[InterBEE 2015]会場出口インタビュー

会場の熱気も初日以上

初日は雨で2日目も天候が危ぶまれたが、なんとか持ち直したようだ。そのせいか、会場の熱気も初日以上だ。4K/8Kが今までカメラとレコーダー中心のプロダクトだったが、今年はスイッチャーなどの機材も対応製品が多くなってきた。特に4K(UHD)に関してはソニーやパナソニック、GV、NECなどからスイッチャーをはじめとした4K対応機材が出展されている。これは、業務用では今まで4Kの場合で3G-SDI×4やDVI×4といった複数の伝送路が必要だったのに対し12G-SDIやIP伝送の規格が決まったからといえよう。

民生機の4Kテレビが各社から発売相次いだのもHDMIが2.0になったことが大いに関係していると思う。12G-SDIはSMPTE ST-2082、Video over IPはSMPTE 2022という規格でケーブル1本で接続可能だ。ただ、まだ細部の規格化が残っているようで、この辺にスポットを当てて各社の機材を見てみよう。

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12G-SDIはBlackmagic Designが先行しており、すでにカメラを始めスイッチャーやルーターなどを発売している。現状12G-SDIには、HD-SDI同様同軸ケーブルによる接続とファイバーケーブルの2つがある。同軸ケーブルの場合は伝送距離がかなり短くなる傾向があるが、パナソニックが参考出展していたスイッチャーは同軸ケーブルで接続してデモしており、5Cのケーブルで最大100mほど伝送できると説明された。

ただ、ケーブルはFBより低損失のものを使う必要があるという。パナソニックが同軸ケーブルでデモを行ったのは、IPで接続すると遅延があり、ライブスイッチャーとして使うことを考慮してのことのようだ。ちなみに参考出展されたスイッチャーの入出力部分はスロットになっており、同軸でもファイバーでもIPでもこのスロット部分を交換することで対応可能とのことであった。

一方ファイバーは伝送距離では問題ないが、Blackmagic DesignやAJAのKi Pro Ultraなど光トランシーバーSFPはオプションになっている。このトランシーバーはIT系で使われているもので、ビデオ的な運用をするにはコネクターの強度やケーブルなど心配な部分である。おそらく今後はこうした部分も規格化が進みビデオ用途に適した製品が出てくるだろう。そういう意味もあってオプション扱いになっているようだ。

IPに関しては、パケット落ちや遅延が問題となっているようだが、スイッチャーに関しては各社それぞれアプローチが異なる。グラスバレーはIP変換をしているだけでスイッチャー部分は基本的に変わらないとの説明から、グラスバレーのスイッチャーにミランダのIP変換を組み込んだイメージ。ソニーはIPのままスイッチングしているということだったので、根本的に設計思想が異なっているようだ。一方パナソニックは、IP対応はしているもののあまり引きがないということで、いまいち積極的になれない状態だ。

当面は、100m以下の運用は同軸12G-SDI、それ以上はファイバーの12G-SDI、設備系はIPという流れになるだろうが、来年あたり急速に進むだろう。今年は実運用にかんしての4K元年といえそうだ。

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ソニー4K対応スイッチャー本体「XVS-8000」。ネットワークメディアインターフェースに対応したIP入出力のほかSDI入出力にも対応している

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4K対応スイッチャー専用コントロールパネル「ICP-X7000」

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ソニーネットワークメディアインターフェースはSDから8K、ハイフレームレートに対応しているほか、ネットワークベースの同期信号SMPTE ST 2059-2に対応している

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グラスバレーの4K対応プロダクションスイッチャー「Karrera K-Frame」。グラスバレーはカメラ、サーバー、プロダクションスイッチャー、ルーティングスイッチャー、マルチビューワー、IPゲートウェイやコントロールシステムなどをIP(SMPTE 2022-6)で接続するGlass-to-Glass IPソリューションを展開。Karreraはシステムの構成要素の1つとなる

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パナソニック4K対応ライブスイッチャー。AV-HS6000シリーズをベースにしており、入出力は基本同軸またはファイバーの12G-SDIとなっている

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「Blackmagic Design Smart Videohub 40×40」。いち早く12G-SDIに対応した機器を発売し、写真のルーターなど12G-SDI対応製品のラインナップを増やしている

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ATOMOS 4Kレコーダー「SHOGUN STUDIO」の背面パネル。同軸タイプの12G-SDI入出力に対応している。この手のレコーダーでは長いケーブルを接続することはほとんどないので、順当な対応といえる

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AJA 4K対応レコーダー&プレーヤー「Ki Pro Ultra」。4K運用の場合はSDI×4、12G-SDI、オプションでファイバーにも対応


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