AvidとGoogle Cloudは、戦略的パートナーシップの拡大を発表した。これには、Avidの主力ビデオ編集プラットフォームであるMedia Composerのブラウザベース版と、機能を拡張したコンテンツデータプラットフォーム「Avid Content Core」の導入が含まれる。
Google Cloudの「Gemini Enterprise」および「BigQuery」を、メディア特化型AIエージェントやAvidのツールとともにAvidのポストプロダクション環境へ直接組み込むことで、専用ハードウェアへの依存や管理上の負担を軽減する。これにより、編集者やディレクターは場所を問わず共同作業を行い、反復作業を自動化しながら、ストーリーテリングにより多くの時間を充てられるようになる。
現在のメディア制作現場では、コンテンツ需要が増加する一方で、管理業務の負担も大きくなっている。編集者は多くの時間をフッテージのタグ付け、タイムラインの整理、断片化されたアーカイブの検索などに費やしている。さらに、従来のプロフェッショナルな編集作業には高性能なオンプレミスワークステーションが必要だったため、世界規模でのリモート共同作業には速度やコスト面で課題があった。
Avidが2026年第2四半期に120人のプロ編集者を対象に実施した調査では、編集者がAIをどのように活用してポストプロダクションの課題を解決しているかが示されている。
調査では、79%がワークフローでAIを使用しており、音声認識や文字起こしが最も一般的な利用例(60%)であると回答した。また、87%が「AIはクリエイティブな意図をより効率的に実現する際に最も価値がある」と回答し、76%が「ストーリーテリングのための時間を増やすことがAIの最良の使い道である」としている。一方、63%はAIツールをより有用なものにするには、既存のプロフェッショナル環境へのシームレスな統合が必要だと指摘している。
2026年4月のNAB Showで発表した取り組みを踏まえ、今回のパートナーシップの次段階では、Gemini EnterpriseをMedia ComposerとContent Coreに直接組み込み、クリエイティブプロセスの効率化を図る。インテリジェントで検索可能なメディアアーカイブをブラウザベースのタイムラインに直結させることで、メディア探索とタイムライン整理という、ポストプロダクションで時間を要する2つの工程を効率化するとしている。
技術統合の4つの柱
ブラウザベースのMedia Composerとエージェント型編集
Media ComposerがGoogle Chrome上で利用できるようになり、Avid Content Core内でプロフェッショナルなタイムライン編集が可能となる。Avidの「Ready to Edit」におけるエージェント型AI機能により、編集者は自然言語プロンプトを使用してメディアの同期、ダイアログの文字起こしと配置、プロジェクトビンの整理を行うことができる。
また、埋め込み型の「Media Composer Gemini」パネルでは、既存のGeminiアカウントを使用してBロールの生成、ストックフッテージの検索に加え、タグ付け、ロギング、翻訳によるメディア情報の自動付加が可能となる。
Content Coreにおけるセマンティック検索
Google Cloudの技術を活用し、メディアのインポート時に自動的な解析と情報付加を行う。Avid Content CoreとGemini Enterpriseが文字起こしと、内容の意味に基づく説明文を自動生成することで、手作業によるロギング時間を削減し、自然言語検索で必要なメディアを見つけやすくする。
ニュースルームからタイムラインへの接続ワークフロー
「Content Core Insights」は、Gemini EnterpriseとBigQueryを活用し、コンテンツの制作データとパフォーマンスデータを結びつける。ニュースルームは「Content Core Planning and Rundown」でストーリーを計画し、チームを割り当てることができる。
編集者は自然言語検索で該当するフッテージをタイムラインに引き込み、最終カットを放送番組に同期させることができる。放送局やスタジオの管理者は、スタッフ配置、リソース利用率、制作コスト、コンテンツパフォーマンスなどについて自然言語で問い合わせることができ、制作状況やコンテンツの収益化に関わる情報を包括的に把握できるとしている。
柔軟で安全なハイブリッドクラウド展開
「Avid Content Core Site Engine」は、顧客のGoogle Cloud環境とContent Coreを直接接続する。メディア処理、制作インテリジェンス、エージェント型ワークフローは一元管理される一方、演算処理と高解像度アセットは顧客自身のクラウド環境内に保持される。
AvidのCEOであるウェルフォード・ディラード氏は、次のようにコメントしている。
ディラード氏:顧客は、既存のワークフローにシームレスに接続し、創造性と共に拡張できるインテリジェントなツールを求めています。Google Cloudとのパートナーシップ拡大は、Avidをオープンで相互運用可能、かつ適応性の高い状態に保ちながら、安全でAI主導のイノベーションを提供する能力を強化します。
Google Cloudの戦略産業担当グローバル・マネージング・ディレクター、アニル・ジェイン氏は、次のようにコメントしている。
ジェイン氏:Avidは常にメディア技術のパイオニアであり、今回の提携は映画やテレビへの高度なAI導入におけるリーダーシップを確固たるものにします。Gemini EnterpriseをAvidの主力ツールに統合することで、編集者に煩雑な制作工程の管理を支援する強力なエージェント型ワークフローとインテリジェントな検索を提供します。
AvidとGoogle Cloudは、アムステルダムで開催されるIBC 2026のGoogle CloudおよびAvidの展示スペースにおいて、これらのエンドツーエンドのエージェント型ワークフローを実演する。