Vol.245 Hyprdeckメイン写真

Blackmagic Designより発売中のHyperDeckシリーズは、SSDやSDカードを使用して使うことができるレコーダー兼プレイヤーだ。現行のラインナップは2021年7月にStudioシリーズ4機種、2022年4月にExtreme 4K HDRとShuttle HDが登場し、多種多様なラインナップ機種がそろっている。

さらに、HyperDeckのソフトウェアアップデート8.3でNAS収録機能が搭載して、この機能が話題だ。そのあたりも含めて紹介しよう。

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上段よりHyperDeck Studio HD Mini、HyperDeck Studio HD Plus、HyperDeck Studio HD Pro、HyperDeck Studio 4K Pro

収録から再生まで、幅広いモデルをラインナップ

従来よりStudioシリーズは展開されており、ラックマウントして使用することが可能。筆者自身もHyperDeck Studio HD Plusをよく使っており、現場では専用ケースにラックマウントして持ち運んで使用している。

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そんな、プロ向けのレコーダー兼プレイヤーとして活躍しているHyperDeckシリーズに、2022年4月、新たにHyperDeck Shuttle HD(以下、Shuttle)が登場した。手乗りサイズのShuttleは、Studioシリーズとは違い、ラックマウントではなく卓上に置いて作業できるように設計されている。

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もう一つ、Studioシリーズとの違いはACアダプターがついているところである。Blackmagic Design製品のラックマウント型の多くは電源ケーブルが付属していないので最初から付属しているのはありがたい。

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サイズ感はATEM Miniシリーズと奥行きや高さは同じレベルで親子のような感じに見える。

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フロントの大きいサーチダイヤルとわかりやすいボタン配置は、ATEM Miniシリーズを使っている映像初心者でもわかりやすいのではないか。

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背面には、映像入力用のHDMI端子、HDMI OUT端子、イーサネット端子、SDカードスロット、SSDなどをつなぐUSB-C端子、電源ジャックが備わっている。

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アップデートでネットワークを介した収録・再生に対応

Shuttleの発売から1年が経過しようとした2023年3月に、HyperDeck 8.3アップデートが発表された。このアップデートはHyperDeck Extreme 4K HDR、HyperDeck Extreme 8K HDR、HyperDeck Shuttle HDが対象。この3機種に関して、ネットワークを返した収録再生やネットワークの収録、ライブ編集機能が追加される。

Blackmagic Cloud Storeと連携が可能になり、SDカードやSSDをShuttle本体に接続せずともCloud Storeに録画、再生が可能。DaVinciからアクセスできて、編集も可能になる。これは大きなメリットをもたらすアップデートだ。

ただし繰り返しになるが、このアップデートはすべてのHyperDeckシリーズに対応するものではなく、下記の図に赤枠をつけた2022年4月発表の3機種が対象である。筆者も所有し、現場でも人気の高いHyperDeck Studioシリーズは対象外だ。また、NASはCloud Storeシリーズを対象としており、Blackmagic Design製以外は対応外としている。

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実際にBlackmagic Cloud Store Mini 8TBをつなげた様子を紹介しよう。設定は至ってシンプル。同じネットワーク空間に両機を接続するだけ。接続後はShuttle側のメニューで、「ストレージ」タブの中にある「ネットワークドライブの接続」でBlackmagic Cloud Storeを探して選択するだけである。

Blackmagic Design導入事例:A24劇場映画「Showing Up」の場合

さらに2023年6月のHyperDeck 8.3.1アップデートより、上位のフォルダーのみだけではなく、サブフォルダーに直接収録する機能も追加されている。あとは、RECボタンを押すだけで録画がBlackmagic Cloud Store Mini 8TBにされる。

この機能は最近発売されたネットワークストレージ搭載のBlackmagic Design Televison Studio HD8やISO、4K8でも使うことが可能だ。Blackmagic Designの新Televison Studioのプレスリリースには「ネットワークストレージ搭載」と紹介されているが、実はネットワークストレージはCloud Storeと同じ機能を搭載している。あえて違いを言うならば、Cloud StoreはHDMI出力から状況をリアルタイムで確認できる機能を特徴としていたが、その機能は省かれている。それ以外は全く一緒だ。そのため、同じネットワーク空間にHyperDeck Shuttleを接続するだけでShuttle側を自動的に認識してくれる。

例えば、Eスポーツ配信で「今のシーンをもう一回度」といったリプレイ再生したいときに、これまでのTelevision Studio単体では頭出しの機能ついていないために難しかった。HyperDeck Shuttleと組み合わせることで、頭出し+リプレイ再生が容易になるのは嬉しい。

Blackmagic Design導入事例:A24劇場映画「Showing Up」の場合

一度使用したネットワークドライブは履歴に登録され、再度階層を遡り登録をせずとも、簡単にセレクト可能なのが良い。

アップデートでよりセキュリティを強固に運用することも可能

このほかにも、HyperDeck 8.3アップデートでは、ネットワーク・タイム・プロトコル、HTTPおよびHTTPSファイルブラウジング&転送、ネットワークセキュリティのオプションも追加した。

設定ページにアクセスするためにはHyperDeckアプリをインストールしたPCより、設定画面に新たに追加された「Network Access」の項目にアクセスする。FTPやHTTPの設定の有効、無効が選択できるようになった。

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さらに、2023年6月のHyperDeck 8.3.1アップデートより、ユーザー名とパスワードを使用したログインの設定もできるようになり、よりセキュリティを強固に運用することも可能になった。

Blackmagic Design導入事例:A24劇場映画「Showing Up」の場合

「Network Access」の項目よりHTTPのURLをブラウザーに貼り付けをしてアクセスすると、現在Shuttleに接続されているSDカードやSSDの中身の情報が見られる。もちろん、この画面からデータをダウンロードやアップロード、削除も可能で簡単に操作が可能だ。

Blackmagic Design導入事例:A24劇場映画「Showing Up」の場合

進化するHyperDeck Shuttle HDの可能性

2022年4月に発売した当初は、シンプルなレコーダー兼プレイヤーだったShuttleだが、2023年に入ってからの度重なるアップデートにより、より高機能な機体へ生まれ変わったように感じた。アップデートの目玉であるCloudStore連携では、CloudStoreと1台もしくは2台のShuttleを併用してのRECと再生もしくは、TelevisionStudioシリーズとの組み合わせによってリプレイ機に進化するという可能性が大きく広がり、今後のアップデートにも期待したい。

泉悠斗|プロフィール

神成株式会社、AVC事業部 部長。マルチカムでの収録および配信をはじめとする映像制作全般を得意とし、最新の機材を取り入れた映像制作に取り組む。近年では、西日本一の長さを誇る水上スターマインを打ち上げる「福山あしだ川花火大会」の生中継をはじめ、「TOYAMA GAMERSDAY」などのe-Sports映像制作まで幅広く手掛ける。また、高校放送機器展事務局長として、学生の映像制作活動支援を行う。

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。