©2026 利重 剛
Blackmagic Designは、利重剛監督の映画「ラプソディ・ラプソディ」の撮影に「Blackmagic PYXIS 6K」および「Blackmagic Camera」アプリが使用されたことを発表した。グレーディングには「DaVinci Resolve Studio」と「DaVinci Resolve Advanced Panel」が使用された。
「ラプソディ・ラプソディ」は、俳優として数々の映画やドラマに出演する利重剛監督が、地元・横浜を舞台に描いたラブストーリー。絶対に怒らない男・幹夫は、ある日、自分の知らないうちに見知らぬ女性と結婚していたことを知る。ようやく探し出した正体不明の女性・繁子は、触れるものをすべて壊してしまう破天荒な人物だった。
利重監督にとって「さよならドビュッシー」以来13年ぶりとなる監督作品で、主演に高橋一生を迎え、不器用な大人たちがつまずきながらも前に進んでいく姿を描く。
撮影は池田直矢氏が担当。Blackmagic PYXIS 6KとLAOWAのアナモフィックズームレンズを組み合わせて撮影した。また、一部のシーンではBlackmagic Cameraアプリを使用してiPhoneによる撮影も行っている。
グレーディングは、株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービスのカラリスト・倉森武氏がDaVinci Resolve StudioとDaVinci Resolve Advanced Panelを使用して担当した。
PYXIS 6KとLAOWAアナモフィックズームレンズを組み合わせて撮影
池田氏は、利重監督との出会いについて次のようにコメントしている。
Disney+の「ガンニバル」の撮影をしていた時、俳優として出演されていた利重さんとご一緒しました。実は監督もされている方だと知らず、撮影現場で利重さんがスタッフのことを色々観察している様子を見て「面白い方だな」と思っていたんです。クランクアップのときに、映画を一緒にやりませんか、と誘っていただいて、すごく嬉しかったですね。
本作では、LAOWAのアナモフィックズームレンズ2本を使用。レンズの軽量性を生かし、カメラには多くのリグを装着せず、PYXIS Monitorを組み合わせたシンプルな構成とした。
池田氏は次のようにコメントしている。
今回はLAOWAのアナモフィックのズームレンズを2本使用しました。レンズも軽量だったので、あまりリグをつけず、PYXIS Monitorをつけたシンプルな構成で撮影しました。他のカメラだとアナモフィックレンズを使用すると、画面がスクイーズされてモニタリングしにくいことがあるんですが、PYXISはデスクイーズ表示機能がついているので、レンズとの相性が良かったですね。カメラの設定も楽で、ストレスなく撮影ができました。かなり暑い日もありましたが熱による問題もありませんでした。
Blackmagic CameraアプリとiPhoneを躍動感のあるシーンに活用
本作では、Blackmagic CameraアプリをインストールしたiPhoneも撮影に使用された。幹夫役の高橋一生が走り回るシーンでは、高橋の体にiPhoneを装着して撮影したという。
池田氏は次のようにコメントしている。
Blackmagic Cameraアプリは、以前から作品で使ってみたいと思っていたので、幹夫役の高橋さんが走り回るシーンで、高橋さんの体にiPhoneをつけて撮りました。
DaVinci Resolve Studioで作品の柔らかなルックを構築
グレーディングは、池田氏とさまざまな作品でタッグを組んできたカラリストの倉森武氏が担当。DaVinci Resolve StudioとDaVinci Resolve Advanced Panelを使用した。
倉森氏は、作品のルックについて次のようにコメントしている。
利重監督が本当に優しい方で、その優しさが伝わるようなルックにしたい、と池田さんからリクエストがありました。そこで、彩度をはっきりと出しつつも強すぎないよう、やさしい、かわいらしい色使いを意識しました。
池田氏は、PYXIS 6KとLAOWAのレンズによる映像について、柔らかさが特徴だったと振り返る。
この作品のように、日常の人々を描くようなストーリーのルックは、答えを出すのが非常に難しいので、倉森さんに方向性を導いてもらいました。レンズが持つ特性は、コントラストや暗部の調整を間違えると、すぐにその特性がなくなってしまうんです。今回のPYXIS 6KとLAOWAのレンズによる映像は柔らかさが特性だと思います。倉森さんはそういった部分を必ず生かしてくれるんです。
倉森氏は、レンズの柔らかなエッジを生かしながら、クリアなルックを目指したという。また、日常のシーンに映画的な非現実感を加えるため、蛍光灯の色も積極的に利用した。
エッジが柔らかくなるようなレンズを使用していたので、それと相性のよさそうなクリアなルックを目指しました。また、日常のシーンにできるだけ、映画らしい“非現実”さを与えるようにグレーディングしました。市役所のシーンと幹夫と繁子が家の中で喧嘩するシーンは、どちらも蛍光灯が使われていました。蛍光灯の色を白くせずに、市役所のシーンではグリーンを、喧嘩のシーンではシアンブルーを足して、より色味が感じられるようにしました。
ISO 400で山下公園のナイトシーンを撮影
池田氏は、特に印象に残ったシーンとして、横浜・山下公園で撮影したナイトシーンを挙げている。PYXIS 6Kの感度をISO 400に設定し、レンズの絞りをF2.9として撮影したという。
池田氏は次のようにコメントしている。
PYXIS 6Kは感度をISO 200、上げたとしてもISO 400にして撮ると、すごく“クリーミーな”ルックになるんです。山下公園のナイトシーンがあるんですが、あえて感度をISO 400に設定し、レンズの絞りも2.9というあまり明るくないもので撮ったんです。結果的に、夜としてしっかり暗い状態でも、人物にはきちんと照明が当たって、狙い通りのいいシーンになりました。