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はじめに
ゼンハイザーから「PROFILE WIRELESS」という2.4GHz帯を使用するワイヤレスマイクが発売された。数多くある同種マイクと大きく異なる特徴はそのケースに仕込まれたギミックにあり、送信機をケースに入れて使用することでハンドマイクとしても利用可能だという。
今回は、私の日頃行っている仕事の現場でこのマイクはどのように使用できるのか、という点にフォーカスしてレビューしていく。
特徴と主な機能
- 2.4GHz帯デジタルワイヤレスシステム
- 8ms以下の低遅延
- 16GBのメモリーで最大30時間の送信機内部録音が可能(48kHz24bit)
- 外部マイクを接続するためのロックネジ付き入力
- 最大7時間の稼働時間
- USB-C/Lightning経由でのデジタル、3.5mm TRSでのアナログ音声出力
- 独立したヘッドフォン出力
- ケースに入れた状態でハンドマイクとして使用可能
外観
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受信機は送信機とは反対側に収納。収納時でもOLED画面や入出力部分が露出している。ケース側にも電源ボタンがあり、ケース収納状態であればこのボタンひとつで送信機・受信機の電源を操作することが可能だ。
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底面には1/4インチネジと受信機取り出しボタン、送信機を磁力で取り付けるためのマグネットが取り付けられている。指で押して取り出すほか、送信機のマグネット部分を利用して取り外すことも可能。
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サイド部分にはそれぞれの送信機取り出しボタンとケース充電用USB-Cポート。さらに扉を開けると受信機をスマホやカメラのコールドシューに取り付けるためのパーツが収納されている。
受信機
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ジャイロセンサで画面向きを自動で変えるOLEDのタッチパネルを備え、基本的な操作はスワイプとタップなどのタッチ操作で行う。また、TX1/2の送信機状態表示部をダブルタップすることで送信機の録音開始・停止をコントロールすることができるので、演者にすでにマイクを取り付けた状態であっても録音のコントロールを手元で行うことができる。
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ケースに収納されたパーツを取り出し、写真のように受信機にスライドさせて取り付ける。
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USB-C入力が可能なカメラやスマホに取り付けるとこのようになる。USB-C端子部分には十分なマージンが備えられ、厚めのケースを取り付けたスマホでも干渉せずに取り付けられる。
ほとんどのワイヤレスマイクは、カメラとの接続がUSB-C/Lightning/3.5mm TRSのいずれかの選択式で、ひとつの受信機でその全てに対応しているのは、カメラ問わず使用できるという意味ではとてもありがたい。
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一般的なカメラなどに取り付ける場合はコールドシューを使用する。コールドシューには1/4インチネジも切られているため取り付け場所で困ることはなさそうだ。
送信機
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送信機はサイドにある電源ボタン・RECボタンに窪みがあり不意に押されないようになっている。クリップ部分もコールドシューと互換があり、多彩な取り付けができる。
「ケースに入れながら使える」という利便性
送信機をケースに入れながら使用する
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本製品は送信機をケースに収納しハンドマイクとして使えるという機能を謳っている。しかし、ご覧の通り箱型であり、従来のハンドヘルドマイクとはかなり形が異なるため、マイクを向けられた人やその映像を視聴している人には違和感を与えるかもしれない。
ただ、写真のように小型三脚で卓上マイクのように使用したり、マイクアームを使用したりするような使い方であれば、個人的にはさほど違和感を感じないと考える。卓上マイクのような使い方であれば、小規模な配信現場などでテーブルに置いて使えるだろう。送信機内蔵のマイクは無指向性であるため、複数の話者の音声を収音できる。
受信機をケースに入れながら使用する
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ケースに収納したまま使用したり、ケースからの給電をしつつ使用したりすることで、連続稼働時間を大幅に伸ばすことができるのも、この製品の大きなメリットだろう。受信機には送信機のREC状態はもちろん、バッテリー残量もしっかり表示されるので長時間運用する場合でも安心である。
また、ケース底面の1/4インチネジを使用してケースごと受信機を高所に設置することで送信機からの電波をより安定して受信できる。その場合もケースに入れたままであればバッテリーライフにそこまで神経を使う必要はない。
まとめ
現在、2.4GHz帯のワイヤレスマイクは各メーカーから多数発表されており、送信機・受信機ともに小型化が進んでいる。
本製品はそのような昨今の2.4GHz帯マイクに比べると送信機・受信機ともに大きめではあるが、B帯のボディパックよりもかなり小型である。外付けのラベリアマイクを接続したような使い方であれば動きの多いシーンなどでも演者の負担を減らしたり、送信機を衣服に隠したりするのも容易だろう。
また、外部マイクを接続しての使用以外でも、ケースに入れての長時間の運用や内部REC機能など、業務利用を考えた時に優位性のある製品であると言える。音質面でも、流石はマイクの老舗であるゼンハイザー、といったところで十分な音質を確保できている。これはある程度の筐体サイズを持たせることで、マイクのプリアンプの回路構成に余裕があるからなのかもしれない。
普段の業務利用となるとB帯のワイヤレスマイクを使用することが多い筆者だが、すぐ近くでB帯を利用している会場がある場合での撮影など、B帯を使用できないケースは少なくない。このような2.4GHz帯を利用した業務での利用に耐えうるワイヤレスマイクはカメラバッグに忍ばせて損はないだろう。
サカイアキヒロ|プロフィール
1984年生まれ。業務用音響機器メーカーでデザインエンジニアとして勤務する兼業映像クリエーター。長年エンジニアとして培った音響とネットワークの知識を活用し、急激に需要が高まったBtoBのライブ配信現場でテクニカルディレクター兼音響スタッフとしても活動している。最近はYouTubeで機材レビューや配信技術などの動画を発信中。
WRITER PROFILE
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