txt・構成:編集部

0.95の浅い被写世界深度で被写体を強調できる「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」を展示

ニコン(NIKON IMAGING(CHINA)SALES)は、BIRTVに初出展。フルフレーム対応ミラーレス「Z 6」の映像撮影機能やZシリーズ対応大口径レンズ「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」、Zシリーズビデオソリューション、ニコン子会社MRMCの映像機器ロボット制御ソリューションの展示が行われていた。

ブースでもっとも目を引いたのは、開発中の58mm f/0.95 S Noctの展示だ。Noct自体は、CP+2019やNAB2019でも展示されていたが、何度触っても興味深いレンズだ。ブースではモデル撮影が可能となっており、0.95という浅い被写界深度による後ろボケが体験できるようになっていた。

一見すると「0.95は被写界深度が浅すぎる」と思われるが、実際に使用すると、そのようなことはなさそうだ。ただし、瞳にピントを合わせると鼻はボケる。絶妙なピント合わせを要求される。それゆえに0.95 S Noctのフォーカスリングの回転角は約300°と大きく、微妙なピント合わせができる仕組みを実現している。描画は、0.95の開放からシャープで、絞ると被写界深度がそのまま深くなっていく感じだ。

Zマウントレンズの標準レンズは、NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sがすでに発売中で、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctと50mm f/1.2 Sが続く。標準レンズを3本の中から選択できるようになるのも楽しみだ。

NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctでモデル撮影で体験できるようになっていた

絞り開放0.95の描画。浮き上がるような開放の描画を体験してしまうと、積極的に0.95で使いたくなることはいうまでもない

開放時のライブビューを拡大したところ。絶妙なピント合わせの精度が要求される

58mm単焦点レンズだが、望遠レンズに見間違うほどの外観

フロント径は82Φ。標準レンズでここまで大口径なのにも驚く

筐体に液晶モニターを搭載しており、距離や絞りの表示が可能

ブースに展示されていたカットモデル。驚くようなレンズの密度の高さだ

人間では不可能な複雑な動きを実現できるモーションコントロールソリューション「Bolt Jr.」を展示

NABでお馴染みMRMCの映像機器モーションコントロールソリューション「Bolt Jr.」も技術展示されていた。コンパクトで軽量な高速カメラロボットだが、ブースのスペースの都合でゆっくりと動く形でデモが行われていた。

人の手でカメラを操作する場合は、まったく同じカメラアングルの軌道を何度も再現するのは不可能だが、Boltは動きを記録し、ロボットアームで記録した同じ動きを再現できるのを特長としている。特に、人間ではできない複雑な動きが可能なのが特長だ。

Boltは、ビッグバジェットのプロジェクトで使われるソリューションというイメージが強いが、Bolt Jr.であればブロードキャスティングの小さなスタジオの中でも有効であることをアピールしていた。

ブースのBoltは床に固定された形でデモされていたが、レールを敷いて前後の動きも合わせて一緒にコントロールすることが可能

Z 6を使用したライブシステムやスタビライザーとの組み合わせを展示

Z 6を使ったライブシステムを展示。特に中国では、動画市場の規模は年々大きくなっており、生放送も大変に増えてきているという。そこで、ニコンのミラーレスシステムは小型システムとでありながらハンドヘルドカムコーダーにも負けない実力を持っていることを紹介していた。

Z 6は、ZhiyunやDJIなど各社スタビライザーがすでにカメラコントロール対応を実現しているのも特長だ。ブースでは、Weebil LABと組み合わせてスタビライザー体験デモも行われていた。特に、中国国内には、ZhiyunやDJI、MOZA、FeiyuTechなどのスタビライザーメーカーメーカーがあり、緊密にコミュニケーションをとって各社スタビライザー対応を実現しているという。

Z 6とZhiyunのWeebil LABと合わせて展示

ちなみに、中国のニコンのラインナップには、米国のニコンから発売されている「Z 6フィルムメーカーズキット」のようなものはない。しかし、中国国内のカメラアクセサリーメーカーとは、普段から積極的に交流をしているとのことだ。

最小サイズシステムで12ビットRAW収録やZマウントのS-Lineレンズを展示

ニコンのZ 6とからHDMI経由で12ビットのRAWビデオ信号を出力し、Atomos Ninja VでRAW記録ができるシステム

開発中のProResRAW収録システムを展示。ニコンのZ 6は、HDMI経由で12ビットのRAWビデオ信号を出力し、Atomos Ninja VでRAW記録が可能。これまで12ビットRAW収録したい場合は、シネマカメラで収録するのが一般的だったが、Z 6とNinja Vを組み合わせ小さくて購入しやすい金額のシステムでRAW収録が可能。「よい作品を、より安い、より軽いシステムの実現が可能」と提案を行っていた。

ZマウントのS-Lineレンズを展示。上の6本はすでに発売中。下の5本は開発中のもので、「24mm f/1.8 S」「20mm f/1.8 S」「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」「50mm f/1.2 S」「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 S」など、直近に発売を予定しているラインナップが展示されていた。

txt・構成:編集部


Vol.02 [BIRTV2019] Vol.04