txt:稲田出 / Ai YAMAMOTO 構成:編集部

10月7日から10日の4日間、千葉・幕張メッセにおいて日本で最大のIT・エレクトロニクス先進技術の展示会「CEATEC JAPAN 2015」が開催された。今年のテーマは「NEXT-夢に力を、未来への挑戦」となっており、「新しいライフスタイル」や「豊かな暮らし」などを体現できる「ライフ&ソサエティ ステージ」と、世界最先端の電子部品やディバイスが披露される「キーテクノロジーステージ」、ITやエレクトロニクスとの融合が進むモビリティ、ヘルスケアなどの他分野との連携により見えてくる、近未来の社会や今後のトレンドにスポットを当てた「NEXTイノベーションエリア」で構成され、昨年より1日会期が少なかったにも関わらず多くの来場者で賑わった。

各社の得意とする分野にフォーカスした展示内容

毎年CEATECでは、エネルギー関連や自動車など、この数年は各社申し合わせたように同じトレンドを志向していたが、今年は各社の得意とする分野にフォーカスしており、統一した方向性は見られなかったものの、2020年に向けた4K/8K関連や、最近話題のハイレゾオーディオやロボット関連、ウェアラブルデバイスやマンマシーンインターフェイスなど、一般にも身近なものが多くなって来ている。

そんな中で今年は、財務関係で問題のあった東芝と、昨年に引き続きソニーが出展していない。一方身売り話がでているシャープは話題となる出展が多く、起死回生を狙っているようにも思われた。まずはライフ&ソサエティ ステージを中心に4K/8K関連から見てこうと思う。

各会場展示から

■パナソニック
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オリンピックの公式スポンサーの常連ともいえるパナソニックは、いわゆる白物家電からAV機器、ディバイスなど幅広く扱っており、CEATECではひときは目立つ大きなブースとなっていた。

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住宅から家電まで生活に身近な製品を総合的に結びつけたコンセプトで、キッチンからリビングをシームレスに結びつけた展示を行っていた。タブレット端末で季節やその日の気分、体調に合わせたレシピで料理をして、食卓ではプロジェクターや照明で様々な演出をして食事を楽しむことができるというデモの様子。

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今年のオリンピックは4K/8Kの時代。オリンピックのロゴの元テレビやカメラなど様々なAV機器を出展

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テレビやレコーダー、ビデオカメラ、ホームシアターシステムなど4K対応の新製品をアピール

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Ultra HD Blu-rayに対応したHEVC(H.265)記録のレコーダー「DMR-UBZ1」。4Kリアルクロマプロセッサplusによる色空間の変換やダイナミックレンジ変換など、4K解像度のインターネット動画やUltra HD Blu-rayにに収録されたHDR映像の従来のテレビへの対応などが高画質に行われる。HDMI(ver2.0)に対応しており、4K/60p/4:2:2/36bit、4K/60p/4:4:4/24bit、4K/24p(30p)/4:4:4/36bit出力が可能。対応HDMIケーブルなども出展していた。

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パナソニックが提唱する4Kフォト対応のデジタル一眼LUMIXシリーズの新らしいラインナップ「DMC- FZ300/G7/GX8」。ハンズオンコーナーもあり、4Kフォトや4Kムービーの楽しみ方をアピール

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パナソニックブランド統一により、途絶えていたTechnicsが復活。別ブースでアンプやネットワークオーディオプレーヤー、ヘッドホンなどを出展。視聴コーナーやSL-1200の技術展示などを行っていたほか、来年発売が予定されているCDステレオシステムSC-C500を大きく取り上げていた

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別ブースのseven dreamers laboratoriesでは、パナソニックと大和ハウス工業による全自動洗濯物折り畳み機「laundroid」(ランドロイド)を披露していた。Laundroidはシャツ、ズボン、スカート、タオルの4種類の衣類を自動判別して折りたたむ家電で、来年予約を開始し2017年からの発売が予定されている。将来的に介護施設や病院向け、洗濯乾燥機を一体にしたもの、洗濯から乾燥、折りたたみまでを一貫して行うオールインワンモデルなどが予定されているほか、ビルトインモデルとして家具のように部屋と一体になったものなどに発展させていくという。


■NHK/JEITA
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NHK/JEITAブースは昨年とは様変わりし白を基調とした開放的なブースになり、実用期に入った各社の4K製品やNHKが行う各種サービスのほか、オリンピックを目指した8Kスーパーハイビジョンなどが披露された。

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CSデジタルを利用したNexTV-F(Next Generation Television & Broadcasting Promotion Forum)による4K専用放送Channel4K。実際に放送されている放送の受信や各社のチューナーなどを展示

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4K放送の受信から民生用4Kカメラによる撮影、テレビ視聴、記録など現行のテレビ視聴と遜色なく実用期に入ったことをアピール

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JEITEではCD(44.1kHz /16bit)以上のクォリティを昨年ハイレゾと定義しているが、ハイレゾオーディオ対応の各社のオーディオ機器のハンズオンコーナーでe-onkyoミュージックなどのハイレゾ音源からの視聴ができるようになっていた。また、スピーカーによるハイレゾ試聴室もあり、ハイレゾオーディオ普及へのアッピールを行っていた


■シャープ
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液晶不振で身売り話もでているシャープだが、8K対応の液晶モニターやロボットなど先端技術を投入した製品を多数出展していた。起死回生とならなくとも買収時にはこうした技術がかわれることになるだろう。ココロプロジェクトゾーンをメインに独自のAI技術であるココロエンジンを採用した各種家電製品は、音声認識による会話や使用者とおもてなしのココロで接することで、ライフスタイルを豊かにしていこうというコンセプト。

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設計やデザイン、デジタルサイネージなど8K液晶のビジネス向け応用をアピール

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2015年10月発売予定の8K 85型ワイドIGZO液晶パネルを搭載した家庭向けTVモニター。上下には合計60個のスピーカーが内蔵された波面合成スピーカーがあり、サブウーファーや音場制御型リアスピーカーとともにサウンドシステムを構成。映像だけでなくオーディオによる臨場感にもこだわっている

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ロボット型電話RoBoHoN。二足歩行が可能で音声認識や顔認識機能によるコミニュケーションのほか、新たに開発したフォーカスフリーの小型プロジェクターも搭載しており、単なるロボット型電話機というより新たな発想のコミュニケーションツールといった感じ。来年2016年発売予定となっており、音声認識や専用アプリなどブラッシュアップされるという

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ココロプロジェクト×コミロボ。昨年から独自のAI技術ココロエンジン搭載のコミュニケーションロボットとして登場しており、ユーザーに話しかけたり、会話の内容で表情で表現するといった双方向のコミュニケーションが可能


■BOEテクノロジーグループ
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BOEは北京を本社とする中国系の会社で、ディスプレイやスマートシステム、スマートヘルスケアサービスの3つの事業分野を有したBOEテクノロジーグループ。日本ではディスプレイディバイスを中心に事業展開しており、NEXT-夢を力に、未来への挑戦というテーマのもとに世界初という縦型8K 98型ディスプレイを左右に配置した3面連動ディスプレイシステムをブース正面で披露したほか、10K 82型横ディスプレイなどを出展。

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10240×4320の10K 82型ディスプレイ。アスペクト比が21:9なのでシネマスコープサイズの映像表示や縦置きにしてデジタルサイネージなどの用途を目指しているようだ。8K放送の映画もレターボックスなしで表示できるほか、縦型ではサイズ的にほぼ等身大の表示も可能

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冷蔵庫の扉を透過型ディスプレイ化したコンセプトで、画面上にレシピやショッピングサイト、テレビ画像、Skype画面などを表示でき、タッチ操作でメモを残すことも可能。パネルは1920×1080で1200:1のコントラスト比、透過率は9%となっている

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会議やプレゼンなどでよく使われるホワイトボードを電子化したもので、AndroidとWindows 8を搭載しているほか、HDMIやVGAといったインターフェースを装備している。パネルは3840×2160のUHDを搭載


■日本アンテナ
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日本アンテナは4K/8K放送の受信で課題となる左旋衛星放送における4K/8K放送対応家庭用受信機器や、共同受信用各種設備機器、V-Lowマルチメディア放送対応チューナーのほか、見る・知らせる・録画するスマートフォン/タブレット対応のワイヤレスカメラ・モニター「ドコでもeye Security」などを出展。

txt:稲田出 / Ai YAMAMOTO 構成:編集部


[CEATEC JAPAN 2015] Vol.02

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