Creative Solution Showcase 2026では、ライブプロダクションやクラウドソリューションだけでなく、シネマカメラ「VENICE 2」の新ファームウェアVer.5.00で追加されたモニタリング用Preset Look「Signature」も紹介されていた。この新ファームウェアVer.5.00は2026年7月9日に公開された。

実は、このSignatureについては、2026年6月に米国・ロサンゼルスで開催された「Cine Gear Expo LA 2026」のソニーブースでも説明を受けていた機能である。現地では開発背景やコンセプトが中心だったが、Creative Solution Showcase 2026では、S709との比較デモや波形モニターを用いた解説が行われており、実際の映像でその違いを確認できた。

従来、VENICE 2にはS709をはじめ、複数のモニタリング用Preset Lookが搭載されている。しかし近年は、シネマカメラの性能向上に伴い、撮影現場でもより自然な色再現や、広いダイナミックレンジを活かした映像を確認したいというニーズが高まっているという。

そこで追加されたのが、新しいモニタリング用Preset Look「Signature」である。Signatureは自然な色再現を基本とし、特に肌を自然に見せながら、暗部から高輝度部まで自然な階調と滑らかなグラデーションを表現するルックとして位置付けられている。

開発には、ハリウッドのポストプロダクション「Picture Shop」が参加。ソニーのイメージングエンジニアと、Picture Shopのカラーリストであるミッチ・ポールソン氏が共同でルックを作り上げた。VENICE 2が持つダイナミックレンジや色再現性を、撮影現場でより自然に確認できるモニタリングルックを目指して開発されたという。

Creative Solution Showcase 2026の会場では、従来のS709とSignatureをリアルタイムに切り替えながら比較するデモが行われていた。

もっとも分かりやすい違いが現れていたのはハイライト側である。波形モニターを見ると、S709では高輝度部分が比較的早い段階でクリップしたように表示されるのに対し、Signatureでは、より高い輝度域まで階調を確認できた。ハイライトのロールオフもより緩やかで、モニター上の白飛びを抑えながら、明るい部分の階調を自然に確認できることが分かった。

S709
Signature

一方、シャドウ側も単純に持ち上げるのではなく、黒を引き締めながら階調を残す方向でチューニングされている。暗部はより落ち着いた印象を保ちながらも、ディテールを確認しやすく、立体感のある画作りを意識したルックとなっていた。ソニーが説明する「暗部から高輝度部まで自然な階調表現」は、このシャドウ側からハイライト側までの滑らかなつながりにも表れていた。

S709
Signature

色再現も見直されている。説明では、S709ではやや暖色寄りに見える場面でも、SignatureではRGBバランスがよりニュートラルに近づき、自然な色味で確認できるという。実際に比較映像を見ると、極端に色味を変えるというよりは、全体を落ち着いたトーンへ整え、特に肌色を自然に見せながら撮影時の判断を行いやすくする方向で調整されていた。

Signatureは収録データそのものを書き換えるものではなく、あくまで撮影時の表示を改善するためのモニタリング用Preset Lookである。しかし、撮影現場で最初に目にする映像は、露出やライティング、演出の判断に少なからず影響を与える。

センサー性能やダイナミックレンジの競争が一段落しつつある現在、求められているのは、その性能を撮影現場でどのように活用できるかという体験そのものになりつつある。Signatureは、VENICE 2が持つ映像表現力を、撮影時点からより自然な色再現と豊かな階調表現で引き出すためのアップデートとして位置付けられる。