[InterBEE 2017]会場出口インタビュー

4Kから8Kへのステップは、すぐそこに

昨日は薄曇りという天候のなか13,365人の来場者があったそうだ。今日は快晴に恵まれ、会場内は朝から熱気に包まれている。もう少し先の話と思われた4Kも今では当たり前になり、ユーザーの運用に合わせたシステムの構築も容易になってきた。今年は各メーカーとも4K導入のラストといったところだろうか。

そうした状況のなか、シャープがアストロデザインと共同のブースを構え8Kのカメラを発表している。アストロデザインはすでに8Kのカメラを発売しているが、今回シャープが発表したカメラはカメラとレコーダーが一体型のスタイルとなっている。試作レベルのカメラはこれまでも池上通信機や日立国際、キヤノンなどから出展されていたが、一体型として今回シャープが発表&出展したことで、いよいよ8Kによる制作環境が整ってきたといえるだろう。

特に注目したいのは民生用のメーカーとして一般的に認識されているシャープが業務用のカメラを発表したことだ。TVモニターではいち早く4K/8Kに着手していた同社だが今回発表した8Kカメラは民生用8Kカメラの製品化への道筋にしたいという思惑があるという。4Kのときも家庭用のTVモニターが先行して発売され、一部デジタルシネマ用を除くと業務用のビデオ機材は後れを取っていたが、8Kも同様の現象がおこるのだろうか。

4K/8Kにおける信号伝送は放送業務用派生のIPか12G-SDI、民生機器派生のHDMIの3つに落ち着き、ケーブルの中身はともかく1本のケーブルコネクターでビデオ機器を接続できるようになった。HDを含めコンバーターもリーズナブルな価格の製品が多数あり、ビデオ機器側も複数に対応するものもあり、接続に悩むこともほとんどなくなったといえるだろう。

一方スマホや携帯電話の普及もあり、無線伝送で使用できる帯域が増え、国ごとの違いも少なくなってきている。また、画像圧縮技術も向上し、画像の無線伝送機器も最近の流れの一つといえる。ひと昔前ならばマイクロ回線やSNGをもつ放送局だけが画像の無線伝送が行えるだけだったが、個人レベルでも手軽につかえる製品も各社からでてきた。単純に拠点間を無線伝送するものからネットを利用するものなどがあるが、ネットを利用したものは国や地域に限定されることがないという利点があり、クラウドサービスなどと組み合わせた放送局向けのサービスが普及しつつあるようだ。

12G-SDIを光ファイバーを使って長距離伝送に対応なコンバーターDigital ForecastのBridge UHD。エーディーテクノブース

キヤノンが参考出品していた8Kカメラ。すでにいくつかのイベントなどで披露されており、実際にこのカメラで撮影した画像の上映も行っている

シャープ8Kカムコーダー8C-B60A。8K60pの4:2:2方式10bit収録に対応。記録方式や記録媒体はアストロデザインのものに準拠している

IDXのワイヤレス伝送システムCAM WAVE。今回伝送距離が100mと300mのモデルを参考出品

ソニーブースではIIJ飯田橋本社にリモートスタジオを設置し、幕張の会場とNEXION回線で接続。会場ではIP Liveプロダクションシステムにより、他社のブースの機器とネットワークを組んでいた

LiveU社製品による4K中継システム。3G、4G、LTE、BGAN、Wi-Fiなど複数の回線を束ねて使用し、HEVCによる圧縮コーデックを採用することで4K60p伝送に対応。三信電気ブース

パナソニックのP2シリーズクラウドサービスP2 Cast。100GBのベーシックプランで月額24,000円から利用可能

スタジオから撮影現場のカメラをIP制御し少人数で効率的な運用が可能なスポーツ中継システム。JVCのカメラとStreamstar社のライブプロダクションシステム X7/X4/X2組み合わせたシステム。JVCケンウッドブース

HEVCによる4K/8K放送リアルタイムプレイヤー。HEVCのMain420/422 10プロファイル対応で60fpsも可能。TMCブース

NHK&JEITAブースでは8Kを大きく掲げ、NHKの8K中継車や収録システム、受信システムなどを展示

4K/8K推進のためのロードマップ。4Kはすでにスカパーで放送開始されているが、来年からBS衛星を使ってBS朝日、BSジャパン、BS-TBS、BS日本、BSフジなどが本放送を開始する予定。来年からの8K放送は今のところNHKのみ


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