txt:稲田出 構成:編集部
様々な用途に使用可能なBlackmagic Micro Studio Camera 4K
カメラ上部にはネジ穴が1つ
4K(UHD)撮影に対応した超小型カメラBlackmagic Micro Studio Camera 4Kは、昨年のNABで発表されたもので、すでにイベントや放送などで活用されている。このカメラは、超小型ということでドローンへの搭載や仕込みカメラなど、様々な用途に使用できるようになっており、4K出力に対応した6G-SDIと、HD出力に対応したHDMIのコネクターが装備されているほか、Dサブ15ピンのコネクターにオプションのケーブルを接続することで、電源供給やリファレンス入力、LANC、B4レンズコントロール、PTZコントロール、S.Busデジタルサーボの接続も可能となっている。
カメラ下部にはネジ穴が3つあり、リグやドローンなどに装着可能
15ピンコネクターにより、電源のほか各種コントロールなどが可能
オプションの15ピンDサブケーブル。電源供給やリファレンス入力、LANC、B4レンズコントロール、PTZコントロール、S.Busデジタルサーボの接続が可能
また、Blackmagic Studio Camera同様に、ATEM Production Studio 4KやBroadcast Studio 4Kと6G-SDIで接続することで、カメラの設定のほかカラーバランスやブラックレベル、ガンマ、レンズフォーカス、アイリス/ズームコントロールなどをATEMスイッチャー側からリモートコントロールすることができるようになっており、ATEMスイッチャーがCCUとして機能するようになっている。
小型レコーダーなどと組み合わせてスタンドアローンで使用できるほか、Blackmagic Studio CameraとATEMスイッチャーとの組み合わせでスポーツや音楽イベントなど、システムとしても運用可能なUHD対応のマルチパーパスカメラといえよう。
こうした多目的な使用を前提としたカメラの場合、運用状況によってレンズの選択の幅が広いことが望まれるが、Blackmagic Micro Studio Camera 4Kのレンズマウントはマイクロフォーサーズとなっており、スチルカメラ用の各種レンズが使用できるほか、マウントアダプターもサードパーティー各社からB4マウントやPLマウント、Cマウントなど様々なアダプターが発売されており、価格だけでなくかなり特殊な用途のレンズにも対応可能だ。
レンズマウントは汎用性の高いマイクロフォーサーズを採用している
Blackmagic Micro Studio Camera 4Kはレコーダー部を持たないので、レコーダーとしてVideo assist 4Kを組み合わせている。接続は当初HDMIで行っていたが、HDMIではHDの出力となってしまうので、後日6G-SDI接続用にケーブルを調達した。カメラ側の6G-SDIコネクターは、カメラが小型ということもあり、ミニBNCというあまり馴染みのないコネクターとなっている。とはいえ、カナレやベルデンから対応ケーブルが数千円で販売されており、それほど特殊というわけではない。
ビデオ出力コネクターはあまり馴染みのないミニBNCを採用している
カメラの各種設定はオンスクリーンで行うようになっているが、この表示はHDMIのみで6G-SDIからは設定画面は出力されないため、UHD撮影する場合の設定時にはHDMI接続したモニターが必要。もちろんATEMスイッチャーに接続する場合はATEM側で設定可能だ。ただしこの場合は、カメラ側の6G-SDI入力コネクターにもATEMと接続する必要がある。
今回運悪く借用期間中は台風の影響でほとんど晴れ間がない状態で、屋外ではほとんど撮影できなかったが、オリンパスの標準ズーム14-42mmを装着して近影と遠景の撮影を行ってみた。
オリンパスの標準ズーム14-42mmを装着
オリンパスの標準ズームによる遠景撮影※画像をクリックすると拡大します オリンパスの標準ズームによる近接撮影
※画像をクリックすると拡大します
撮影にあたってカメラ側の設定のAuto Exposureの項目をIris+Shutterにしている。レンズの絞り(アイリス)とシャッターで露出を合わせる設定である。ほかにもIrisのみ、Shutterのみなどの設定が可能だ。ホワイトバランスとフォーカスはマニュアル設定となる。
撮影にあたってカメラ側の設定のAuto Exposureの項目をIris+Shutterにした
カメラのモニタリング設定。HDMIをオーバーレイにすることで設定画面が出力される
最近のスチルカメラはオートフォーカスが標準となっており、レンズのマニュアル操作でのフォーカス調節は非常にやりづらい。広角レンズを絞ってパンフォーカスで使用した方が良いようだ。この場合はAuto Exposureの項目をShutterにしておくと露出はオートで合わせることができるが、動きのある被写体の場合はちょっと不自然になるかもしれない。
マイクロフォーサーズマウントの利点は、サードパーティーが各種マウントアダプターを用意してあることともいえる。今回はCマウントアダプターを使ってシュノーケルカメラなどでよく使われるL型のレンズを装着して撮影してみた。Cマウントは顕微鏡や天体望遠鏡などでも変換アダプターがあるので、かなり汎用性があるマウントといえる。ただし、Cマウントのレンズの多くは2/3インチまでしかイメージサークルがなく、こうしたレンズで撮影すると周辺がけられるので、顕微鏡や天体望遠鏡ならばともかく、撮影レンズとしてCマウントレンズを使うのは難しいかもしれない。
Cマウントアダプターを使用しL型のレンズを装着
L型レンズによるIC基盤の撮影
L型レンズによるリモコンの撮影
Blackmagic Micro Studio Camera 4Kは、ドローンやリグに搭載して使用する以外にも、マクロ撮影や顕微鏡撮影などで動画を撮影するカメラとしても非常に有効だと思う。特に既にビデオカメラがCマウントで装着されているような場合では、Blackmagic Micro Studio Camera 4KとCマウントアダプター、HDまたはUHD対応のモニターを用意すれば簡単に挿げ替えることが可能だ。価格的にも非常にリーズナブルな選択となるだろう。こうした特殊な撮影ではHDまででUHDに対応したシステムはほとんどなく、存在していても非常に高価だったりするからだ。
動画の記録もVideo Assist 4Kならばモニターも兼ねて10万円ほどである。HDで良ければ同型のBlackmagic Micro Cinema Cameraという選択肢もあるだろう。Blackmagic Micro Cinema Cameraならばレコーダーも搭載しているので、レコーダーを用意する必要もない。
UHDのビデオフォーマットは4K30pに対応
ビデオ業界ではお天気カメラや顔出しカメラでよくマルチパーパスカメラが使われているが、レンズマウントはB4で、放送用のレンズを使うことが前提となっている。Blackmagic Micro Studio Camera 4Kは、こうした用途もカバーできるほか、レンズマウントがマイクロフォーサーズなので、アダプターを使用することで、スチルカメラ用のレンズのほか、顕微鏡や天体望遠鏡など様々な用途で使用することが可能だ。また、ATEMスイッチャーと組み合わせて各種イベント収録用の仕込みカメラシステムとしてや、電動雲台に搭載してロボットカメラ的な応用もできるだろう。