txt:猿田守一 構成:編集部

使いやすさを追求したFS7 II

先代のFS7が2014年10月に発売されてからおよそ2年少々経つが、Sonyよりさらなる使いやすさを追求した新たなモデルであるFS7 IIが発売された。全体の形状は今までのタイプを継承。新たに可変NDやアサインボタンの数を増やすなど、撮影現場からの要望を具現化した。いわゆるユーザーフレンドリーなカメラと言ってもいいだろう。

FS7 IIは、記録部分に関しては先代のFS7と変わるところがないので、今回のレポートは新たに変わった部分に焦点を当ててレポートしてみる。

電子式可変NDフィルター

今回の目玉機能である電子式可変NDフィルターは、本機のような大型イメージセンサー搭載カメラには是非とも欲しかった機能だ。すでに先行発売されているFS5に搭載されているものと同じ機能を有する。旧モデルのNDフィルターは3段階式で最大は1/64の減光量までだった。

作品の表現の幅を大きく左右する“ボケ”を得るためには開放F値の低いレンズ(明るいレンズ)を用いるのだが、このボケ足(シャローフォーカス)を得るために明るいレンズを開放付近で用いた場合1/64の減光量では足りない場合があった。これらの問題を本機の電子式可変NDフィルターは見事に解決してくれる。最大1/128までシームレスに減光ができるのだ。これは撮影時間がタイトな現場では非常に有難い機能である。今までのように前玉にNDフィルターを装着したり、マットボックスにNDフィルターを装着したりということがこの新機能により省かれ、よりクリエイティブな作品作りに専念できるのではないだろうか。

操作的にはND OFF(クリア)とND1、2、3とターレット状のつまみを回し今までと同じようにプリセットされたものを切り替えるプリセットモードと、バリアブルで可変できるモードがある。プリセットモードに関しては光学NDフィルターを使用するのではなく、電子式可変NDフィルターで指定された減光量をターレット型スイッチに割り当てる仕組みだ。バリアブルモードの場合側面に付いているダイヤルを回すことでIRIS、またはNDをバリアブルで調整することが出来る。このダイヤルの隣にあるスイッチで、IRISとNDを選択する。

NDターレット型ダイヤルの隣にはレンズロックリングストッパーが新たに加わった。このレバーでレンズロックリングをロックできる。今までのロックリングのみより、遥かに安心感が加わった

広角寄りになった標準レンズSELP18110G

先代FS7に標準で設定されていたレンズは28mm-135mm F4という仕様で、実際にこのレンズでは引きの28mmというのは35mm換算おおよそではあるが47mm程度となる。そのため引けないレンズという印象が強かった。今回新たに加わったSELP18110Gレンズは引きが18mmとワイドになったため(35mm換算で16:9モードでは30.6mm 17:9モードでは28.8mm)だいぶ使いやすくなった。開放F値がF4のためボケ足はそれほどでもない。しかしながら18mm-110mmまでの6.1倍ズームが出来るという点では非常に便利である。マウントはEマウント仕様となる。

フォーカスはオートとマニュアルを切り替えて使う事が出来る。鏡胴横に付いているズームサーボスイッチはバリアブルでズームスピードをコントロールできる。特筆すべき点としてはスローズームがとても滑らかに行える点である。止まった状態からゆっくりズームin or outする場合の動き始めは、ENGレンズのような感じの滑らかな動きであった。また光学式手振れ補正機能も内蔵されている。

アイリスリングをマニュアル操作する場合、開放値のF4の先にA(オート)があり、F4とAとの間には何のクリックもなくスッとAに入ってしまう点は使っていて気になったが、レンズにロックスイッチ(STEADY SHOTスイッチの反対側)があり、それをONにするとF4で止まり、そこから先に行かないようになる。逆にAに入れた状態でONにするとAで固定されるという。

側面パネルに追加されたアサイナブルボタン

撮影中カメラマンがアクセスしやすい場所にアサイナブルボタンが設置された。このアサイナブルボタンに割り当てられる機能は40種類ほどにのぼる。

角型ロッド

ビューファインダーを支持するロッドが丸から角となり、ビューファーが常に水平に保てるようになった。角ロッド用のクランプスペーサーを外すことにより、φ15mmの丸ロッドが使用可能になる。

長さ調整が簡単に行えるようになったグリップリモコンアーム

以前のモデルはグリップリモコンアームの長さ調節を簡単にすることができなかったのだが、今回の改良により楽に長さ調節ができるようになった。

今回の数々の改良により、現場でのセッティングや使いやすさの向上が図られ、より撮影しやすいカメラに仕上がった。FS7は元々の設計段階から重量バランスや機能性がよく考えられたカメラだと思う。カメラ上部のハンドルを握って持ち上げると重心線上にハンドルがあるため、標準の装備であれば写真の様に水平に落ち着く。このことは非常に重要で、ハンディー撮影の時に非常に有効であると筆者は思う。実にSonyらしいノウハウの詰まったカメラではないかと感じた次第である。

WRITER PROFILE

猿田守一

猿田守一

企業、CM、スポーツ配信など広範囲な撮影を行っている。PRONEWSではInterBEE、NAB、IBCなどの展示会レポートを行った経験を持つ。