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2023年も終わりに近づく頃、M3 Pro/M3 Maxチップを搭載した新型のMacBook Proが発売された。

思い返すとM2チップモデルが登場したのが2023年初頭。およそ10カ月での新モデル登場に、M2モデルを買い替えたばかりの方は複雑な思いだったのではないだろうか?かくいう筆者もM2モデルの発表の直前にM1 Maxの全部盛りモデルのMacBook Pro 14インチを購入した人なので、とても共感できる。

今回たった1年で2つもモデルが変わってしまって、遠い目をしながらもM1 Maxをメインで1年間仕事をしていて十分快適さを感じているのに、突如現れた今回のM3モデル。なんでもベンチマークでは倍以上のパワーがあるとのことで、購入1年足らずで買い替えを考えていた矢先に、幸いにもレビューのお声がけをいただきM3モデルの全部盛りモデルを試用させていただくことになった。

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喜んでここにレポートさせていただく。現在迷われている方の何かの参考になったら幸いです。

全部盛りスペック比較

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今回お借りしたモデルはM3 Max 16インチモデルの全部盛り。筆者のM1 Maxの14インチモデルの全部盛りと並べてみた。

サイズはもちろん、今回ラインナップに加わったブラックカラーはとてもシックで好きな方が多いのではないだろうか?黒いキーボードに賛否両論あったが、綺麗に馴染んでいて好感をもった。

チップはそれぞれMaxモデル。メモリはM1が64GB。M3モデルは128GBが最大値となった。ストレージは8TB。ストレージはカスタムすると値段が嵩むので、最小値を選んで外付けストレージ運用を考える人が多いと思うが、筆者は内蔵ストレージを最大化することをおすすめする。

現場でのデータの吸い上げ、コピー、編集作業が本当に高速化され、いちいちプロジェクトごとに外付けSSDなどに移さなくても、内容にもよるが、2~3案件を同時に進行できるくらいの余裕がある。メインマシンでMacBook Proを使っているのであればストレージ最大はオススメです。

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新色のブラックカラーが追加されたこと以外に外装デザインやポート類に変更はなく、電源ポート、Thunderbolt 4ポートが3つ、HDMIポート、SDカードスロット、ステレオミニジャック端子が搭載されている。

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DaVinci Resolveでの8K素材の動作比較

IntelプロセッサのそこそこのスペックのMacPro(2019年モデル)を所持している筆者だが、2023年の仕事の8割はM1 MaxモデルのMacBook Pro 14インチで行っていた。8K素材に複雑な処理を加えるようなものでない限り、シンプルな編集作業であれば8K素材でもMacBook Proでは普通に動くので何ら不満はなかった。

ただ、前述のようにM3チップでは作業的に倍くらいの速度感になるとのことだったので、今回は以前に作成した富士フイルムのGFX100 IIの8K/4K素材の編集プロジェクトを使ってその動作を比較してみた。

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DaVinci Resolveで8Kのフッテージ(ProRes422 HQ)での編集プロジェクト(8K/23.976fpsのタイムライン設定)
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1:通常状態で再生動作確認

8K素材の上にテキストクリップを3つ並べた状態で再生してみた。条件として表示レンダリングしていない状態で再生をする(クリップにカラーコレクションを加えているが、重い効果はかけていない)。

これはM3/M1モデルともにコマ落ちなしで再生ができた。ただ、M1モデルは初速が少し遅いのでここはプロセッサの性能が顕著に出ている印象だ。

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M3 Max
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M1 Max
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2:ノイズリダクションでの再生動作

8K素材に今度はノイズリダクションをかけて、ノンレンダリング状態での再生をしてみる。DaVinci Resolveのノイズリダクションは、処理が軽い「時間的ノイズ除去」と処理が重い「空間的ノイズ除去」があるが、今回はそれを組み合わせたノイズリダクションをかけてある。

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M3 Max 再生は1~2fps。何となく動くが再生しているとは言えない。さすがに8Kだと処理が重いか
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M1 Max 再生は0fps。レンダリングしないと再生ができない
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結果として両モデルともにノンレンダリングでは再生が難しい状態だ。このあたりは筆者の所持しているIntel MacProの方が処理能力的に高かったので少し安堵したポイントでもある(再生したときに15~20fps)。ただ、0fpsのM1に対して2fps出るM3は確かに2倍の処理能力があると認識してよいのかもしれない。

3:デフリッカーを加えての再生動作

今度はノイズリダクションではなく、もう少し処理的に軽い「デフリッカー」をかけた部分の再生テストをしてみた(画面内にフリッカーが出てしまった部分があったので)。

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M3 Max 再生は12fps。フレームレートの半分の速度は出た
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M1 Max 再生は1~3fps。レンダリングをしないとほぼ動かないと同義
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デフリッカーに関してはM3側がフレームレートの半分の速度を出したのに対して、M1は1~3fps程度。大差をつけた。ただ、結局はレンダリングしないとコマ落ちするのは変わらないので、この検証では正直どちらが優位かという結論にはいたらない。8K素材自体の編集作業はお互いストレスなくできるからだ。

4:書き出し速度検証

再生速度での判断はつかないので、書き出しを行ってみた。まずは8K/ProRes422HQコーデックでの書き出し。M3モデルの3分53秒での書き出し速度に対してM1モデルは5分14秒。およそ1.3~5倍程度M3モデルが高速だった。ただ、コーデックをh.264にした場合はM3モデルは15分45秒。M1モデルは32分7秒とおよそ2倍の速度でエンコードが終了した。

エンコードをするにあたってのプロセッサの速度の速さが顕著に出る結果となった。わずか2分弱の尺の映像でこの時間がかかることを考えたら、長尺の時、M3モデルの有用性を実感できるのではないだろうか。

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1分52秒の尺から8K書き出し
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MacBook Pro 16(M3)は1分52秒、M1は3分53秒で書き出し完了
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MacBook Pro 16(M3)のH.264の場合は15分45秒、M1モデルは32分7秒かかった
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MacBook Pro 14(M1)1分52秒の尺 8KProRes書き出し 5分14秒で書き出し完了
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H.264の場合、32分07秒かかった

4K素材での挙動

参考程度に4K素材での挙動も確認してみた。ノイズリダクションは、やはり動作は重く速度自体はM3の方が優秀だが、結果レンダリングしないとプレビューができないのは変わらず。

Super Scaleという解像度をAIを使って上げる機能(処理が重い)を使ってHD素材を4Kにアップサイジングした部分での再生は、M3が3倍くらいのパワーを見せたが、こちらもリアルタイムプレビューには追いつかない。

書き出しも圧縮を必要としないProResでの書き出しであれば、その差はM1でも許容できる範囲だった印象だ。

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DaVinci Resolveで4Kのフッテージ(ProRes422 HQ)での編集プロジェクト(4K/23.976fpsのタイムライン設定)
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M3 Max 3~4つのテキストクリップを重ねた部分でもコマ落ちなし
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M1 Max 3~4つのテキストクリップを重ねた部分でもコマ落ちなし
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M3 Max ノイズリダクション(空間的+時間的)で再生6fps。リアルタイムには程遠いが頑張っている印象。
時間的ノイズ除去を使わなければリアルタイムで再生可能
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M1 Max ノイズリダクション(空間的+時間的)で再生3fps。
時間的ノイズ除去を使わなければ18fps前後で再生可能。確かにM3は倍くらいの処理をしている印象だ
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M3 Max 一部HD素材に対して解像度を上げるSuper Scale×2(強化)を適用。かなり重い処理だが9fpsで再生
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M1 Max 一部HD素材に対して解像度を上げるSuper Scale×2(強化)を適用。1~3fps前後の再生速度でプレビューは難しい
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M3 Max 2分35秒の尺を4K ProRes422HQで書き出し。1分42秒で書き出し完了
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M1 Max 2分35秒の尺を4K ProRes422HQで書き出し。2分19秒で書き出し完了
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長尺になれば差がでてくるだろうが、短尺であれば我慢できない差ではない。

誰がためのM3 Max?

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あくまで私の使用範囲でのテストなのでM3 Maxの真価を評価できたのかは難しいところだが、実際の動作としてはこのような感じだ。M1よりもちろん速いが、我慢できない範囲ではない、ということ。M1 Maxを所持している方は現状に不満がなければそのままでも良さそうだ。もしIntel Macをご使用の方だったら、間違いなく買い替えをした方がいい。爆速に感じるはずだ。

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ただこのペースでMacのチップがどんどん開発されているとなると、迷うのは買い時だろう。とはいえ、欲しい時が買い替え時だ。今がその時、という方は迷わず手にした方がいい。

またブラックモデルが素敵!と思ったなら、それも立派な理由になる(実際ブラックはかっこいい)。

WRITER PROFILE

鈴木佑介

鈴木佑介

日本大学芸術学部 映画学科"演技"コース卒のおしゃべり得意な映像作家。専門分野は「人を描く」事。広告の仕事がメイン。セミナー講師・映像コンサルタントとしても活動中。