今年も幕を開けた映像の祭典
開催初日の14日。大手電機メーカーの赤字決算や格付け降格、オバマ大統領の続投による円高継続の気配などなにやら雲行きが怪しい雰囲気だが、ここ幕張の会場は快晴に恵まれ初日から多くの来場者で賑わっている。放送業界もインターネットや携帯配信など放送以外へのコンテンツ供給などある意味多角化への方向へ向かうことで、より大きな世界へ向かおうとしている。
HD対応のカメラも様々なバリエーションの製品が各社から出揃いすでに商戦は4Kへと移りつつある。デジタルシネマ系のARRIやREDのほかソニー、JVCといったビデオ機器メーカーのほか、一眼レフカメラメーカーのキヤノン、測定機器のアストロデザインなど業界を超えたメーカーからそれぞれ特徴のあるカメラが出展されている。特にキヤノンはCINEMA EOSシリーズとしてカメラだけでなくレンズを含めたラインナップを揃え、ブースもソニーと同等な最大級の広さだ。ファイルベースになり、VTRといった記録系の縛りがなくなり、RAWによる記録や単板の大判センサーの採用など、4Kのカメラはビデオカメラとは異なった次元のカメラといえるのかもしれないが、すでに4Kのカメラもデジタルシネマだけでなく、GoProのような超小型かつ安価なカメラも出現し、ユーザーの選択肢が広がっただけでなく、フィルムやスチールのカメラマンのほか、アマチュアまでもが手にできるほど敷居が下がってきている。
さらにすでに民生機のテレビモニターやプロジェクターでは4K対応の製品が発売されており、先日はスカパーが衛星経由で4KでのJリーグ生中継実験を行うなど、一般視聴者への道筋もできつつあることから、意外と早い時期に4K時代が到来するかもしれない。
一方、HDもハイスピードや超高感度カメラなど従来の撮影領域を超えたカメラがナックや池上通信機のほか、各社から出てきた。ここでも朋栄やフローベルといった制作系の撮影機器を手がけていなかったメーカーからの出展もあり、すでに特殊なカメラとも言えない状況になりつつあるといえよう。さて今回は、会場で見かけたそんな新領域といえるカメラを紹介しよう。
ALEXA Studio
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ARRIの伝統といえるロータリーミラーシャッターによる光学ビューファインダーを搭載したALEXA Studio。スーパー35の4:3 センサーを搭載 (16:9も対応) しており、アナモフィック撮影に対応している。ALEXAのシリーズはALEXA、ALEXA Plus、ALEXA M、ALEXA Studioの4機種がラインナップされた(ナックイメージテクノロジー)。
EPIC Monochrome
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Red Digital Cinemaの新製品EPIC Monochrome。新たに開発された14MピクセルMysterium-X Monochromeセンサーとlow pass filterを搭載し、光学系が一新された。5120 ×2700ピクセルでASA 2000の感度を有しており、4K/5K時で120fps、2Kで300fpsの高速度撮影が可能。撮影はモノクロで、1.8インチスモールサイズの記録モジュールに対応。
NEX-VG900
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ソニー、35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載したレンズ交換式HDビデオカメラNEX-VG900。高速・高画質処理を両立した画質処理エンジン「BIONZ」を搭載することで、細やかな階調表現を実現。白とびや黒つぶれを抑えた階調豊かな画質を達成している。
AH-4413
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アストロデザインの中継番組でも使える4KカメラヘッドAH-4413。4K(3840×2160@59.94/60)のプログレッシブ映像をリアルタイムに現像・出力して確認することが可能なマイクロフォーサーズマウント規格を採用したカメラ。
EOS C500
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キヤノン4K/2K 出力に対応したデジタルシネマカメラEOS C500。本体でMPEG-2 Long GOPによるHDの記録。3G-SDI×2chにより、外部にレコーダーを接続することで、4K/2K収録が可能となる。Onboard S Recorderとの組み合わせで出展された。
HiMotion II
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池上通信機のナックイメージテクノロジーの協力により開発された、ハイスピードカメラHiMotion II。最大500コマ/秒での撮影が可能な3CMOS搭載カメラ。サイマルキャスト対応で、スロー・ライブの同時出力が可能。
FT-ONE
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朋栄4K 解像度で最大900コマ/秒の高速度撮影が可能なFT-ONE。センサーにCMOS高速グローバルシャッターを採用するとで、ローリングシャッターによる動態歪のない撮影が可能。4K 解像度での同時録画/ 再生機能や本体内のメモリーのほか、着脱式のメモリーパックが用意されている。
LDXシリーズ
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グラスバレー ソフトウェアアップグレーダブルカメラプラットフォームLDXシリーズ。現在LDX Premier、LDX Elite、LDX WorldCamがラインナップされているが、ソフトウェア・ライセンスにより、対応ビデオフォーマットやガンマコントロールなどシリーズ間でのアップグレードが可能。
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