屋外演出でよりリアルな機材使用の演出
毎年、Cinema Geekなユーザーには興味深い展示が目白押しのCineGear Expoだが、その年のトレンドとしての、映画撮影現場でのユーザーニーズをいち早く知ることができるのもまたこのイベントの大きな楽しみだ。
また、照明機材やカメラに関してもStage(スタジオ)での室内展示も2カ所設けられているほか、このイベントならではの演出として、ほとんどが屋外の露天での展示(晴天が多いハリウッドならでは!)だ。初日の開催時間が午後2時〜夜9時までと、屋外展示でも実際の点灯状況を具体的に観られるような時間帯まで開場している。その点ではNABよりもリアルな演出が分かりやすく、実際のカメラ撮影で試せるのもハリウッドならではである。
基本的には、ASCのバックアップのもと映画撮影中心の展示会なので、映画機材が長くメインであったが、最近はリグメーカーなどのベンチャー企業やGoProなどのアクション系カメラメーカーも参入してきており、これらもどんどん映画機材として使われている現状からも、CineGear Expoへの積極的なブース展開を始めている。
この特集では特に記載しないが、もちろん有名撮影監督やカメラマンによる各種テクニカルセミナーや映画撮影関連の技術シンポジウム、各種トークイベント、4Kシアター等でのスクリーニング上映会なども行われており、映画製作者にとっては有意義なイベントであることは間違いないので、興味の有る方は来年ぜひ行ってみてほしい。
会場で見かけたスグレモノ
■TransVideo | Rainbow HD
1985年創業の、フランスのモニターとビデオアシスト製品を製造するメーカー、TransVideo社の高性能リファレンスHDモニター「Rainbow HD」。この度、ALEXA専用のU型ハンドル、フード、RS3パワーケーブル、BNCケーブル、そして専用ペリカンケースが付いた「ALEXA Package」が出た。€2950(約41万円)と少々お高いが、薄くて使い勝手も良く、7インチパネルには波形モニターを始めほとんどの必要計器が表示可能で非常に使いやすい。
この「Rainbow HD」に対応するコンパクトなリモートコントローラー。ウォータープルーフの専用ケースに入れれば、雨天時での操作も可能だ。
■GRUVGEAR | V-Cart Solo
主にギターなどの楽器専用ケースや、PA用の搬送ケースなどを製造しているGRUVGEAR社がなんとCineGear Expoに登場。カート系を中心に一人でも軽量でコンパクトな「V-Cart Solo」「Solo Lite」「Sole XL」など、もちろんフォトグラファーやフィルムメーカー向けでも使用できる製品。その他カメラバッグなども展示されていた。
■Marshall Electronics | V-4K-3110
モニターメーカーのMarshall Electronics社からは、NABでも出展していた2K / 4Kコンパチブルのモニターを展示。31型の4Kモニター「V-4K-3110」は8つのファンクションボタンにユーザーの好みの色調などを割当ることができ、またUHDのみならず、フル4K(4096×2180)も表示可能。
■ATOMOS | SHOGUN
ATOMOSも今回は1メーカーとしてブース出展。日本で開催されたAfter NABと変わりない展示ではあったが、やはり気になるのは4KポータブルレコーダーのSHOGUNが、今回、Panasonic GH4への対応として、フル4KモードであるDCI 4Kへ対応するかどうかというところ。まだ正式なコメントは発表されていないが、24pのみでも将来的に対応する方向のようだ。
■LIGHTGEAR | RAGLITE
LIGHTGEARの「RAGLITE」はその名の通り、ラグのように折り畳めるLEDライト。加工が自在にできるフレキシブルLEDストリップという紐状のLED技術により、丸める、吊るす、床に置く(人が乗っても大丈夫!)、貼付ける等自由にできるのが特長だ。現行では大中小の3種がある。
どうやらKICKSTARTERによって実製造に漕ぎ着けた製品の様で、今後もさらに資金を集めて、今後さらにウォータープルーフやメディカル用などの展開を考えているという。
■Panavision
創設60周年を記念してか、Panavisionのカメラアシスタントバッグも登場!デザインは昨年Filmtoolsから出て来た、ARRIバッグとほぼ同じか。でも展示はなぜかGLIDECAMのブースに?!
■Filmtools | The Cherry Box
こちらは毎度おなじみのFilmtoolsのブース。今回は、AppleBox(箱馬)ならぬ強化プラスチック製のその名も「The Cherry Box」!FULL($54.99)、HALF($52.99)、QUARTER($47.99)、EIGHTH($39.99)の4種でカラーも10色。100%リサイクル可能で、最近中国製等の有害物質が問題になっているからか、“Made in The USA”を盛んにアピールしていた。
■COPTERCRAFT
マルチコプター(=エアリアル・ロボテック・システム)による無人空中撮影が増えるとともに増加しているのが、これによる事故。つい先日もアメリカではヨセミテ国立公園内でのヘリの運行、撮影は許可しないことがニュースになったが、アメリカでもそのことは問題視されているようだ。
ヘリを安全運行するためのセーフティーグッズなども出始めた。COPTERCRAFT社はドローン撮影の機材レンタル・販売会社だが、ヘリを遠隔操作する際のワイヤレスモニターから夜間でも視認できるLED発光のドローン用グランドマーカーやプリメーターサインなども売れているようだ。
■PadCaster
昨年のNABにも登場した「PadCaster」がついにCineGear初登場。映画の世界で何に使うのかどうかは別として、来場者はみな興味津々だ。
txt:石川幸宏 構成:編集部