、本作は存在しなかったと思います。
同作は先日Dances With Filmsで上映され、現在は各地の映画祭で上映中。詳細はこちら。
