「マイアミ・バイス」から「ワイルドスピード」まで

ロブ・コーエン氏による基調講演「Rob Cohen:In Defense of the Action Film」が、21日(火)10時30分より開催された。ロブ・コーエン氏は、30年以上の映画業界でのキャリアのもと、代表作「トリプルX」、「ワイルドスピード(原題:The Fast and The Furious)」、「ステルス」や「ドラゴンハート」のほか、アクション・アドベンチャー映画の「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」は中国で全ての撮影をした初めての映画としても知られる。

コーエン氏の監督歴は1970年から始まるが、1980年にテレビシリーズ「マイアミ・バイス」でスピード溢れるアクション作品を制作する楽しみを覚えたそうだ。コーエン氏は、アクション映画には最新なCGI技術が使われており、そして新しい取り組みが常に行われている、と述べていた。アクション映画にはビジュアルエフェクトが必須だ。ドラゴンハートは、メジャーな映画としては初めてフルCGのキャラクターが登場した作品なだけに、1996年にはアカデミー賞のベストビジュアルエフェクツに選ばれている。

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会場のスクリーンでは最近の作品「ハムナプトラ3」のシーンが上映され、その中でもヒマラヤ山脈の断崖絶壁で繰り広げられるバトルシーンでは見事なフルCGの群衆が映し出されていた。

「アクション映画でも優れた作品はいくつもあるのに、それらは”文学”ではないからと言われ、娯楽映画とばかり軽視されがちだ。アクション映画には、セリフではない独自の言葉があるし、それらの表現力で観ている人たちの心を引きつけることができる」。「81年間の間、アクション映画作品がアカデミー賞を獲ったのはたった11回しかない。しかしアクション映画は、映画歴史に大きな影響を与え、貢献してきたと思っている」。

コーエン氏は、大学時代に講義を受けた心理学者で映画評論家ルドルフ・アルンハイム(Rudolf Arnheim)から影響を受けたという。コーエン氏は1932年に出版された「芸術としての映画」(Film als Kunst)で感銘を受けた一節を読み上げ、「映画はその始まりから、純粋な視覚による表現なだけに、芸術作品と同じである。」と、Arnheimの説に同感し、強調して述べた。また「無声映画のようなもので、アクションを言葉にする必要はない。セリフではないもので人々の心にうったえられる」。

多くの監督が惹かれる「神話の力」とは?

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また、神学作家ジョセフ・キャンベル(Joseph Campbell)についても語った。キャンベルの本「神話の力」は、ジョージ・ルーカスが影響を受けスターウォーズを作ったと言われ、また数多くのディズニー作品にもキャンベルの理論が引用されている。キャンベルは、数々の神話を研究していくうちに、共通する一連の流れがあることを発見、その説は、「Hero’s Monomyth(モノメフ)=ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)」と言われている。「スターウォーズだけではない。モノメフはアクション映画、ベン・ハーからターミネーター2といったジャンルまで、どれにも存在しているものだと思う」。

コーエン氏の演説の後はモデレーターのピーター・グーバー氏を交え、会場の視聴者たちとのQ&Aが行われた。グーバー氏はソニー・ピクチャーズのCEOであり、マンダレイ・エンターテイメントグループのCEOでもある。この場では、映画市場の動向やトレンド、制作について様々な話題について意見交換があった。