■希望小売価格:税込69,630円
■発売日:2022年12月2日

MC-N10の基本概要

ニコンリモートコントローラー説明写真

ニコンリモートグリップ「MC-N10」は、USB-CケーブルでZシリーズのカメラ「Z 9」、「Z 7II」、「Z 6II」(2022年11月2日現在)と有線接続して使用するリモコン機能付きのグリップです。

MC-N10の特徴は、手持ち撮影、三脚撮影、ハイアングル、ローアングル、カメラに触れられない状況にあっても快適にカメラをコントロール可能になります。

使用される方の手の大きさにもよると思いますが、私の手にはとても合っており、がっちりと掴むことのできる絶妙なグリップ感が得られました。重量は、電源である単三電池2本を含むと約260gと、⾧時間手持ち撮影やジンバル撮影をする際は負担が大きくなるかな、という重さになっていますが、カバンに一つ入れておくだけで、撮影環境は快適なものになります。

MC-N10にはカメラ本体と同様の機能を持たせた、似たようなボタンが配置されており、直感的に操作できます。

パンニングしながら露出を替える、シャッタースピードを替える、絞り値を替えるなど、一連の動作がスムーズにできるように設計されています。反対側にはARRI標準ロゼットが装備されており、パン棒やリグなどに装着が可能となっています。

私は正直、撮影する都度、有線でMC-N10を接続するのも面倒くさいし、カメラの設定を変更するだけなら、無料で提供されているスマホアプリの「SnapBridge」で事足りるだろうと思っていました。通常の目線の高さにカメラを構え、パンなど一切オペレーションをしない状態であれば「それもあり」ではあります。

しかしスマホのアプリを立ち上げてカメラとの接続をするのも時間がかかりますし、場合によっては接続エラーが発生する場合もあります。

ニコンのソフトウェア「SnapBridgeアプリ」
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カメラとSnapBridgeが接続できない場合もある
※画像をクリックして拡大

特に大勢のカメラマンがいる屋内撮影など、接続不安定の可能性も想定した場合、有線で確実につなげられるMC-N10はそういった不安を解消するに値すると思います。

ケーブルをつなぎ、MC-N10の電源を入れ、本体のOKボタンを押せば準備完了

実際私も普段は風景動画撮影を主としており、三脚に固定して撮影することが多いのですが、カメラに触れることなく設定などを替えられ、環境に左右されることなく確実に動作するMC-N10は非常に重宝するアイテムであると感じました。

このMC-N10は、単3電池2本の電源で運用できます。仕様では連続使用12時間となっていますが、私がお借りした2週間程度の期間では使い切ることはありませんでした。⾧い撮影や極寒の場合は、念のためもう1セット単3電池を用意しておくとよいと思います。

ハイアングルやローアングル撮影で本領発揮

ハイアングルの撮影

このグリップが特に本領を発揮するのは、ハイアングルで設置した三脚に載せる場合や、ローアングルでの撮影時、および手持ち(ジンバルも含む)撮影時です。

まず、コンサートやイベント撮影時など、手前の人を飛び越しての撮影や、フィールド撮影時に柵や障害物を避けて撮影する場合、ハイアングルでの撮影となることが多いですが、ハイアングル撮影では物理的にカメラ本体のボタン類に手が届かなくなるため、通常であれば撮影者は脚立などに上って撮影することになります。

しかしこのMC-N10を三脚のパン棒に取り付けることにより、大抵は脚立を使わなくても撮影やカメラ設定の変更ができるようになります。

アタッチメント

パン棒などへの取り付けは、別途クランプやARRI標準ロゼットアダプタなどが必要となります。安価なものがありますので、それほど負担にはならないですが、できれば同梱してほしいですね(今回はSmallrig社製の「ARRI用ロゼット&NATO互換マウント(M6ネジ穴)2046」、「スーパークランプ2220」、「50mmNATOレールBUN2468」も同梱でお貸しいただきました)。

USB-Cケーブル(UC-E25)

付属のUSB-Cケーブル(UC-E25)は約60cmと「ちょっと短いかな」と思っていましたが、これが必要十分な⾧さに設定されていて、私の使用している三脚のパン棒を最大に伸ばした状態でも届きました。

ただ、ケーブルと端子の堅牢性と引き換えに、若干取り回しが難しいので、より⾧さに余裕をもって、フレキシブルに接続したい場合は別途USB-Cケーブルを購入したほうがよいと思います。

次にローアングルですが、別途カメラケージなどをそろえて、ロゼットアダプタをカメラ側に装着してから、MC-N10のARRI標準ロゼットを装着せねばなりませんが、快適なローアングルでの運用が可能になります。

MC-N10に物理的な角度がつけられますので、グリップの自然な持ち方が可能になり、各ボタンの操作やカメラのハンドリングがとても楽になります。手持ち撮影の場合でも、本体グリップよりもしっかりとカメラを支えることができ、しかも様々なボタンを操作することにより、快適な撮影セッティングができます。

MC-N10の基本機能として、ボタンの割り当ては撮影者が設定したボタン機能も含め、全て本体側のセッティングと同様のセッティングとなっていますので、いちいちグリップ側のセッティングをする必要はありません。私はグリップのボタンにあるものは、基本的にデフォルトのボタン機能にしています。

グリップの指がかかるところにはF1、F2のボタンが配置されておりますが、私の場合は、ドキュメンタリーやプロモーション撮影時の手持ち撮影用に、Z 9に新たに加わった機能であるハイレゾズームを割り当てています。

ハイレゾズームを使用するには、画像サイズやファイル形式などの制限がありますが、プライムレンズ装着時でも、「もう少し人に寄りたい」と思った際に、レンズ交換をすることなく画角が変えられるのは非常に便利です。F1、F2の機能は撮影者が一番使いやすい機能を割り当てればよいと思います。

もう一点、MC-N10の機能で嬉しいのが、ダイヤルのクリック音がないことです。撮影時にセッティングを替えたい場合に、カメラ本体のダイヤルですとダイヤルのクリック音が入ってしまう場合があります。こうした配慮もなされているのは、地味ですが大きな利点です。

USB端子の位置や電源のON/OFFスイッチは改善を望みたい

MC-N10本体は、Z 9同等の高い防塵・防滴性能を備えており、体感もマイナス10度までと、フィールド撮影では頼もしい性能ですが、唯一残念なのが、USB端子の位置です。せっかく防塵、防滴をうたっているのに、端子が上向きに付いているため、ほこりや水が入ってしまいます。

悪条件の環境の場合はケーブル周りにテープ類を巻くなど、多少気をつけて使うことをお勧めしますし、ニコンさんには今後位置を改善した製品を望みます。

次に注意する点ですが、MC-N10にも電源のON/OFFスイッチが付いていますが、間違えてしまうのが、これはMC-N10の電源スイッチであり、本体の電源スイッチをON/OFFする物ではないということです。本体の電源スイッチと同じような場所にあって、同じ形なので注意しないと、本体の電源が入っていなかったということもたまにありました。

各種アタッチメントを用意しなければいけない所も注意点です。もちろんカメラにMC-N10だけを接続して使用することはできますが、より快適に使うには、カメラケージやクランプ、ロゼットなど、MC-N10をカメラとセットで固定するものが必要になってきます。ニコンの製品ページにも「推奨他社アクセサリー」として紹介はされていますが、できれば基本的な物はセットにしてほしいと思いました。

MC-N10の惜しいのは価格です。あればより快適な撮影環境になるのは間違いないのですが、リモートコントローラーは税込約7万円です。私は間違いなく「買い」であると思いますが、価格の面も今後の期待としておきます。

山崎一
光を追い求める映像作家。8K風景映像作品を核としながら、人、物、事のドキュメンタリー作品、プロモーション映像を手掛ける。

WRITER PROFILE

編集部

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。