参加注目のCAFに新カテゴリー登場!
CAFの夜のイベント、数組の参加者が限られた時間でその場でペンタブレットでのお絵描きを競い合う
SIGGRAPHのCAF(コンピュータアニメーションフェスティバル)は各種カテゴリに分かれている。特にデモシーン部門とストップモーション部門は今年から開設された新しいカテゴリだ。
- Advertising(18作品): 3DCGやデジタル編集技術を駆使したTV広告や放送関連の映像
- Games(12作品): 高精細家庭用ゲーム機、PCゲームのリアルタイム映像や、オープニング
- Demoscene(10作品): 小さなプログラムで先進的な特殊効果映像のデモシーン
- Shorts&Features(16作品): 中長編CG作品ダイジェスト映像
- Traditional&Stopframe Animation(5作品): 手書きやストップモーション映像
- Student Films(12作品): 学生プロジェクトや学生チーム/個人映像作品
- Visual Effects(10作品): 映画の特殊効果映像
- Music Videos(6作品): ミュージックビデオ映像
CAF上映会場に設置された、クリスティ・デジタル・システムズ社製デジタルシネマプロジェクター
今年は世界各国から495作品の投稿があり、招待作品22作も含め全部で104作品が会期中に繰り返し上映された。応募作品は米国からのものが全体の1/3を占め、ヨーロッパからが1/3、その他大部分がアジア圏から、また数は少ないながらも、中東やアフリカ、ニュージーランドからの応募もあった。
Advertising部門-広告映像-
SIGGRAPHのコンピュータアニメーションフェスティバルはカンヌライオンズやOneShow、Clioなどの広告祭と違い、広告としての評価ではなく、CG技術やデジタル技術、実写とCGの合成技術などを駆使して「作られた」映像としての評価がなされる。広告分野で、今年エレクトリックシアターに採択されたのは以下の5本
■Toyota Prius “Hum”/Passion Pictures(イギリス)
家族向けの車のTVCMで、自然環境に優しいハイブリッド車をアピールしたフルCG映像
■Midea/Dans Digital(中国)
流体表現を駆使した、最新の洗濯機のCM
■Perfect Shadow/Fuse Directors(フランス)
光と影で、生命体のような車体を表現したフルCG作品
■Coke Zero”Liquid Dream”/BUFとOgilvy&Mather(フランス)
流体表現を駆使した、清涼飲料水のCM
■Galaxy”Choose Silk Chauffeur”Framestore(イギリス)
フルCG、フェイシャルキャプチャを駆使して往年のオードリヘップバーンを再現したチョコレートのCM
受賞は無かったものの、会場の観客からの評価が高かったCAF Advertising部門の作品には以下のものがある。
■Channel 4,4/7 Idents/MPC(イギリス)
動画はこちら
■EcoNews Ident/Darling Creative Motion(ギリシャ)
環境の変化によるCO2排出の様子を描いた映像。テレビ番組のオープニング映像
■Kia”Hotbots”/Method Studios(アメリカ)
展示されている新車を大切にしない顧客を冷たく反撃するロボットを描いたCM作品
■Kia”Space Babies/Method Studios(アメリカ)
宇宙飛行士の動物と赤ちゃんを描いた車のCM。スーパーボールで流れたCM作品
■Nissan Altima”Wouldn’t It Be Cool”/Framestore(イギリス)
古い車体が爆発分解して、新車に再構成される様を描いた作品
■Subaru XV”The Battle”/MagicPictures Studio(日本)
金属質の動物と車を描いた力強い作品。Advertising部門唯一の日本からの作品
■Stadium UK/Passion Pictures(イギリス)
ロンドンオリンピックのスタジアムを描いたTV番組のオープニング映像
■Nike+,Game On/MPC(アメリカ)
スーパーマリオのようなゲームの中の非現実の世界が現実に起こったと想像して描いたスポーツシューズのCM映像
■Qualcomm(Snapdragon)/Framestore(アメリカ)
スマートフォンなどに搭載されているハイパワーのCPUチップのCM映像。小さくてもパワーがあることを描いている
■Dell:Thomas and the Alternate Universe/MPC(アメリカ)
タブレットとしても使えるノートパソコンのCM。超リアルなウサギ、カエル、鳥が出現するCM映像
デモシーン部門。デモシーン映像とDEMO専用ツール
従来デモシーンのプログラミングの技を競った映像作りは、SIGGRAPH CAFにジャンルが設置されておらず「SIGGRAPHはデモシーンを無視している!」と細々と毎年SIGGRAPH会場でミーティングを実施していたが、昨今では、デモシーンでの著名なプログラマが大手ゲーム会社に引き抜かれて就職するなど、良い関係性が構築されている。今回のCAFではデモシーン専用のカテゴリが新設されたとともに、リアルタイム映像を発表するReal-Time Live!でもデモ作成用ツールの紹介など、充実した内容であった。
特に会場の喝采を浴びていたのはStillというドイツのメガデモチーム。極小のプログラムで自動生成される映像に皆が驚いていた。ちょうど発売されたばかりのLeap Motionという手先の動きを感知するデバイスを用いて映像をコントロールしていた。
txt:安藤幸央 構成:編集部