世界最小・最軽量高倍率ズームレンズ「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」爆誕。ハーフマクロまで使える粋なレンズ[OnGoing Re:View]

筆者がこのレンズと出会ったのは、CP+2024のLUMIXブースだった。このレンズを手にするまでは「高倍率ズームレンズは画質は期待できない」「絞り開放でF4-7.1では暗すぎる」などあまり好印象とは言えない考えを抱いていた。というのも、筆者は普段から明るい単焦点レンズを好んで使い、業務でもF2.8通しの比較的明るいズームレンズを使うことが多いからだ。

しかしその疑念はこのレンズを構えてすぐに確信に変わった。「このレンズは使える子だ」。この度改めて編集部からこのレンズをお借りできたので、スチル・動画の両面から使用感などを交えて紹介する。

世界最小・最軽量高倍率ズームレンズ

まず筆者がこのレンズを触って第一に驚いたのが「小ささと軽さ」だった。大きさはΦ77.3×約93.4mm、重さはたった413gしかない。

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LUMIX S5のキットレンズとして人気を博したLUMIX S 20-60mm F3.5-5.6を彷彿とさせる大きさだ。実際に比較してみると、直径は同じで全長で6mm長くなり、重量は63g増えた程度で、その違いはほとんどわからない。

LUMIX S5IIに本レンズを装着してテスト撮影に出かけたが、ずっと手持ち撮影していたにも関わらず、手への負担もなく一日撮影できたのは、この軽さのおかげと言っていいだろう。

フィルター径はφ67mmで、こちらも20-60mmと同じ径。キットレンズからの買い足し候補の一つとして、フィルター共用がしやすいのもプラスポイントである。防塵・防滴仕様にもなっているので、多少の小雨くらいでは問題ない。お散歩レンズとして持ち出す頻度も高い本レンズの使い勝手を考えると、防塵・防滴は嬉しいポイントだ。

ボディ外装は樹脂製だが、過去のLUMIXレンズ同様、質感の高いものになっている。スイッチ類はAF・MFの切り替えと、O.I.SのON・OFFの2つと必要最小限になっており、ズームレンズのロック機構が省かれているが、ズームリングの絶妙なトルク感で、カメラを手に持って振り回しても勝手に伸びるようなことはなかった。この辺りも軽量化を意識した作りになっていると思われる。

次に光学スペック等を考察する。

光学スペック

  • 焦点距離:ワイド端28mm~テレ端200mm
  • レンズ構成:13群17枚(非球面レンズ1枚、EDレンズ4枚、UHRレンズ1枚)
  • 絞り形式:9枚羽根 円形虹彩絞り
  • 最短撮影距離:0.14m(ワイド端)/0.65m(テレ端)
  • 最大撮影倍率:0.5倍(ワイド端)

使い勝手の良い28mmの広角から、少し遠くの物を大きく撮れる200mmの約7倍ズームと考えられた「便利ズームレンズ」となっている。

家族やペットを撮るにも、外でスナップを撮るにも、実にちょうどいい。

LUMIX Sシリーズと同時使用で使える手振れ補正(Dual I.S.2)に対応し、6.5段分の手振れ補正は200mmの望遠端でも手持ちでビタ止まりしてくれる。三脚なしでも撮れるシーンが増えることは、このレンズの利便性を高めてくれる。

ワイド端で最大撮影倍率0.5倍で撮影できる「ハーフマクロレンズ」であることも嬉しいポイントだ。筆者の印象だが、LUMIXは比較的ハーフマクロが撮れるレンズが多い気がする。気軽に持ち出せるお散歩レンズとして使用する上で、寄れるレンズである点は大きく評価したい。

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テレ端200mm 1/250 F7.1 ISO200
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ワイド端28mm 1/200 F6.2 ISO100

実際の使用感

冒頭にも書いた、筆者がネガティブに感じた「F4-7.1」という比較的暗めなレンズ特性を確認すべく、暗所が多い名古屋港水族館で作例を撮影してきた。本撮影にもLUMIX S5IIを使用し、フォトスタイルはナチュラルを使用した。

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名古屋港水族館

名古屋港水族館の中でも比較的暗い南極エリアで撮影した一枚。143mm開放F6.4時でISO2500まで上がるものの、AFも迷うことなく、目立ったノイズも出ず問題なく撮れた。これはレンズ特性云々ではなくカメラ性能が優れていたことが大きく影響しているが、現在最新のカメラを使用するならF4-F7.1は問題ないという裏付けにもなった。

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143mm 1/160 F6.4 ISO2500

解像感についても触れてみる。クラゲを広角寄り50mm付近で撮影してみたのだが、触手一本一本が解像されており、マクロらしい写りを見せてくれた。正直、ここまでの解像感はでないだろうと思っていたのが大きな誤算となった。ピントが外れた部分に目を向けると、ボケの溶け具合の美しさに驚く。あまり言われないが、LUMIXのボケの美しさはもっと評価されても良いと筆者は思っている。

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53mm 1/60 F5.0 ISO500

AFについても全く不満がなかった。イルカパフォーマンスでは置きピンではなく、S5IIの像面位相差AFをフルに使用して撮影した。イルカパフォーマンスの撮影は実に10年ぶりだったが、イルカのジャンプはほぼ全てにピントが合い、歩留まりよく撮影できた。これもS5IIのAF性能が優れていたことが大きく影響しているが、その性能を十分に発揮できるレンズであることは間違いないと思われる。

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51mm 1/1000 F4.9 ISO250

動画での使用感

ちょうど桜の良い季節だったので、近所の名所で動画を撮影してきた。そちらを紹介したい。この撮影もLUMIX S5IIとBlackmagic Video Assist 12Gを使用し、RAW(Blackmagic RAW)6Kにて収録した。

今回の映像はMFで撮影しているが、テストでAF動作の確認も行った。AF動作音もほぼ無音なので、被写体を追いかけるような撮影でも、LUMIX S5IIを使用すれば問題なくこなせると思う。

寄りの映像ではスチルで撮影していた時よりも、よりクッキリとした輪郭を映し出し、締りのある映像になったと感じられた。逆に引きの映像ではLUMIXらしい柔らかい表現となり、桜の木全体がひとつの固まりとして淡く咲き誇っている表現に繋がった。

筆者の好みとしては、引きでの解像感はもう少し高い方が良いと感じたが、今回の桜の映像のように、柔らかい表現をしたい場合とは相性が良さそうに感じた。

まとめ

LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.をLUMIX S5IIに付けて散歩に出かける。合わせて1150gになるカメラは決して軽いとは言えないが、撮れる画角を考えると決して重くはない。気になる被写体をあらゆる画角で、しかも寄って撮ることもできる万能レンズは、撮影する楽しみを一層満足なものにしてくれることだろう。

今回このレンズをお借りして、改めてこのレンズの楽しさに触れることができた。つい暗めのF値に意識が行きがちだが、このレンズにはそれを吹き飛ばす勢いがある。息をのむような解像度や空気感までは得られなかったが、どこに出かけるにも持ち歩きたいと思える気軽さと、十分な写りがある。撮る楽しみを味わいたい方にこそ、このレンズを手に取ってもらいたい。きっと最高の相棒になってくれるに違いない。

あきあかね

1977年生まれ。本業の傍ら2020年よりYouTubeにて映像作品や製品レビュー等を発信している。
近年では副業として企業VP制作や自治体からの依頼で映像制作や配信業務を請け負うサラリーマン映像作家として活動中。

WRITER PROFILE

編集部

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。