海外で展開してきたDJIとHasselbladのコンセプトストアが日本に上陸
2026年10月31日(土)、東京・表参道に「DJI | Hasselblad Authorized Concept Store 東京表参道」がグランドオープンする。運営はDJIの国内正規代理店であるセキド。当日は13時からオープニングセレモニーを開催し、13時15分ごろに一般営業を開始する予定だ。1階にDJI、2階にHasselbladを配置した、両ブランドの複合型コンセプトストアとしては日本初の店舗となる。
DJIのブランドストアは中国をはじめ海外で広く展開されており、ショッピングモール内の店舗から建物全体を使う大型店まで規模もさまざまだ。2023年には香港でDJIとHasselbladを組み合わせたコンセプトストアが開業している。表参道店は、こうした海外発の複合型店舗のスタイルを日本に持ち込んだ拠点といえる。
店舗は表参道駅B2出口から徒歩約4分。ガラス張りの外観には両ブランドのロゴが並び、通りからも1階に展示されたDJI製品が見える。撮影機材の専門店でありながら、街を歩く人が気軽に立ち寄れる開放的な造りだ。
店内の展示台の素材や色使い、製品の配置には、海外のDJIストアと共通するデザインが取り入れられている。なかでも目を引くのが、背後から光を当てた大型の製品ビジュアルだ。発光ディスプレイのようにも見えるが、実際は布素材を背面から照らす仕組みで、ビジュアルを差し替えれば新製品の登場に合わせて店内の印象を変えられる。製品展示だけでなく、空間の見せ方にも工夫がある。
1階・DJIフロア――実機を組み合わせて撮影方法を考えられる展示
1階には、ドローンや小型カメラ、ジンバル、映像伝送機器などがカテゴリーごとに並ぶ。実機を手に取ってサイズ感や操作性を確かめられるだけでなく、関連アクセサリーと組み合わせた使い方まで検討できる構成だ。
たとえばOsmo Pocketシリーズの展示では、本体の近くにアクセサリーやマイクも並び、撮影スタイルに合わせた組み合わせを考えられる。小型カメラは周辺機器によって使い勝手が大きく変わるだけに、実際に持ち出す撮影セットを具体的にイメージしやすい展示は便利だ。
Roninシリーズや映像伝送機器のコーナーで興味深かったのは、業務向け映像伝送システム「DJI SDR Transmission 2」がアクションカメラの近くに置かれていたことだ。SDR Transmission 2は、Osmo Action 6やOsmo Pocket 4以降のOsmo PocketシリーズとUSB-Cケーブルで直接接続でき、映像を伝送しながらカメラへ給電もできる。小型カメラから離れた場所で映像を確認する、といった構成も組める。カメラと伝送機器を別々の売り場で見ていては思いつきにくい組み合わせであり、どのようなシステムを組めるかを実機で示す展示方法といえる。
自分の機材を持ち込んで、接続や組み合わせについて相談できるのも実用的だ。同じUSB-C端子を備えていても、対応するかどうかは機器によって異なる。仕様表だけでは判断しにくい互換性を購入前に確認でき、製品選びから初期設定、購入後の操作方法までスタッフに相談できる。新しく機材をそろえる人だけでなく、既存の撮影環境に製品を追加したい人にも心強い。
店内には専用のドローンフライトケージも常設され、対応する展示機で実際の操縦を体験できる。ドローンは本体サイズやカメラ性能に加え、操作したときの感覚も機種選びを左右する。屋内で操縦を試せる環境は、初めて購入する人にも、買い替えを検討している人にも役立つだろう。
撮影機材の売り場に、ロボット掃除機「DJI ROMO」シリーズやポータブル電源が並んでいたのは意外だった。ドローンやジンバルから生活家電へと広がるDJIのラインアップを一度に見渡せるのも、この店舗ならではだ。
2階・Hasselbladフロア――歴代カメラと現行機が並ぶギャラリーのような空間
階段を上がると、空気が一変する。Hasselbladのロゴ、ガラスケース、整然と並んだカメラと写真集。最初に浮かんだのは「美術館のようだ」という感想だった。展示台や照明も落ち着いたトーンでまとめられ、最新機材を手に取って試す1階とは対照的に、カメラそのものをじっくり眺められる空間になっている。
まず足を止めたのは、歴代のXシステムが並ぶ展示だ。2016年に登場した初代「X1D-50c」から「X1D II 50C」「X2D 100C」を経て、現行の「X2D II 100C」へと続く流れを実機で見比べられる。
2026年は、HasselbladがXシステムを発表してから10年の節目にあたる。デジタル中判ミラーレスの登場はまだ最近の出来事のように感じられるが、歴代機が並ぶと、その進化の歩みを改めて実感する。細部の形状や操作部は変わっても、ボディの輪郭やグリップには共通する造形が受け継がれている。年表や製品写真だけでは気づきにくい部分だ。
現行機では「X2D II 100C」と「907X & CFV 100C」が目を引く。グリップと電子ビューファインダーを備えた一体型のX2D II 100Cに対し、907X & CFV 100Cはモジュラー構造を採用した独特のスタイルだ。同じHasselbladの中判デジタルカメラでありながら、ボディの形状も操作方法も大きく異なる。特に907X & CFV 100Cは、Vシステムのフィルムカメラを思わせる構成で、Hasselbladの歴史と現在のデジタル撮影をつなぐ存在として興味深い。
ガラスケースの周囲には、カメラやレンズに加えて写真集や関連資料も並ぶ。なかでも印象的だったのが、アポロ11号の月面撮影にまつわる写真や資料だ。Hasselbladと月面撮影の関係は広く知られているが、現行のカメラと同じフロアでその歴史に触れられると、機材の性能だけでなく、そのカメラが何を記録してきたのかにも自然と目が向く。
フロアには、現行カメラと交換レンズを試せるタッチ&トライ用のテーブルも用意されている。中判カメラはレンズを装着したときの重量バランスやグリップの感触も重要になるため、実際に構えてレンズを付け替えられるのは機種選びの大きな参考になる。歴代機を見た後に現行機を操作すると、デザインだけでなく、カメラとしての使い勝手がどう進化してきたかも体感できる。機材選びに加えて、ファームウェアの更新やメンテナンス、修理の相談にも対応しており、すでにHasselbladを使っているユーザーにとっても頼れる場所になりそうだ。
2階は展示を見るだけの空間ではない。展示ケースを移動させれば、小規模な撮影体験の場としても使える構成で、今後Hasselbladの撮影イベントも予定されている。静かなギャラリーのように見える空間が、撮影イベントやクリエイター同士の交流の場にも変わる。今後どのような使われ方をしていくのか注目したい。
機材と出会い、写真を見つめ直す場所
1階のDJIフロアでは、最新機材を手に取り、組み合わせながら次の撮影方法を考えられる。階段を上がった2階のHasselbladフロアでは、歴代カメラと現行機を見比べ、写真とカメラの歴史に触れられる。
撮影の幅を広げる機材との出会いと、写真そのものを見つめ直す時間。性格の異なる2つの体験を同じ建物の中で行き来できることが、表参道店の最大の魅力だろう。新しい機材を探すだけでなく、次の撮影のヒントを持ち帰れる場所が、表参道に誕生する。