特機専門展示会から多様化の時代へ
CineGear Expo自体は元々映画撮影周りの機材展であり、新型カメラの発表だったり、ソフトウェアはその中心ではない。また、あまりここでの新発表も無いので、ニュース的な速報性が高い情報発表も少ない。あくまでユーザーのために、実機を露天で実際に試しながら体感できることと、内容もそもそも特機専門の展示会のようなものなので、主に撮影者には意義のあるイベントだ。
また機材開発メーカーの人と直接交流できることもあり、技術者との意見交換も含めれば有意義なところも多いだろう。現に日本からも、レンタル会社やスタジオ、プロダクション関係者など買い付け等の商談で多くの日本人が来ているが、もちろんカメラマンや撮影監督も訪れており、この気にハリウッドの映画撮影の醍醐味を味わおうという人も多い。
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ただこの近年(4、5年)は、ソニー、キヤノン、パナソニックといった日本のデジタルカメラメーカーが出展進出、それまでのKodak、FUJIFILM、ARRI、Panavisionといったフィルム撮影関係のメーカーからオフィシャルスポンサーがアナログ系から主流がデジタル系へ変わってきた。
とはいえ特機に関して大部分がアナログの世界。VFXにとらわれない部分で撮影者がクリエイティビティを発揮できる部分でもあり、そのための展示会がCineGear Expoである。今年は、やはり3軸ブラシレスジンバルなどのスタビライザー系の出展が多く目立った。これもカメラの小型軽量化が進み、昔では出来なかった撮影ができるようになったことは、撮影自体の醍醐味を助長するものだろう。
毎年恒例のステディカム / Tiffenの専門ブースが今年は見当たらなかったのは残念だが、発明者のギャレット・ブラウン氏は健在で、セミナー等で登壇していた。そこではFREEFLY社のCEOとのトークショーも行われたが、ブラウン氏もMoVI等への関心は高く、これらがステディカムにとって変わるというわけでなく、それぞれの得意な撮影分野があるわけで、さらに特殊撮影ができる幅が広がったということだ。
カメラの小型化とともに、前述したように来場客層にも変化があり、CineGear Expoは特にASC(全米撮影監督協会)会員限定などの入場制限をしていないため、DSLR系のローレンジユーザーでも気軽に入場することができる。大型特機ももちろんあるが、次第にその使用範囲を狭めているようで、ダウンサイズ&効率化、そして特殊撮影の裾野の広がりの波は随所に伺えた。
特機編
■Libec(平和精機工業)
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4月に発表され、NABで初公開となったLibec(平和精機工業)の新製品ALLEX。8月上旬の出荷も決まり、予約状況も好調のようだ。やはりDSLRムービーユーザーターゲットの製品のため、ハリウッドでは大型化を望む声も多いようだ。NAB時点ですでに指摘されていた、スライダー部分の塗装面の問題(塗装の剥げ)も改良し強化された模様。
■WALTER KLASSEN
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WALTER KLASSENの「SlingShot」は3軸ジンバルとEasyrigを組み合わせたような製品。2本のワイヤーで吊るので長時間の撮影にも耐えうるという。またMoVI等のハンドルの下部に延長スティックを付けることで、高所からの撮影操作も可能。「SlingShot」のみで$4900 USD、専用ベスト込みで$7900 USD。
■FreeFly / RONIN / DEFY
3軸ジンバル系のメーカーは老舗のFreeFly社を筆頭に、マルチコプターのDJIから出たRONIN、DEFYのG5 / G2など、大小さまざまなメーカーが出展。どの製品も差別化できるポイントが少ないため似たり寄ったりだが、この3軸ジンバルとマルチコプターでベンチャーを立ち上げるブームとなっていることは確かなようだ。
■WOODEN CAMERA
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最近、いち早く最新カメラ対応のリグを発表しているWOODEN CAMERA。基本は上部ハンドルにサポートロッド、レンズサポートとコネクター部分でパーツ構成されているだけなので、カメラが変わっても付属品を一部交換すれば、再構成もしやすいのが特長だろう。この4月に発表になったばかりのBlackmagic Studio Cameraの専用リグを早くも発表展示。
■PMG Multi-Rotors
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マルチコプター流行の勢いそのままに、今回会場ではマルチコプター撮影の専門会社、PMG Multi-Rotorsの主催によるVIPラウンジが設けられた。会場近くに巨大なテントが貼られフリードリンク・フリーフードのケータリングが振る舞われる等、アメリカでの市場の勢いを感じる。
■Dana dolly
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ポータブルで持ち運びや組み立てにも便利な携帯ドリーシステムの老舗「Dana dolly」。今回は6角形でレール幅を変更できる、新型スライダーハイハット(写真中右のカメラが乗っているスライダー)を展示していた。ちなみにDanaは、CEOの奥様の名前が由来。
■ソニー
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会場となるニューヨークバックロット(オールドNYセット)の入り口付近に置かれたソニーのキャンピングカー。スタジオ内でもF65などのカメラや付属品のメイン展示を行っているソニーだが、今年はここでポータブル4Kカムコーダー「FDR-AX100」やアクションカム「AS100V」などをマルチコプター等に搭載したアウトドア・ロケーション撮影用展示を行った。
■Datacolor
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カラーグレーディングの重要性とともに、ハリウッドでもミッドレンジの人たちではまだまだ厳密なカラーキャリブレーションの常識がない人も多いという。Datacolorの「Spyder Checkr」は、中間色やスキントーンまでも配置した48色構成のポータブルカラーチェッカー。丈夫なケース入りでカラーシートの交換もできる。
■Mo-Sys Technologies
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イギリスのメーカーMo-Sys Technologies社の「DroneBar」は、マルチコプターの遠隔操作を、2本のパン棒でクレーンの操作感覚でコントロール可能なカメラジンバルコントローラー。もちろんハンドヘルドのジンバルリグでも使用可能だ。
■DJI
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昨年は販売会社の出展だった、マルチコプター界ではメジャーな存在になったDJIがいよいよ自らCineGearに参戦。おなじみのPhantomやDJI RONINなど自社製品を展示。
■Romans Cine Gear
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■LanParte
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LanParte社は、カメラリグ専門会社。DSLRやBlackmagic Designのカメラ製品など、低価格カメラ用リグを専門に制作。ショルダーパッド部分にハイトライザーを装備して個人別に高さ調整が出来るのも便利なところだ。
txt:石川幸宏 構成:編集部
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