Inter BEE 2016 11月17日

岡英史
Panasonic

二日目はPanasonicからスタート。この期間中ならVARICAM LTに進むのが話的には正論だが、ミドルレンジ的にはそんな事よりももっと実務的に気になるものがある。それがPOVCAM 4Kだ。

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SDI入力、しかもAVCHDフォーマットと言うこなれた収録機としてPOVCAMはバックアップ機材として大人気だったレコーダーだが、いつの間にかディスコン扱い。残念に思っていたところで医療用としての発表があったが展示してあるものはすでにダーク系の業務機も同時発売の予定。前は出来なかったリモコンでのアイリス調整や4K30p記録(専用カメラヘッド入力のみ、SDIはHD入力)、更に解像度の高いLCDパネルと一回り強化されての登場。発売が待ち遠しい。

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ATOMOS

4Kレコーダーとして一躍有名になったSHOGUNも既に3代目に突入となる。今回の目玉はHDR運用が可能。Atom OSの動作確認も安定して来たので動作エラーは殆どゼロに等しい。今回SHOGUN INFERNOになった事で4K60p運用も可能となった。またバッテリースロットが2連になり持続時間が増えた。筆者の環境だとNP-F970の2連装で約2時間は楽勝だ。

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またクロスコンバートや4KからHDにダウンコンバートも可能で、SHOGUN INFERNOが1台現場にあると、いざと言う時に慌てることはないだろう。HDRのやLUT設定と共に最近のガジェットではコスパも良く中々いい機材だ。

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土持幸三

今年もInterBEEが開催されている。その年によって様々な傾向があるのが楽しいのだが、今年の傾向として、昨年まで数多くあったジンバルの展示がかなり減り、4K放送・画像の伝送・アーカイブ関係の製品が増えたのが僕の印象だ。またInterBEEの楽しみ方として、どっかの現場やWebでチラッと見たことがあって「これ、どこで売っているんだろう?」という製品を目の前で見て触ることができる事である。

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デザインが特徴的なシネレンズVeydra

今回は、ちょっと前から気になっていた、クラウドファンディングによって資金を集め製作されたシネマレンズVeydraと機材レンタルした時などによく見る、ケーブルを束ねるマジックテープ、RIP-TIEを手に取って見ることができた。Veydraはマイクロフォーサーズ・ソニーEマウント向けのシネレンズで、コンパクトにまとまったオレンジとイエローの文字が目に付く、アメリカンなデザインが特徴で、T2.2に0.8mピッチギア、全レンズ共通のフロント径によって本格的な4K撮影が安価にできるシネレンズに仕上がっていた。

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250個以上のオーダーで名前を入れられるRIP-TIE

RIP-TIEは30年以上ケーブルを束ねるということだけを考えて製品を作ってきたそうで、その束ねる力、幅や長さ、耐久性で製品に違いを持たせており、僕が特に興味を持ったのはリップラップという製品でガムテープのような形状だが、粘着物がテープになく、柱などにケーブルをテープで固定しても、はがしたあと、ベタベタが全く残っていないというもの。

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リップラップは便利だと感じた

現場で使ってみたいと思わせてくれる製品に出会えるのがInterBEEの面白さであり、また改良点などの要望をメーカーに直接話せるのも醍醐味で、今年も楽しいInterBEEだった。

手塚一佳

InterBEE2016の手塚的注目は、まずは何と言ってもファームアップやバージョンアップによる機材の高性能化だ。

まず、私も買った「Leica SL」。現行最高額フルサイズスチルカメラとして知られる同カメラだが、単に価格だけ見れば4K動画カメラにしては格安と言えなくもない。しかし、実はこのLeica SL、発売直後の去年はただのスチルカメラのおまけ機能程度の4K動画と見なされたのか、全く騒がれることは無かった。

これが大化けしたのが2016年夏のファームアップ。今回のATOMOSブースや銀一ブースでの展示は、その2.1ファームアップ後のInterBEE初展示となった。Leica SLのファームアップは、安定性が増しただけでなく、ホワイトバランスや露出補正の改善など動画撮影時の補助機能も増え、動画設定が静止画同様使いやすくなった。なによりも、DCI4Kと、まだ各社未対応だがLogまで積んでいる。Leica SLはスチルカメラなので税法上の都合で30分制限こそあるものの、正直、そんじょそこいらのシネマカメラを名乗る4Kビデオカメラよりも高性能である。外部出力はDCI4Kで10bitで出る。何よりも今ならセットで安く買える標準ズームレンズが当然にLeica製なので、当たり前だが世界最高性能を誇るレンズの1つだというのが素晴らしい。これを買わなくてナニを買うの?というので、うっかり買ってしまった1台だ。頑張ってペイさせねばならない。

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さらには、JVCの「GY-LS300CH」。こちらも発売直後にはその凝りすぎた性能の数々から先を行きすぎた4Kカメラとまで言われたが、なんと今度の参考出品のファームウェアでは外部出力4K60p 4:2:0の出力を可能にしているでは無いか!発売から時間をおいて、まだ参考出品ではあるもののいきなりまた最先端に舞い戻ったのはさすがJVCと素直に脱帽せざるを得ない。正直、バージョンアップと言うよりもほとんど別カメラです。はい。これを新機種としてでは無くファームウェアのバージョンアップで提案しているところが凄すぎる。

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そして、こうした無茶な(失礼!)バージョンアップを成立させたのは、なんといってもこの、ATOMOS「SHOGUN INFERNO」の存在があってこそだ。新発売のこのモニタ付きレコーダーは、なんと、4K60p収録を実現しただけで無く、DCI4K、LUTの入力によるモニタのDelog表示にまで対応しており、もちろんスタートストップもSHOGUN INFERNO上から行える。各機器との接続も、SDI端子だけで無くHDMIでも行える。カメラを外側から化けさせた名マネージャーと言えるだろう。60p収録ではさすがにSSDは選ぶものの、推奨のものさえ選べば安定して運用できるというから安心だ。

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こうした一眼動画やミドルレンジカメラに合わせたお手頃なシネマレンズ群の発表も今回のInterBEE2016の特徴で、各社、元々あるスチルレンズをシネモードしたり、あるいは新規に作り降ろすなどして様々な提案をしてきていた。例えばシグマブースでは、Panasonicのハイエンドシネマカメラのミドルレンジ向けライン「VARICAM LT」が展示されていた。こうしたミドルレンジカメラの実働実機にシネマレンズというのが、今年のInterBEEの特徴だ。実際にシネマカメラに触れる時代が来たのだ。

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例えば、ケンコートキナーブースでは、オリジナルのシネマレンズの紹介をしていただけで無く、SAMYANGのシネマレンズの豪華版「XEENシネマレンズ」の展示発表をしていた。こうしたレンズ群によって、一眼動画やミドルレンジカメラでも、ちゃんとしたスタイルによるシネマ撮影が出来るようになった。

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また、他にも毎度おなじみの興和光学ブースでは、ついに「PROMINARレンズ」のマイクロフォーサーズマウントのシネマ版も3本揃って展示され、さらにはそうした軽い機材を載せるためのカーボン製のクレーンまで展示されていた。これらのレンズと前述のLS-300CHとの相性は抜群である。こうした広がりがあるのが、今年のInterBEEの特徴だ。

さらに、これは練り歩きではご紹介できなかったが、三友ブースにはLeicaのシネマレンズが多数展示され、特にMマウントタイプのノクチルックスシネマレンズは本邦初公開。また、最近勢いのあるRAIDブースでは、RED HELIUM 8Kカメラもこうしたシネマレンズ群を装着されて実働展示されていた。

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シネマカメラを支えるサポート群の充実も今回のInterBEEの素晴らしいところだ。例えばLibecブースでは、自立型ビデオ一脚「HFMP」が国内初展示されていた。これは丈夫で安定しているだけで無く、フットペダルで一発の既倒が出来るのが特徴で「踏んでね!」のシールが貼られて、実際に大勢の観客にスイッチを踏まれてその便利さと丈夫さをアピールしていた。

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変わったところで筆者の仕事に近い話をすると、朋栄ブースでmo-sysの「StarTrackerシステム」を使ったリアルタイム合成展示をしていた。これは名前の通り、星空のように天井にマーカーを貼ることでグリーンバック相手の合成を容易にする仕組みで、こうした最新機材の発表も順調であった。

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しかし筆者的に最も感動したのは、やはりこれ。ナックイメージテクノロジーブースに置いてあった来春発売予定の新型シネマレンズ「Angenieux Type EZ-1」を実際に触れたことであった。Sonyのα7 IIに装着したものを触ることが出来たが、こうした一眼動画系の特徴でもあるフルサイズセンサーに実際に対応し、しかも、ユーザー自身での後玉交換によって簡単にシネマ標準のスーパー35mmセンサーにも対応できるというのは非常に画期的だ。

EZ-1の機能は、スーパー35mm後玉装着で30-90mm F1.9/T2。フルサイズセンサー向け後玉装着で45-135mm F2.8/T3。しかもその画質は間違いなくAngeniex!!何と、値段は、スーパー35mmセンサーキットのみで120万円、フルサイズセンサー対応キット込みで150万円とのこと。この価格ならば軽トラック程度の負担で個人所有が可能であり、シネマレンズとしては爆安と言って良い。明らかに一眼動画やミドルレンジのレンズ交換式カメラを意識した価格帯と性能である。本当に時代が変わったと感じるレンズだ。

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このように、今回のInterBEEは周辺機器が充実しており非常に面白い!新型カメラこそ目立ったものは無かったものの、カメラファームのアップデートで最新カメラ化するという面白いアプローチが複数見られたのは実に現代的だと思う。

正直、展示されているシネマレンズはピンキリで、中にはフォーカスを動かしただけでズームをしたかのように画角が変わってしまったり、あるいはそもそも4Kや8Kの光学解像度が出ていないレンズも複数見られた。それも、驚くべき事に、今回発表の安いレンズ群の一部だけで無く、実は充分な光学解像度が無かったことが判明する既存の高額シネマレンズも散見された。これは、4Kあるいは8Kのカメラを実際に触れる今年のInterBEEだからこそ判明したことと言える。しかし、そうしたレンズも高解像度化の過渡期故と温かく見守って行きたいし、その中でもなお、自ら触って試して比較できるのが、InterBEEの素晴らしさだろう。

今回も本当に参加して良かったと心から感じる。是非、明日最終日も、皆さん、来て、見て、そして何よりも実際に触って頂ければ幸いだ。

小寺信良
すべてを取り込むIP伝送の世界

InterBEE2日目の今日は、「歩き方.tv」以外でもIP伝送に関して色々なところで話を聞いてきた。

NewTekは以前から独自のNDIというIP伝送規格を立ち上げ、独自の製品展開を行なっている。今回はIP伝送をメインに置いたIPライブプロダクションシステム「Newtek IPシリーズ」を展示した。IP伝送側から40ソース、SDI 4ソースをスイッチングするシステムで、もはやイーサネット経由のほうが映像ソースが多い。

どうしても4M/Eの新規コンパネに目が行ってしまうが、M/E数などスイッチャー規模としては、TriCaster8000シリーズと同等だ。また入力の補助として、HDMIやSDIからNDIへ変換するためのボックス「BirdDog」も、モックアップながら展示した。

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IPシリーズ「4-Stripe コントロールパネル」

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HDMI/SDIからNDIへ変換する「BirdDog」

現在映像をIP伝送する規格グループは、NDIのほかにもTICOアライアンス、ASPEN(Adaptive Sample Picture Encapsulation)、ソニーのNMI、AIMS(Alliance for IP Media Solutions)があり、乱立状態となりつつある。だがそれぞれが独自のパートナーシップ間で分断することはどのメーカーも望んでおらず、各メーカーは複数のアライアンスに所属し、複数方式をサポートする方向で調整が始まっている。

こうして最終的には生き残ったすべての規格がSMPTE2022へ収斂する事になり、ユーザーは規格の違いを意識することなく使えるようになるはずだ。複数のプロトコルが同時に走るのが、IP通信のいいところなのである。

もう一つおもしろい話としては、Amazonが提供するクラウドサービス「AWS(Amazon Web Service)」上で、グラスバレーのノンリニア編集ソフトEDIUSが動作できるようになった。まだライセンス認証の仕組みを調整する必要があるものの、これを使えば編集のためにパワフルなPCを自分で用意しなくてもよくなる。

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AWS上で動くEDIUS。MacユーザーもEDIUSが使えることになる

また映像ファイルはすべてクラウドに上げてしまえばいいので、局内やポストプロ内でアセットマネージメントシステムを使って素材共有をしなくても、クラウド上で事足りる事になる。もちろん、素材のセキュリティだったり、編集のレスポンスなど課題もあるだろうが、高速回線さえあれば4Kでも8Kでも非力なノートPCで編集できる日が来るかもしれない。

映像制作の常識は、おそらくこういうところから変わりはじめるのだろう。

江夏由洋

「4K」という言葉は今、次のステージを迎えようとしています。技術的な進化はHDRという規格を生みました。今回のInterBEEの大きなトピックの一つが4K/HDRです。ソニーのブースやキヤノンのブースでは、HDRモニターによる広色域・高輝度表現のデモンストレーションが行われていました。

デジタルシネマの世界を牽引する日本のリーディングカンパニーである2社は、Canon LogやS-Logという広色域の収録を兼ねてから行っており、HDRへ続くワークフローをシームレスに築いております。またソニーはPMW-F55に接続するAXS-R7を発売し、新しい収録フォーマットである16bitシーンリニアのX-OCNをリリース。4K120pの記録を可能にし、新しい可能性を切り開きました。

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ソニーのS-Logワークフローに集まる人!!

また、CanonはCinema EOSシリーズの旗艦機となるEOS C700を発表。同様にRAWによる4K120pの収録を実現。HDR制作に向けたワークフローをソニー同様に盤石な構えで整えていました。

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新しく発売になったキヤノンEOS C700

こうやって各社が凌ぎ合って、高画質の映像を追求するのを見ていて、日本人として大変誇らしく思います。HDRとともに新しい4Kの時代が幕開けを予感するInterBEEです。

Raitank

今年もInterBEEの季節がやって来た。ん?今年は、なにかゆったりとした雰囲気が漂っている。なぜかな~?と思ったら、出展社が増えて増床したのだとか。去年比ベースで、+1ホール、+6,700平米も会場が広くなっていた。

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…してみると、映像業界、放送業界は右肩上がりなの?か?という業界トレンドを反映し、今年のPRONEWSチームはみんなで今年のコンセプトTシャツを着て会場を回ったのだった。

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今年は恒例「練り歩き」のトリ(つまり最後)ということで、大物、目玉の類はすでに諸先輩にカバーされ尽くされていたこともあり、ぼくはひたすら小さいもの、ひっそりと目立たないものの方へ…。

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Bluetoothでコントロールできる超小型LEDライト、Lume Cube。独りで運用できるiFOOTAGE社のパララックス・ジブ。GoProを6台収納して推進1,000mまで潜れる耐水圧360ケースなどなど。

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こうした小さきモノの質とバリエーションの拡充こそが、業界活況の証ではないかな。

番組表


Day01 [Inter BEE 2016の歩き方.tvデイリーレポート]