Blackmagic Designの発表によると、ゴビ砂漠の酒泉衛星発射センターでの中国の民間宇宙開発企業ランドスペース(藍箭航天)社による、再使用型の朱雀3号ロケットの打ち上げが、Apple Immersive Videoで撮影され、Blackmagic URSA Cine Immersiveデジタルフィルムカメラが使用されたという。
同ロケットの打ち上げは、中国の商業宇宙飛行における大きな節目となったという。チェンドゥー・チオンジエ・インチュアン(成都穹界影创)社の共同創設者であるタン・イースー氏、ガン・ユージエ氏、ルー・リンシュエン氏が、この歴史的な撮影を担当した。
このイマーシブビデオは現在、Migu Video、Voola、Immersive China、DEOVRで配信中で、すべてApple Vision Proで視聴可能。PicoヘッドセットのユーザーはPico TVおよびDEOVRで視聴可能。
Q:チームとプロジェクトについてご紹介ください。また、今回の打ち上げの撮影にイマーシブビデオを選択した理由を教えてください。
タン氏(撮影監督):私たちは成都を拠点とするクリエイティブ&テクニカルチームで、チェンドゥー・チオンジエ・インチュアン・カルチャー&エンターテインメント(成都穹界影创文化娱乐)のもとで仕事をしています。次世代のイマーシブ映像、特に、Blackmagic URSA Cine Immersiveで撮影したApple Immersive Videoの制作に取り組んでいます。イマーシブミュージックビデオやドキュメンタリー、コマーシャル、大規模な体験型コンテンツまで幅広く制作しており、イマーシブ映像の制作、モニタリング、再生向けに独自開発した社内ソフトウェアを使用しています。
このプロジェクトのタイトルは「Land Your Dream in Space: Zhuque-3 Launch Vehicle Flight Test Mission」で、宇宙打ち上げロケットをテーマとした初のApple Immersive Video作品だと思います。
2025年11月末から12月初旬にかけて、甘粛省の酒泉衛星発射センターで、Blackmagic URSA Cine Immersiveを使用して朱雀3号の飛行試験ミッションを撮影しました。ポストプロダクションはDaVinci Resolve Studioで行い、Apple Vision Pro向けのネイティブ.aivuファイルとしてパッケージ化することで、デバイス上で直接再生できるようにしました。
イマーシブ映像で記録することを選んだ理由は、従来の映像では、ロケット打ち上げを見たい一般の人々や、ランドスペースの舞台裏で働くエンジニアたちに、実際に打ち上げ現場にいるかのような体験を提供できないからです。
Apple Immersive Videoは、超高解像度の3D映像と180°の視野角を特徴としており、視聴者が本当にシーンの中に没入できる唯一のフォーマットです。単に現場に存在している感覚になれるだけでなく、これまで誰も実際に体験したことのない視点から打ち上げを体験できます。
ロケット打ち上げ撮影の豊富な経験を持つバオマオ氏にもご協力いただき、さらにランドスケープからの強力な支援もあり、今回の撮影を成功させることができました。完成後には、酒泉から2,600キロ離れた湖州の試験施設で、朱雀3号のエンジニアたちに対して上映する機会もありました。彼らは自ら試験を行ったエンジンが朱雀3号を空へ押し上げる様子を見ながら「ウワー!」と声を上げていました。あるエンジニアは興奮気味に笑いながら「あれは私が2月にテストしたエンジンだ!」と言っていました。彼らにとってこれ以上ないほどの喜びだったと思います。
現在、この作品は複数のプラットフォームやチャンネルで配信しています。このイマーシブ映像を通じて、朱雀3号打ち上げの息を呑む瞬間、そして急速に発展する中国民間宇宙産業の姿を、現地に行けなかったすべての人々に余すことなく届けたいと思っています。

Q:プロジェクトの準備段階において、なぜチームは最終的にURSA Cine Immersiveをメインカメラとして選択したのでしょうか?また、他のカメラと比較して最も魅力的だった点は何ですか?
ルー氏(エディター):URSA Cine Immersiveの解像度と高フレームレートは、イマーシブ映像制作における最高の選択肢です。私たちは、このカメラこそがデジタルと現実世界の境界を本当に打ち破ることができる、唯一の映像機器だと考えています。
中国初の再使用型ロケット打ち上げという重要なイベントにおいて、打ち上げ現場を完全な忠実度で収録・再現できるのはURSA Cine Immersiveだけでした。他の機器より安定性が高いことが極めて重要でした。他のカメラでは、フォーカス精度の問題が発生することが多く、ポストプロダクションで大がかりな画像補正が必要になるため、ワークフローが非常に複雑になります。
URSA Cine Immersiveの場合、DaVinci Resolve Studioと組み合わせることで、撮影からポストプロダクションまで完全に統合されたワークフローが実現します。収録した素材は、追加処理なしでそのままDaVinci Resolve Studioに読み込んで編集・書き出しできるので、チームは技術的な修正ではなく、撮影そのものに集中できます。
Q:制作において、イマーシブ映像と従来の映像制作との主な違いは何ですか?
ルー氏:私たちにとって、イマーシブ映像は演劇に近いものです。単に映像を見るのではなく、視聴者を直接ステージの上に連れて行けるような感覚です。監督は従来のように主にカメラワークで視線をコントロールするのではなく、より繊細な方法で視聴者の注意を導きます。
イマーシブ映像のカメラワークは、かなりコントロールされたものでなければなりません。ほとんどのショットは三脚による固定撮影です。一般的な2D映像制作で用いられるプッシュ、プル、パン、ティルトといった動きは、イマーシブ撮影には必ずしも適していません。あらゆるカメラの動きを慎重に計画・実行する必要があり、視聴者の快適さを損なわないよう、ポストプロダクションでも繰り返し確認を行います。
Q:ロケット打ち上げのようなシーンにおいて、URSA Cine Immersiveはどのような独自性をもたらしますか?
タン氏:URSA Cine Immersiveの圧倒的な解像度により、視聴者はまるでゴビ砂漠の発射台のすぐ横に立ち、巨大なロケットを見上げているかのような感覚を得られると思います。この圧倒的なスケール感は、従来の平面映像では決して表現できません。
ゴビ砂漠特有の質感を捉えるために、URSA Cine Immersiveを地面すれすれに配置して、超低アングル撮影を行いました。結果は期待を大きく上回るものでした。前景の砂や石の質感は驚異的なディテールで描写され、遠方の発射塔は酒泉の冷たい朝の光の中でよりシャープかつ力強く浮かび上がり、非常に強い奥行き感が生まれました。
さらに、URSA Cine Immersiveによる1:1比率でのスケール再現も極めて重要でした。ロケットは巨大で、従来の平面映像では実際のサイズ感を伝えることができません。しかし、URSA Cine Immersiveでは実際のスケール感を表現できます。ロケットが目の前にあるシーンや、火炎溝の内部から見上げる視点では、視聴者は思わず上を見上げます。多くの人にとって、ロケットや航空宇宙工学の本当のスケールを人生で初めて体感する瞬間になると思います。

Q:撮影中、URSA Cine Immersiveで最も印象に残った機能や性能は何ですか?具体例も含めて教えてください。
ガン氏(撮影監督):私たちにとって、URSA Cine Immersiveは単なるカメラではありません。非常に効率的で、信頼性の高いクリエイティブ・システムです。直感的なメニューデザイン、電子制御可能なNDフィルターの内蔵、安定したアクティブ冷却システムにより、セットアップ時間を大幅に短縮でき、操作ではなくコンテンツ制作に集中できます。
ゴビ砂漠の天候は急激に変化し、照明条件も一瞬で変わります。URSA Cine Immersiveは操作が簡単で、ロケットと酒泉の燃えるような雲が交差する、息を呑む瞬間を捉えることができました。16Kの超高解像度と90fpsの高フレームレートが組み合わさることで、視聴者は私たちが撮影時に感じたのと同じ感動を、まるで現場にいるかのように体験できます。また、カメラに搭載された便利なタイムラプス機能によって、広大な砂漠にそびえ立つロケットの壮大な存在感も印象的に表現できました。
Q:現場の環境条件について簡単に教えてください。また、その環境下でURSA Cine Immersiveはどのような性能を発揮しましたか?
ガン氏:甘粛省・酒泉は、昼夜の寒暖差が極めて大きく、砂嵐も頻繁に発生します。そのような過酷な環境下においても、URSA Cine Immersiveは非常に高い安定性を発揮しました。現地到着時にはすでに気温が−12°Cまで下がっており、夜間はさらに低温になりました。強風と砂塵は常に吹き荒れており、到着前日には砂嵐も発生していました。
タイムラプス映像を撮影するために、URSA Cine Immersiveを車両による最低限の遮蔽だけの状態で、40分以上にわたり砂地のすぐ近くに設置しました。強風によって砂や小石がカメラ本体に吹きつける状況でも、システムは終始安定して動作し、砂漠の中に立つロケット発射塔の壮観な姿を確実に収録できました。極寒環境や継続的な砂嵐によって収録品質が影響を受けることは一切ありませんでした。URSA Cine Immersiveの卓越した耐環境性能と安定性は、屋外撮影において極めて高い信頼性を発揮し、全面的な信頼につながりました。
Q:ポストプロダクションにおいて、URSA Cine Immersiveの映像を扱った際に最も印象に残った点は何ですか?
ガン氏:URSA Cine Immersiveによる16K超高解像度映像は、確かにポストプロダクション用ハードウェアに高い負荷を要求します。Mac Studio M3 Ultraのような高性能システムであっても、字幕の追加、2Dグラフィックのレイヤー処理、詳細なカラーグレーディングを行う際には再生速度が低下することがあります。より複雑な字幕エフェクトについては、一部をAIVUファイルとして書き出し、Apple Vision Proで確認を行った後、DaVinci Resolve Studioに戻して、すべてが適切に見えるまで微調整と再書き出しを行いました。
また、空間アンビエンスを収録するために、一次アンビソニックスマイクのテストも行いました。現在も最適なASAF設定ワークフローを模索している段階なので、最終的にはステレオで書き出しましたが、今後もイマーシブ映像向け空間オーディオのワークフロー改善を継続していく予定です。
超高解像度は、同時に非常に大容量のファイルサイズも意味します。8TB Media Moduleでは約90分間しか収録できないため、ストレージの計画性は極めて重要です。しかし、究極の画質を追求する以上、これらの課題は避けられないものであり、最終的な映像品質を考えれば十分に価値のあるものでした。
私たちが特に驚かされたのは、DaVinci Resolve Studioによるこのカメラ素材への優れた対応です。イマーシブ編集ワークフローに自動的に適合するだけでなく、従来の平面グラフィックをワンクリックで球体エフェクトに変換できます。これにより、ポストプロダクション作業が大幅に簡素化され、多くの作業時間を削減できました。
