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txt:和田学 構成:編集部
6月21日~23日、東京江東区の東京ビックサイトで「3D&バーチャルリアリティ展」が行われた。機械要素技術展、設計・製造ソリューション展など4つのものづくり専門展から構成される「日本ものづくりワールド」の一展示会として行われているもので、最先端の3D技術や映像技術を持った企業のソリューションをその場で体験できる専門展として毎年行われている。エンターテインメント業界以外でもVRの活用は広がっており、モノづくり業界ではデザインレビューなどでVRを活用することが多くなってきている。設計製造工程でVRがどのように使われているのか、その様子を紹介しよう。
Webブラウザからオーサリング可能なプラットフォーム「InstaVR」
Tooは、InstaVR社が提供しているVRアプリ開発プラットフォーム「InstaVR」を展示。今までVRの開発というとCGやゲームエンジンエンジンを使わないといけないという敷居が高い印象があった。しかし、InstaVRは、ブラウザ上からMacでもWindowsでもログインして使えて、360°のカメラやCGのレンダリングデータをドラッグアンドドロップで登録して、VR画面から次のVR画面につながるリンクを設定するだけでVRアプリの制作ができる。
InstaVRが特に優れているのは、iOSやAndroid、HTC Viveなどさまざまな再生プラットフォームへの対応をワンクリックで書き出せるところだ。他のツールでは、書き出しの際にいろいろな設定が必要で専門の知識も必要だったが、InstaVRは専門知識をもっていない人でも利用が可能。
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InstaVRの作業画面。ブラウザ上で稼働するツールで、Chromeで開いて作業を行う
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iOSのパッケージ制作画面。知識がなくても書き出しが可能
360°撮影をリアルタイムでモニタリングできるハードウェア「Sphere」
クレッセントブースでは、360°撮影をその場でリアルタイムにモニタリングできるハードウェア「Sphere」が展示されていた。360°で撮影した素材は、一度パソコンや再生機などを通さなければ撮影内容の確認ができないが、Sphereを使えばリアルタイムに360°撮影のモニタリングが可能。パノラマイメージのほか、立体投影モードでも確認ができる。
Sphereは、HDMI入力対応モデルのほかにSDI入力対応モデルが発売されており、4つの入力端子を備えており、4台までのカメラに対応する。また、Sphereをデイジーチェーン接続して2台構成にすれば最大8台まのカメラを繋げてモニタリングできる。Sphere本体にはEthernetの端子を搭載しており、こちらにWi-Fiルータを繋げることによりiPadなどのクライアントでモニタリングができるようになる。スティッチングした360°ビデオはMP4形式でiPadに録画保存する機能も搭載している。
Sphereはムービングドリーに搭載する形で展示しており、リモコンで操作が可能。360°撮影は撮影者が写り込んでしまう問題が起きるが、ドリーによる遠隔操作で解決している。現在、SphereのクライアントソフトウェアはiPad版のみだが、Mac版のリリースも予定中。ベータ版はWebにアップされており、まもなく正式版がリリースされるとのことだ。
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左が360°のリアルタイムモニタリングが可能なハードウェア「Sphere」。右のiPadが360°撮影をリアルタイムにモニタリングしている様子
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Sphereをムービングドリーに搭載。1台のSphereで4つのHDMIを搭載。4台までのカメラに接続可能となっている
約30cmの距離で100インチ表示可能な3D投影システム「Christie Captiva 3Dシステム」
クリスティは、プロジェクターやスクリーン、トラッカー、ワークステーションがセットになったソリューションの3D投影システム「Christie Captiva 3Dシステム」を展示。特徴は、30cmの投影距離で100インチの映像を投影できるという超短焦点のプロジェクターで、3Dの立体機能も搭載している。プロジェクターの明るさは約3000ルーメンとそれほど明るくないが、スクリーン上部からの光をカットするようなものになっていて、会場のような明るい環境でもしっかり観ることができる。学校の会議室のようなところでも使用可能だという。
クリスティはハイエンドのプロジェクター「Mirage」シリーズを使った正面、床面、側面、天面の4面構成による完全没入型VRシステム「HoloStage」をリリースしているが、そこまで導入の予算がないという場合にこのシステムを提案しているとのこと。デザイン系の業種で立体的に形状物を見て意思を決定する場や、理系の大学でゲノムのデータを立体的に確認したいという現場で使われているという。
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100インチの映像を3Dで確認することが可能な「Christie Captiva 3Dシステム」
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3Dメガネを使って立体視で確認することができる
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プロジェクターのChristie Captivaは、スクリーンからわずか30cmの位置から100インチの投影が可能
Viconを使用したナビゲーター型ビジュアライザー「Trans-Visible Navigator」
こちらもクレッセントブースのソリューションで、Viconを使った自由視点かつ高精細なナビゲーター型ビジュアライザー「Trans-Visible Navigator」のデモを行っていた。モーションキャプチャ用のカメラを2台配置してストロボを焚き、赤外線を操作用端末やオブジェクトに搭載したマーカーに反射して位置を測定することにより、3Dプリンタで作成した自動車オブジェクトを専用ARモニターを通して観ると車に色がついて確認ができるようになっていた。また、オブジェクトにエフェクトがかかっているような効果も確認可能。
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さまざまな角度から車の色のバリエーションを確認することが可能
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車中まで作り込んだ車体のデータを使っているので、車のオブジェクトにモニターを近づけると、車の中の様子を確認できるようになっていた
ヘッドマウントディスプレイを使ったVR対応のビジュアルソリューション「VividPlatform」
伊藤忠テクノソリューションズは、タブレットやノートPCを使って住宅のイメージを手軽に起こすことができるビジュアライゼーションツール「VividPlatform」を展示。間取りを設定して、壁材を設定するだけでイメージの生成が可能。スキルのない営業マンでも短時間で具体的なイメージを使って提案ができる。構築した間取りは、写真と見違えるようなリアルなCGに書き出すことや、昼と夜をシミュレーションすることや、ヘッドマウントディスプレイを使ったVR体験にも対応する。
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iPadのアプリケーションを使って簡単に平面を生成できる。その場でフロアプランを提案することが可能
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さまざまなインテリアやキッチンなどを配置して、より具体的なイメージを生成できる
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端末からクラウドを通じてフォトリアルなレンダリングが可能
高解像度の大画面で実物大の設計データを確認できる「V-Wall 4K」
こちらもクレッセントのソリューションで、大型液晶モニターと光学式トラッキングシステムViconの「Bonita10」を組み合わせたVRシステム「V-Wall 4K」を展示。高い没入感が得られる大画面と高精細な映像を両立させるための4Kディスプレイを採用したソリューションで、ディスプレイの周りに設置したカメラとメガネに搭載した光学センサーによって視点位置を正確に計測し、眼鏡を動かすと視点も連動して描画するようになっている。
V-Wall 4Kのターゲットはデザインのレビューの現場で、まるで実物が目の前にあるかのように設計データ表示することができるようになる。3D表示によって、平面では気づかない情報がわかることもあるという。このほかにも、ディーラーに設置して商品の紹介などに使えるのではないかとのことだ。
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マーカーの付いたメガネをかけて、液晶モニターの前のさまざまな角度から車の形状を確認することが可能
モーションキャプチャ×ロボットによる遠隔操作の実演
オプティトラック・ジャパンのブースでは、モーションキャプチャの技術を使ってロボットを遠隔操作するデモを行っていた。加工作業者は、VRの空間の視界を元に工具を動かしてその様子をモーションキャプチャする。隣のロボットではモーションキャプチャされた動きをリアルタイムに再現。遠隔で加工作業ができるというデモを通じて、クリーンルームや高温な環境においてインタラクティブなロボットコントロールが必要な環境で役立つという提案を行っていた。
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手前がヘッドマウントディスプレイを見て、作業を行う。奥のロボットでは加工作業者の手元の操作をリアルタイムに再現している
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作業者が付けているヘッドマウントディスプレイの視界の様子
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加工作業者は反射マーカーの付いた仮想の工具を手に持って作業を行う
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仮想の物体に触れて感じる振動付きフィンガートラッキング
日本バイナリーは、3D空間に3Dモデルを読み込んで仮想の物体に触れて感じることができる振動付きフィンガートラッキングのデモを行っていた。空間の3Dモデルを触るとフィンガートラッキングのデバイスに振動が起こるようになっている。たとえば、車の開発の検討の際に、椅子に座った状態でハンドルまで手が届くのか?べダルに届くのか?といった操作稼働範囲の検証に使われているという。
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ヘッドマウントディスプレイとフィンガートラッキングを装着
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モニターはヘッドマウントディスプレイの映像の様子。ハンドルを触ることが可能
Microsoft HoloLensで、空間上のウインドウをコントロール
ソフトソリューションズは、自己完結型ホログラフィックコンピュータのMicrosoft HoloLensを装着して手指でWindowsのウインドウを開いたりクリックするデモを行っていた。手のゼスチャーでブラウザを移動させたり、指の動きでクリックすることが可能。
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リアルタイムの3Dホログラムを映し出すデバイス「Microsoft HoloLens」
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HoloLensから見える視界の様子。ブラウザが中に浮いて見えている
店頭で消費者の注目を集めるリアルフィクション社の3Dホログラムディスプレイ「Dreamoc」シリーズ
ケー・シー・シー・商会は、リアルフィクション社の3DホログラムディスプレイのDreamocシリーズを展示。Dreamocは、液晶モニターがケース上部に設置されていて、表面が特殊な加工をしたガラスに液晶モニターの光がほどよく反射をして奥の商品が見えつつ、モニターの映像が宙に浮いた形で表示される。ひと目見ただけで目を疑うような演出が可能で、通行中の人が足を止めてしまうほどのアイキャッチ性の高さが特徴だ。
Dreamoc POP3を3面並べたものをメインの展示としていて、横長のコンテンツを実現できるところをアピールしていた。そのほかにも、3面タイプで一番大きいタイプのXL3や中間サイズのHD3も展示。XL3は、シャンパンボトルなどの高さがある商品を置くことも可能で、HD3は時計やジュエリーなどの高級装飾品を中に入れて販売や展示するのに使われているという。また、iPadでコンテンツを選んで再生することも可能で、工場の入り口や会社のエントランスに置いて会社の成り立ちや商品の紹介などに使うこともできるという。
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Dreamoc POP3を3面並べての展示。横長のコンテンツを実現できる
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商品と映像を組み合わせた演出を実現可能
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ボトルなどの高さのある商品も配置可能な大型サイズモデルの「DREAMOC XL3」
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時計などの展示に最適な中間サイズの「Dreamoc HD3」。iPadでコンテンツが選べるようになっていた
txt:和田学 構成:編集部