Blackmagic Designの発表によると、リモート・ポストプロダクションスタジオ「Secret Weapon Post」が、DaVinci Resolve Studioを使用して新しいリモートワークフローを構築したという。

5年前に設立されたSecret Weapon Postは、1,100人以上のポストプロダクション専門家を擁するまでに成長した。同社は数多くの長編映画、ドキュメンタリー、テレビシリーズの制作プロセスを変革し、リモート・ポストプロダクションという新たな世界へと導いているという。

ワークフローの中心となっているのは、編集、写真編集、グレーディング、ビジュアルエフェクト(VFX)、オーディオポストプロダクション・ソフトウェアであるDaVinci Resolve Studioと、Blackmagic Cloud Storeネットワークストレージ・ソリューションである。

Blackmagic Designは、進化を続けるポストプロダクションの状況や、大規模なプロダクションにおいてリモートコラボレーションが果たす新たな役割について、Secret Weapon Postのチームにインタビューを行った。

――過去10年間でポストプロダクション業界はどう進化してきたと考えますか?また、リモートでのコラボレーション作業は現在どのような役割を担っているのでしょうか?

ワークフロー責任者 キャンディス・"マーズ"・ウィリアムソン氏:

世界のリモート化は、ここ10年以上にわたり私たちが少しずつ向かってきた現実です。私自身は内向的な性格なので、リモートワークに抵抗はありません。ただ、デジタル化以前のようなコラボレーション作業が恋しくなることはあります。クリエイティビティを損なったり犠牲にすることなく、新しい技術を導入しながら、コラボレーション作業を円滑に進めたいと考えています。効率を追求するためだけの効率化は望んでいません。業界がいかにテクノロジー主導のものになろうとも、それはあくまで物語を伝えるためのツールに過ぎません。利益を確保することは重要ですが、ポストプロダクションにおけるクリエイティビティに再び重点を置くことができれば、それに越したことはありません。より多くの時間を制作に費やすことができますから。

創業者/CEO グレッグ・オリバー氏:

ポストプロダクションの拠点は、専門のスタジオからホームオフィスへと移行しており、編集、編集アシスタント、カラーグレーディング、サウンド、VFXのすべての作業を自宅で行うことが可能です。そしてこれらを担う才能は、ニューヨーク、ロサンゼルス、ウィチタ、ベルリン、シドニーなど、あらゆる場所に見出すことができます。コロナ禍においては、才能ある人々はテクノロジーを積極的に取り入れ、在宅勤務が時間の節約になることに気づきました。一方、プロデューサー側も、それが全員のコスト削減につながることを認識しました。適切なテクノロジーにより、まるで同じ部屋で同時に一緒に働いているかのように、全員を繋ぐことができますが、DaVinci Resolveは、まさにそれを可能にする製品です。

――Secret Weapon Postではどのような課題を解決しようとしていますか?

オリバー氏:

Secret Weapon StudiosとSecret Weapon Postは、テクノロジーを活用して映画制作者の課題を解決する、映画関連の技術系スタートアップとして、5年前に誕生しました。映画制作とは、文字通り「問題解決」そのものであり、クリエイティブ・チームが本来の創造性を発揮できるようになるまでに、解決すべき課題が何千と待ち受けています。私自身、脚本、撮影、制作、監督をこなし、時にはDVDのジャケットデザインまで自ら手がける映像制作者として、その現実を実感しています。本来ならクリエイティブな作業に費やすべき時間を、問題解決に奪われてきたことを、本当に馬鹿げていると思います。
そのため、Secret Weapon Postでは、そのような問題に費やされる時間やコストを削減するために、テクノロジーを活用しています。具体的には、予算管理からスタッフの選定、ポストプロダクションでのコラボレーションにいたるまで、既存の技術を自社のテクノロジーの枠組みで機能させる仕組みを構築しています。私たちが最初に取り組みたかった、映画制作の工程は、ポストプロダクションでした。というのも、ポストプロダクションでは多大な時間や資金が無駄になりかねないからです。
フリーランスの映像制作者として30年以上活動してきた私は、世界中の映像制作の才能が集う拠点を築き、それを彼らが無料で利用できるようにしたいと考えました。私たちは、ソフトウェアやハードウェアの使い方を指導するほか、メディア管理のサービスも提供してきました。もちろん映像制作者たちの審査も行っています。
履歴書に大ヒット映画の制作に関わった経歴が記載されていたとしても、その人が実際に働いたのがたった1日だったのか、それとも制作の全期間だったのかまでは採用担当者には分かりません。実際は2日目にクビになっていたかもしれないんです!そこで私たちは、コミュニティに参加する人材の審査を行うとともに、プロデューサーがお気に入りの人材を推薦できる仕組みを整えています。これにより、採用する側は、経験豊富な映像制作者である私におすすめを尋ねるのと同じような感覚で、誰を信頼すべきか判断できます。ポストプロダクション業務の拡大に伴い、その構想は急速に発展しました。現在では、世界中に1,100人もの即戦力となるスタッフを擁し、その中にはDaVinci Resolveに精通した人材も数百名います。

ウィリアムソン氏:

Secret Weaponは、従来型のコラボレーションと新しいテクノロジーとのギャップを埋める助けとなるでしょう。撮影現場から仕上げにいたるまで、クリエイターたちのコミュニケーションには優れた点が数多くあります。私たちは、プロセス全体を貫くその一貫した流れを失いたくはないと考えています。どれほど多くのテクノロジーが投入されようとも、その流れこそが、優れたコンテンツの根幹を成すものであり、それを可能な限り残したいと思っています。
私たちにとっての問題は、「これまでずっとこの方法でやってきたんです。」と主張する人たちです。私自身、多くの変化を好まないタイプなので従来のワークフローに頼る気持ちは分かります。そこにはある種の障壁が存在しており、インディーズのプロジェクトや、あるいは大規模な予算のプロジェクトにとっても、新しい方法の導入を困難にしています。成功とは努力と運の組み合わせだと言われますが、実際にはアクセスのしやすさこそが最大の要因のひとつだと思います。それこそが、Secret Weaponが促進しようとしていること、つまりアクセスのしやすさを高めることです。

――各プロジェクトにおけるワークフローやアプローチについて教えてください。

ウィリアムソン氏:

それは、各プロジェクトの具体的なニーズによります。これこそがカスタムメイドのアプローチの利点です。プロジェクトによっては、DaVinci Resolveユーザーとして厳選された1,100名以上の登録者にアクセスを提供するだけのケースもあります。より大規模な案件では、RAWのラッシュを弊社で管理し、ポストプロダクションチーム向けに同期済みプロキシ素材を提供することもできます。その後は、弊社でグレーディングから納品までを行うか、あるいはフィニッシングチームが作業できるよう同期したRAW素材を引き渡します。プロジェクトのニーズに応じて、必要な分だけ弊社を利用できます。

ポストプロダクション責任者 ボー・ジェノ氏:

このアプローチにより、制作側は、その地域の人材から選ぶのではなく、可能な限り最適な人材を選べるようになります。良し悪しは別として、ポストプロダクションの拠点はもはやロサンゼルスやニューヨークに集中している必要はありません。プロジェクトに携わる人材を、世界中のどこからでも採用することができるんです。また、スタッフが「通常の」シフトで働きながらも、24時間体制で業務を行うことが可能になります。

オリバー氏:

私たちにとっては、マーズがスタジオなんです。マーズがいる場所がスタジオになります。マーズにとって必要なのは、DaVinci Resolveプロジェクトファイルへのリモートアクセス、あるいは直接のアクセスだけであり、メディアを保存したドライブがどこにあっても、DaVinci ResolveでRAWメディアやプロキシを扱うことができます。つまり、お気に入りのエディター、お気に入りのアシスタント、そしてお気に入りのカラリストを、ポストスタジオとして採用できるのです。チーム全体をリモートで繋ぎ、全員が同じタイムライン上で同時に作業を行えるだけでなく、コストの削減も実現できます。
私たちが手掛けた最大のプロジェクトは、Huluのシリーズです。9名のスタッフがBlackmagic Cloud Storeを使用して作業を行い、さらに数名の幹部やプロデューサーがBlackmagic Designのエコシステム内でその作業内容を確認しました。私たちはBlackmagic Cloud StoreやDaVinci Resolve Studioによるワークフローに加え、人材とトレーニングの提供、そしてプロジェクト管理も行いました。チームがスタジオにリモート接続する場合と比べて、莫大なコストを削減できました。チームは世界各地からリアルタイムで協力して作業を行うことができ、プロデューサーはコストを削減できました。まさに問題解決です!
そのプロジェクトを通じて、プロデューサーがどれほどのコストや時間を節約でき、またどれだけのミスや厄介なトラブルを回避できるかを、私たちはすぐに実感しました。それ以来、この方法を継続しています。
一方、多くのプロジェクトでは、チームの人数は平均3〜5人です。状況にもよりますが、プロジェクトの目標は共通しています。

ウィリアムソン氏:

One Street Studiosのラヴァイル・ラヴェットが制作したドキュメンタリー、The Lion Speaks」のポストプロダクションをサポートしました。ラヴァイルは、ヴィオラ・デイヴィス、ジュリアス・テノン、そして自身が共同設立したOne Street Studiosと、JVL Mediaのマネージング・パートナーを務めています。撮影チームは多国籍で頻繁に移動しており、ポストプロダクションチームは全米各地に分散していました。扱う素材の量に見合ったワークフローが確立してからは、作業が円滑に進むようになりましたね。プロジェクトの進行に合わせてグレーディングを行っていたため、納品期限の時点ではレンダリングするだけでした。コンフォームや待ち時間などは一切必要ありませんでした。
また、インターネット接続が必ずしも安定していないカナダ北部で、先住民関連の制作を行うポストプロダクションの立ち上げにも協力しました。そのような環境において、Blackmagic Cloud Storeは最適なソリューションです。ファイルの同期が完了すれば、エディターやその他のスタッフが、Blackmagic Cloud Storeをどこへでも持ち出すことができます。継続的にコンテンツを扱うポストスタジオに対しては、頻繁に使用されるアセットを対象とした同期設定を行いました。これにより、SFXライブラリに新しいフォルダーが追加されると、ユーザーはBlackmagic Cloud Storeの電源を入れたままにしておくだけで、すべてのユーザー間で自動的に同期が行われます。

オリバー氏:

約1年前、英国の制作会社Feel Filmsが手掛けた、Panda ExpressのCM制作において、ワークフローの管理を担当しました。ロサンゼルス、ルーマニア、ロンドン、そしてVFX制作を行うプラハにまたがるリモートチームを、ニューヨークの自社チームが統括・管理するという体制でした。現在、私たちのチームはブルームバーグ向けの全6回の編集動画シリーズのポストプロダクションを手がけており、DaVinci Resolveを使ってコラボレーション作業を行っています。また、私が監督を務めるウェイロン・ジェニングスのドキュメンタリー作品についても、ちょうどポストプロダクションを始めたところです。編集作業はロサンゼルスで行われますが、リモートのアシスタントエディターと連携し、私自身も各地を移動しながらリモートで参加します。