Appleは、iPadのための「Final Cut Pro 2」を発表した。

iPadのためのFinal Cut Pro 2は今春後半より、既存ユーザーには無料アップデートとして提供され、新規ユーザーはApp Storeで月々700円または年間7,000円のサブスクリプションとして利用できる。1か月間の無料トライアルがある。

Final Cut Cameraは、今春後半より単体のアプリとして無料で提供される。

Macのための「Final Cut Pro 10.8」は既存ユーザーには無料アップデートとして、新規ユーザーにはMac App Storeを通じて45,000円で提供される。すべての新規ユーザーは、Final Cut Proの90日間無料トライアルをダウンロードできる。

iPadのためのFinal Cut Pro 2

iPadのためのFinal Cut Proの最新のアップデートは、iPadをさらにパワフルな制作スタジオへと変身させ、すべてが新しいビデオワークフローをもたらすと同時に、新しいApple Pencil Proによってさらに多くの機能を提供するという。新しいiPad Proに搭載されたM4により、最終的なレンダリングは最大2倍高速で、編集者はM1の場合と比較して最大4倍多いProRes RAWのストリームのサポートを活用可能。

ライブマルチカム

iPadのためのFinal Cut Pro 2は、ユーザーが自身のデバイスで作業する場合でも、ほかの人と共同作業する場合でも、1つのシーンを最大4つの異なるアングルから撮影できる新しいソリューションとなるライブマルチカムを提供する。ライブマルチカムは新しいビデオ撮影アプリのFinal Cut Cameraを通じてワイヤレスで接続し、ユーザーは最大4台のiPhoneまたはiPadデバイスを確認することが可能。リアルタイムで各カメラのディレクターズビューを提供できる。

それぞれのライブカメラフィードは、iPadのためのFinal Cut Pro 2から設定を調整できるので、露出、フォーカス、ズームなどを簡単にダイヤル調整してショットに仕上げることができる。編集可能なプレビュークリップはiPadのためのFinal Cut Proにすぐに送信され、バックグラウンドでフル解像度のファイルと置き換えられるので、ユーザーは制作から編集へシームレスに移行可能。

Final Cut Camera

iPadのためのFinal Cut Pro 2のライブマルチカムに対応するために、各ビデオフィードのライブモニタリングや個別のコントロールを可能にするFinal Cut CameraがiPhoneとiPadに登場する。iPhoneとiPadのカメラシステムを活用して、ユーザーはゼブラやオーディオメーターを使って撮影内容をモニタリングしながら、Final Cut Cameraでホワイトバランス、手動フォーカスなどの設定を調整できる。

また、ISOやシャッタースピードの調整と、フォーカスピーキングが可能になり、iPad AirとiPad Proのカメラシステムにさらにパワーがもたらすという「。Final Cut Cameraは、iPhoneとiPadで高い精度でマニュアルコントロールを使用してプロ仕様のビデオを撮影するための、単体のビデオ撮影アプリとして無料でダウンロードすることも可能。

iPhoneとiPadのまったく新しいFinal Cut Cameraアプリは、Final Cut Proに接続して使用することも、単体のプロ向け撮影アプリとして使用することも可能。ビデオ設定を高い精度でマニュアルコントロールできる

外部プロジェクトに対応

ストレージの柔軟性をさらに高めるために、iPadのためのFinal Cut Pro 2は外部プロジェクトに対応する。ユーザーは、外部ストレージデバイス上でプロジェクトを簡単に作成したり、開いたりすることができ、iPadの容量を使用せずにメディアを読み込むことができる。編集者は外部プロジェクトをすぐに別の編集者に渡したり、MacのためのFinal Cut Proに取り込むことができる。外部ストレージ上で新しいプロジェクトを作成することも、高解像度ファイルやProResなどのプロ向けコーデックやLogをシームレスに読み込むこともできる。

カスタマイズの方法がさらに充実

iPadのためのFinal Cut Pro 2には、プロジェクトをカスタマイズするさらに多くのオプションが用意されている。ユーザーは、12個の新しいカラーグレーディングプリセットを使って編集をダイヤル調整し、8つのベーシックテキストタイトルから選び、20の新しいサウンドトラックで音楽を作り、ダイナミックな背景を追加して、エフェクトオーバーレイやタイトルシーケンスを作成できる。

パワフルな新しいApple Pencil Proは、iPadのためのFinal Cut Pro 2のユーザーにさらに高い精度をもたらすという。ライブ描画がバレルロールに対応し、ユーザーは選択したツールをさらに正確にコントロールできるようになり、スクイーズで多くのブラシや設定をすぐに表示できる。

MacのためのFinal Cut Pro 10.8

Macでは、編集者はプロフェッショナルワークフローを次のレベルに引き上げることができるという。AppleシリコンのNeural Engineを活用し、新しいAI機能と管理ツールがFinal Cut Pro 10.8に加わる。既存ユーザーには無料のアップデートとして提供されるFinal Cut Pro 10.8ではEnhance Light and Colorが導入され、色、カラーバランス、コントラスト、明るさを1つの簡単なステップで改善する機能が利用でき、SDR、HDR、RAW、Logエンコードされたメディア向けに最適化される。Smooth Slo-Moでは、ビデオのフレームを賢く生成してブレンドすることで、高品質の動きを提供し、プロジェクトにさらにドラマチックな表現をもたらすという。

Smooth Slo-Moは、ビデオのフレームを賢く生成してブレンドすることで、高品質の動きを実現

ポストプロダクションワークフローの効率化のために、インスペクタで色補正とビデオエフェクトにカスタムの名前を付けて、クリップに適用された変更を特定しやすくすることが可能。また、エフェクトをインスペクタからタイムラインまたはビューアの別のクリップにドラッグすることができる。タイムラインインデックスは、メディアやエフェクトが見つからないクリップを検索して閲覧する機能を提供する。テキストベースのタイムライン検索には、リール、シーン、カメラアングルのような重要な情報が含まれるようになるという。

ユーザーは、タイムラインインデックスでメディアやエフェクトが見つからないクリップを検索して閲覧することができるようになる

Appleのアプリのワールドワイドプロダクトマーケティング担当シニアディレクターであるブレント・チウ・ワトソン氏は次のようにコメントしている。

iPadのためのFinal Cut Proを使った編集作業の持ち運びやすさと柔軟性はユーザーに愛されてきました。これは、iPadでできることのすべてを活用できるように一から設計され、Apple Pencil ProやM4チップといった最新の進化も引き継いでいます。今回、iPadのためのFinal Cut Proはさらにパワフルになり、iPadを中心に置いてスタジオでも外出先でもこれまで以上に編集と共有をすばやく行えるようにすることで、クリエイターの制作ワークフローを変革します。また、MacのためのFinal Cut Proは、よりスマートで高速な新機能により、引き続き編集者に効率性の向上をもたらします。