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パナソニックからマイクロフォーサーズセンサーを搭載したミラーレスカメラ「Gシリーズ」のフラッグシップモデルラインであるGHの名を冠する新モデル、「DC-GH7」(以下:GH7)が発表された。GH7は2024年7月26日発売、予約開始は2024年6月12日10:00から。市場想定価格は以下の通り。

  • ボディのみ:税込274,200円前後
  • 標準ズームレンズキット(LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 付属):税込347,500円前後

パナソニックのGHシリーズといえば一眼動画黎明期の名機であるGH2、世界で初めて4K動画収録に対応したGH4をはじめ、これまでのミラーレス一眼カメラの常識を打ち壊してきたカメラシリーズという印象だ。

2022年3月に発売された前モデルのGH6はLUMIXブランドで初めてApple ProRes形式を本体内部で収録ができるようになった革新的なモデルで、初のチルト&フリーアングル液晶を備えより柔軟な撮影に対応できる人気機種だ。そんなGH6発売から2年が経過し、一体どのような部分がアップデートされたのかをフォーカスしていきたい。

まずはGH7の概要を以下にまとめた。

LUMX GH7概要

  • 2520万画素裏面照射型CMOSセンサー搭載
  • 5.7K30p FHD240p収録
  • 待望の像面位相差(PD)AF搭載
  • Apple ProRes RAW内部収録に対応
  • 32bit float音声収録に対応(※オプションのDMW-XLR2装着時)
  • LUMIX Lab、リアルタイムLUTに対応
  • プロキシ収録対応
  • Frame.io対応

外観・GH6との比較

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左:GH7 右:GH6

外観は旧モデルのGH6から変更はなく、モデル銘板のみの変更となっているようだ。入出力端子やカードスロットにいたるまで同一となっている。

待望の像面位相差(PD)AF搭載

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前モデルであるGH6まで、これまでGHシリーズのカメラにはコントラストAFが搭載されてきた。フルサイズセンサーを搭載したSシリーズの「S5 II」、Gシリーズの「G9PROII」と先日発表されたS9には像面位相差AFが搭載され、苦手だったオートフォーカスの部分を大きく改善してきた。

今回のGH7には多くのGHユーザーが待ちわびた像面位相差AFが搭載となっている。

Apple ProRes RAW内部収録に対応

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写真ではなく動画のRAW記録が可能なカメラはこれまでごく一部に限られており、写真であれば当たり前に使われるRAW撮影は映像の分野においてはまだまだハードルが高かった。Apple ProResに対応した前モデルのGH6登場からわずか2年で今度はApple ProRes RAWに対応するという開発力とスピードには脱帽せざるを得ない。

96kHz/32bit float音声収録に対応

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性能が向上したのは映像面だけではない。音声収録においても、今回大きなアップデートが施された。それが32bit float形式での音声収録対応だ。新しくGH7と共に発表されたオプションのDMW-XLR2を本体に装着すれば、リニアPCMよりもはるかに広いダイナミックレンジを持つfloat形式での音声収録が可能となる。外部のオーディオレコーダーを必要とせず32bit float形式での音声収録が可能となったことで、撮影現場ではオーディオ入力レベルを意識しなくても、後から自由にレベルを調整することが可能となると思われる。

これによって録音に詳しくないカメラマンでも収録後に音が割れていた、音量が小さすぎてS/Nが悪い、などといった従来のよくある問題が解決されるだろう。

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※4ch収録時は48kHzまでに制限される

オプションのDMW-XLR2

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市場想定価格:税込55,400円前後

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オプションのDMW-XLR2にはカメラオンマイクを取り付けできるホルダーをネジで取り付けできる。

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XLR端子が2つと3.5mmステレオミニ端子がついておりXLRユニットで4ch入力が可能。

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カメラのホットシューに装着し、ロックレバーを引くだけで固定できる。

LUMIX Lab、リアルタイムLUTに対応

先日パナソニックから発表されたフルサイズミラーレスカメラ、S9で発表されたLUMIX Labや、従来機種のS5 II・G9PROIIに搭載されたリアルタイムLUT機能が搭載された。

LUMIX Labはスマートフォンのアプリケーションで、3D LUTの作成・管理とカメラへの転送などがPC不要で簡単にできる強力なツールだ。リアルタイムLUT機能と組み合わせることで撮影現場で瞬時にLUTを適用してライブ配信や収録によりこだわった色表現を実現できる。

プロキシ収録・Frame.ioに対応

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ワークフローを効率化する機能はLUTだけではない。自動的に軽量なプロキシデータを収録し、Frame.ioに転送することが可能となった。これにより遠隔地にいるクライアントやエディターにリアルタイムに映像を転送し、確認とフィードバックを得られるようになった。

プロの映像制作者だけでなく幅広い層に勧めたいカメラ

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これまでマイクロフォーサーズセンサー機のフラッグシップとして君臨してきたGHシリーズだが、高性能・高機能ではあるもののその恩恵を受けるのは映像制作を生業としているプロか一部のハイアマ層が主だった。

しかし、正確なオートフォーカスを実現するリアルタイム認識AF機能、ジンバルが不要とも思えるほど強力な手ブレ補正に加え、32bit floatオーディオ収録、LUMIX LabとリアルタイムLUT機能を利用したワークフローを組み合わせることで、誰にでもクオリティが高く、失敗の少ない撮影を行うことがより簡単にできるようになった。

さらに写真撮影機能についても60fpsを超えた超高速連写や100MPを超える静止画を撮影できる手持ちハイレゾ機能などもアップデートされている。まさに魅力が語り尽くせないほど詰まったカメラに仕上がっていたと言えるだろう。

サカイアキヒロ|プロフィール

1984年生まれ。音響機器の開発エンジニアとして培った音響とネットワークの知識を活用し、急激に需要が高まったBtoBのライブ配信現場で配信エンジニアとして活動している。最近はYouTubeで機材レビューや配信技術などの動画を発信中。

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。