Blackmagic Designの発表によると、ドキュメンタリー「Tony Foster: Painting at the Edge」にDaVinci Resolve Studioが使用されたという。ポストプロダクションでは、リモートコラボレーション機能およびBlackmagic Cloudを活用して、アメリカ、メキシコ、イギリスに住むスタッフが、同作の編集、カラーグレーディング、VFXを行った。

同作は、イギリス人アーティストのトニー・フォスターが、徒歩、いかだ、カヌーで世界中を旅し、人里離れた場所で風景画を描くことで、人々の気候変動への感心を高める様子を追っている。同作の監督、プロデューサー、撮影監督を務めたデビッド・C・シェンデル氏はカリフォルニア州サンフランシスコ、カラリスト、VFXアーティスト、プロデューサーを務めたジョー・パブロ氏はロンドン、エディターのフランシスコ・リベラ氏はメキシコシティーに拠点を置いている。

シェンデル氏は次のようにコメントしている。

シェンデル氏:当初から、世界を股にかけた制作プロジェクトになることを認識しており、それをサポートできるポストプロダクションのワークフローを見つける必要がありました。以前に他のクラウドベースの編集プラットフォームを試したんですが、満足できるものはありませんでした。DaVinci Resolve Studioを試した際に、最適なソリューションを見つけたとすぐに分かりました。

DaVinci Resolve Studioでは、2つの異なる大陸にある3ヶ国で、まるで同じ部屋にいるかのように仕事ができました。

フランシスコにエディターとして参加してもらうことは重大な決断でした。その理由は、私はサンフランシスコにいて、フランシスコはメキシコシティーに住んでいるからです。Blackmagic CloudとDaVinci Resolve Studioを使用して編集することで、別の国に住んでいても、信頼でき、一緒に働きたいと思えるエディターを雇うことができました。

アーティストとして、場所に関係なく、尊敬し、一緒に仕事をしたいと思うアーティストと共同作業できることは非常に重要です。

DaVinci Resolve StudioとBlackmagic Cloudなしでは、リアルタイムでの共同作業は難しすぎるだけでなく、タイムラグによってワークフローが機能しなくなり、プロジェクトに深刻な影響を与えることになるので、フランシスコに参加してもらうことはできなかったかもしれません。しかし、Blackmagic Designはそれをすべて変えました。編集を3人で分担し、リアルタイムで互いの進捗状況を確認できたことは、本作の仕上がりを決定付ける重要な役割を果たしました。

同作は、Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K Proデジタルフィルムカメラで、Blackmagic RAWを用いて撮影された。

パブロ氏:Pocket Cinema Camera 6K Proを採用する上での迷いはありませんでした。使うのがとても楽しかったですし、映像も素晴らしいものが得られました。

主に、インタビューやグリーンリバー州立公園の荒野で絵を描くトニーのフッテージなどの撮影に使用しました。広大で雄大な風景をたくさん撮影したほか、絵を描くトニーの近接ショットやクローズアップも数多く撮りました。カメラはコンパクトなので、機動性に優れ、通常とは異なる、面白いショットを撮るために冒険できました。

Pocket Cinema Cameraにはプロレベルのカメラに搭載されているあらゆる機能が揃っていますが、インターフェースが最も気に入っています。Blackmagic OSは本当に直感的に使用でき、メニューは今まで使用してきた中で最もシンプルです。

Blackmagic RAWのワークフローはポストプロダクションでも引き続き使用され、Blackmagic Proxy Generatorアプリで編集ワークフローの効率性が高められた。

シェンデル氏:プロキシを使ったワークフローは素晴らしいですね。編集が確定する直前までモーショングラフィックスのファイルや新しいフッテージを追加や削除していたので、本当に助けられました。

同作では、トニー・フォスターの人生30年間を映し出したアーカイブ映像が使用されたことにより、膨大な量のフッテージを記録する必要があった。リベラ氏によると、約28TBの素材が使用されたため、DaVinci Resolve StudioのスマートビンとAI文字起こしツールを頻繁に使用して、フッテージの整理と編集が行われた。

リベラ氏:Resolveのテキストベースの編集ツールは、異なるインタビュー間でカットを切り替えたり、コンテンツを見つける上で非常に役立ちました。

Resolveのスマートビンには、フッテージをテーマ別に整理する上で助けられました。これにより、特定の発言を簡単に見つけられました。また、本作に使用したインタビューすべてで文字起こし機能を利用したため、使いたい発言を探すにあたって、何時間もの時間を節約できました。使いたい部分の文言をハイライトして、インサートをクリックするだけで、タイムラインで使用できる点をとても気に入っています。

シェンデル氏とリベラ氏が編集を行う間、パブロ氏がDaVinci Resolve Micro Color Panelを使用して、カラーグレーディングとVFXの作業を行った。

パブロ氏:全員が同じプロジェクトで作業していたので、とても楽に連携を保てました。

電話中に、デビッドが私に何か修正を依頼してきて、それに対して私が「タイムラインを更新してもらえますか」と回答すると、私が適用した変更点をデビッドが実質リアルタイムで確認できたことには非常に感心しています。

DaVinci Resolveのカラーページに匹敵するものはありませんね。別のもので劇場映画全編をカラーグレーディングするなんて考えられません。

グレーディングにおいて、パブロ氏は、Magic Mask、カラーワーパー、フェイス修正、HDRカラーホイール、AIノイズ除去ツールを頻繁に使用したという。

また、DaVinci Resolve StudioのFusionページが作品全体のグラフィックおよびアニメーションに使用され、平面トラッカーとMagic Maskにより多くの時間が節約できたとパブロ氏はコメントしている。

パブロ氏:気が散る要素となるものを背景から削除したショットがいくつかありました。Fusionのペイント、トラッキング、ロトスコープのツールは、こういった作業で威力を発揮しました。

クリーンプレートを作成して、トラッキングし、ポリゴンやMagic Maskを使用して、前にあるものをロトスコープしました。Fusionページでこの作業を行うにあたっての最も優れた点は、レンダリングしたショットをアップロードする必要なく、デビッドとフランシスコがDaVinci Resolveのタイムラインで即座に作業結果を確認できたことです。

人里離れた、田舎の風景の中で撮影したため、埃や土のアーチファクトが生じ、フッテージの一部に暗く固定された斑点ができてしまいました。Fusionのオブジェクト除去ツールでは、多くのケースでこういった斑点をすばやく、ほぼ自動的に除去できました。オブジェクト除去ツールが使用できない、もっと複雑なクリーンアップでも、Fusionには必要なツールがすべて搭載されています。水面に表示されていた斑点を除去するために、自分でマクロさえ組みました。

カラーグレーディングや新しいVFXを作成でき、3ヶ国にわたって作業しているにも関わらず、リアルタイムで新しいルックが画面に表示されることには本当に驚かされ、大きな転機となる機能だと思いました。最終的にそのシーケンスを維持するか、変更するかを決める前に、シーケンスがどのようなものになるかを確認できました。これにより、本作の表現方法において、より大きな自由度が得られました。使用する映像が確定するまで待つ必要があったとしたら、本作は今とは全く異なるだけではなく、私の考えでは、これほど良い出来にはならなかったのではと思っています。

「Tony Foster: Painting at the Edge」は、先日ニューヨークで開催されたDoc’n Roll Film Festivalにて北米でのプレミア上映が行われた。