Day01:2年ぶりのリアル開催で心躍る[Inter BEE 2021の歩き方.tvデイリーレポート]

Inter BEE 2021 11月17日

岡英史

Inter BEEが2年ぶりに開催された。非常に長かったと感じているがその1発目は恒例のSonyブース・スペシャルだ。さすがに今年の展示は全体的に縮小傾向でそれはSonyブースも例外ではないとはいえ、小さく見えないのはやはり王者の風格?と言って良いだろう。

目玉は2つ。新型ラージセンサーカメラと映像クラウドだ。確実にInter BEEでは新型カメラを発表するので、今回も2つの大きなカメラが発表・展示された。1台はラージセンサーを搭載したシステムカメラ「HDC-F5500」。ボディこそHDC-5500と同じだが、そのセンサーはスーパー35mmセンサーを搭載したもの。システムカメラにこのセンサーは必要なのか?自問自答は現物を見て「アリ」と確信した。運用はシステムカメラ、出てくる画は大判特有の画。システム全部にこのカメラの必要性は無いが、1台だけ決めに行くカメラとしてこの選択肢は間違いなく有効だ。

HDC-F5500
CCUがその性格を表している

その横にはVENICE2(6K/8K)が鎮座している。やはりフラッグシップカメラの存在感は大きい。特に8Kモデルは大型スクリーンでは無くてもその圧倒的な情報力は凄い。

VENICE 2/6K

クラウドでは中継システム「M2 Live」が目を引いた。いわゆるクラウド上でマルチカメラをスイッチングして出力する物でスイッチャーはハードではなく、PC上でのUIで操作となる。気になる遅延は一番遅れてるカメラに合わせての出力なので違和感はない。

M2 Live

もう一つはカメラで収録した素材をスマホを使ってクラウドに次々アップするシステム「C3 Portal」。多種多様に上がってくる素材は別の場所から同じく遠隔操作でタグを書き込んでその種別を分ける事が可能。これにより編集者は必要な素材を素早く取り込むことが可能になる。もちろんタグ付けだけではなく簡単なカット編集も可能なのでスピード感あるワークフローが可能になる。

C3 Portal

6月に発表された新型ドローン「Airpeak S1」の展示もある。性能が良いのは既に承知だと思うが、この展示では安全性の高さを特に強く語っていた。ドローンの事故は他のガジェットと違い、そのダメージは大きい。特にアンコントロールはあってはならない事だが、無線で操縦しているからにはゼロと言う事は難しい。しかしAirpeak S1 はそのような事態になっても安全に機をコントロールするセーフ機能がかなりの高次元で纏められている。この辺がやはり他機種とは違うSonyというブランドだろう。

機材は数字だけじゃ解らないことが多くある。その事はリアルに触れる事で思っていた事と出来る事のズレを修正する事が出来るのがリアルな展示会だ。残り後2日。是非会場にきて、見て、触って欲しいと強く思う。

ヒマナイヌ 川井拓也

長かったコロナ禍のトンネルを抜けつつある2021年の冬!やっと幕張メッセでのリアル開催にこぎつけたInter BEE2021 に行ってきました!

規模はやや縮小され飛沫感染防止からか騒音規制も厳しくなり静かな開催になっています。放送機器の祭典としてのお祭り感は薄れたけど逆に気になるメーカーの製品をじっくり見たり商談したりするのにはいい感じです!

テレワークが定着しZoomやTeamsでのテレビ会議もあっという間に定着しましたが、ライブ配信のカジュアル化も加速しているのは面白いところです。これまで配信代行などの映像プロダクション的な人しか使うことのなかったスイッチャーなども低価格化も著しく、ライブ配信やマルチカメラ映像の敷居もどんどん下がってきました。そんな目線から今回のInter BEEで注目してレポートしたのは「YoloBox Pro」と「Cerevo LiveShell W」です。

YoloBox Proは、8インチ液晶モニターに見えますがベゼルの上を見るとびっくりするくらいびっしりと端子が並んでいます。それもそのはず、このサイズでHDMI 3入力のスイッチャーであり、レコーダーであり、エンコーダーでもあるのです。OBSやXSplitなどの配信ソフトウェアのハードウェア版という感じです。タイトルやスコアボードもライブでどんどん作りながら入れていけます。

通信機能も充実しておりWi-Fi・SIMカード・有線LANが使えます。さらにUSB-AにWebカメラや書画カメラをつなげば4カメに。底面にはフルサイズのSDカードスロットがあり動画やPDFもソースとして使えます。小さな筐体によくこれだけの機能を詰め込んだなというオールインワンのワクワクガジェットです。

Cerevo LiveShell Wは、定番ハードウェアエンコーダー「LiveShell」シリーズの最新作!2016年発売の「LiveShell X」以降はあまり動きがなかったシリーズですが、今回の「W」は力が入っています!

まず横長になった本体の裏面にはなんとHDMI INPUTが2系統!つまりこれスイッチャーでもあります。さらにHDMI OUTもついています!1080p 60fpsで出力されるのでそうなので外部レコーダーにもスルーアウトで接続できます。「X」はバッテリー内蔵でしたが「W」は電源のみに。バッテリーはなくなりましたが電源が二重化されているのはさすが!録画用のmicroSDはこれまで同様ついています。

そして驚くことにオプションでUSB接続のハードウェアコントローラーがあります。これ小さなTバーがついておりミニスイッチャーのようなスタイル!メモリーボタンもあり画面レイアウトなどを登録して一発で呼び出せるようになるらしいです。

さらにさらに参考出品で「メディアプレーヤー」まで!こちらはフルサイズのSDカードがインサートできるポン出し動画プレーヤーのようです。「W」の気になるお値段ですが、10万円以下で2022年春の発売を目指しているとのこと!いいですね~!

というわけで、例年より静かな幕張メッセでのInter BEE 2021からヒマナイヌスタジオ、そして「動画編集カフェ」主宰の川井が熱いレポートをお送りました!

桜風涼(渡辺健一)

突然だが、映像業界の一大イベントであるInter BEEに何年かぶりに来たので、ちょいと浦島太郎な気分なのだが、コロナ禍で大人しい展示会になっているかと思っていたが、いやいや、かなり盛り上がっているという印象だ。もちろん、初日なので来場者数は鮨詰めとは言えないものの、かなりの人数だ。

いずれにせよ、オンライン開催と違って、説明員さんに直接話を聞くことができるし、実機に触れるというのは、やはりリアルな展示会の良さだと思った。そして、最も驚いたのは、女性来場者数の多さだ。しかも若女性がキヤノンブースでシネマカメラを熱心に触っていた。時代の変化を感じた。

ローランドがパワフルだ

VR-4HDやV-1HD+など、RS422端子を持つローランドのスイッチャーに接続できるトモカ電気のタリーシステム。配信のクオリティーアップには欠かせない

さて、まずローランドのブースにお邪魔したのだが、新製品こそないものの、コロナ禍の配信需要に後押しされる形で、それぞれの製品が周辺機器を含めて成熟していた。ローランド製品に接続できるタリーシステムなど、実際に配信を行えば欲しくなるシステム提案がなされていた。その中でもファームアップで機能が充実しているプロ仕様の上位機種を実際に触り、その使い勝手を体感してみるのが面白いだろう。

ケンコー・トキナーは、玩具箱のような面白さ満載

ケンコー・トキナーの名物デモンストレーター田村さん。今回はZeissの解説をしていた。そのほか、面白い周辺機器がたくさん展示されているので、ぜひみていただきたい

ケンコー・トキナーは、Carl Zeissの日本代理店となり、Zeiss製レンズを展示紹介していた。そのほか。スタビライザーのMOZAやその他周辺機器も数多く展示しており、このブースだけで1時間以上は楽しめるだろう。

富士フイルムはどっぷりとシネマレンズ三昧

レンズの老舗メーカー富士フイルム(フジノン)には、パワーズームユニットを搭載したシネマズームが展示されていた。フルサイズ用レンズなのだが、同社のラージフォーマットカメラのGFXにも取り付け可能になっていた

老舗レンズメーカーの富士フイルム(フジノン)からは、フルサイズのシネマズームレンズが多数展示されていた。しかも、電動ズームユニットも紹介されており、シネマレンズをENGレンズと同等の使い勝手にしてくれる。同じレンズと電動ズームは、富士フイルムのラージフォーマットカメラのGFXシリーズにも使うことができ、異次元の被写界深度のシネマ映像は必見だ。フィルムシミュレーションと本格的なシネマズームの組み合わせを体験してみていただきたい。

SHUREとゼンハイザーはプロ垂涎のラベリアマイクに注目

音と言えばSHUREとゼンハイザーの2社だが、目の前にブースを並べていた。注目すべきはラベリアマイクの新しい潮流だろう。

SHUREの防水タイプのラベリアマイクTwinPlex。舞台や映画の仕込みで威力を発揮する

SHUREからはIP57の防水性能を備えたラベリアマイクが展示されていた。非常にしなやかなマイクケーブルと、比較的小さな防水マイクカプセルを組み合わせたもので、映画の現場で悩まされる、人の肌に直接マイクを仕込んだときの汗によるマイクトラブルから解放されるのは、映画録音部であれば嬉しい限りだ。

先端直径わずか3mmのマイクカプセルMKE1と断線防止機能を備えた極細ケーブル(1mm)

一方のゼンハイザーもすごいマイクを出してきた。先端わずか直径3mm、特殊な断線防止機能を備えた極細1mmケーブルのラベリアマイクだ。同行したカメラマンが思わず唸ったくらい、その出来やサイズが素晴らしい。ケーブルを引っ張ったくらいでは断線しないように繊維を網状に編み込んだケーブルだそうだ。マイク先端に付属の2種類のキャップを付け替えることで、音質を変えることが可能。インタビューでは高音重視のキャップを使えば、非常に明瞭なセリフが録音可能だ。また、端子は3.5mmジャックとLEMO端子が用意されており、安価な業務用送信機でも使えるのがありがたい。

泉 悠斗

2年ぶりにリアル開催されたInterBEE2021だが、このコロナ禍で特に注目を浴びる形になった映像伝送規格が「NDI」と「SRT」である。特に今年は、「SRT(Secure Reliable Transport)」に対応した新製品が多数登場している。

その中でもPanasonicはSRTを始めとした新製品をラインナップしており、特に「KAIROSクラウドサービス」は「撮る・創る・映す」のワークフロー全体をクラウド型で提供するソリューションで、PCからクラウド上にアクセスし、スイッチングの制御や専用スマートフォンアプリを使用しての遠隔中継も気軽に可能だ。

従来のワークフローシステム全体を導入しコストをかけていた部分が、サブスクリプション形で利用でき気軽にリモートプロダクション環境を気軽に利用できる環境が、国内メーカから登場したことで普及が一段と進むのではないだろうか。

もう一つ気になったブースがMagewellで、このブースで展示していたエンコーダ「Ultra Encode Family」は、RTMPだけではなくSRTやNDI|HXにも対応した安価なエンコーダで、多拠点をつないでの映像配信ワークフローを加速させそうな一品である。

今回各ブースを巡って感じたのが、リモートプロダクションを意識した製品が多く、従来の制作スタイルから柔軟な考え方にシフトしていく必要があり、日々進化するIPの世界を牛耳ったものが今後の新しい形を確立していくのでないかと感じた。

土持幸三

2年ぶりに幕張メッセで行われたInter BEE 2021。規模は少し縮小されてはいたが、各ブースで強い熱気を感じた。普段より出展されているメーカーの方々がこちらの質問に対して熱い思いを持って対応してくださったという印象を持った。

個人的に一番気になったのはLibecの来春発売予定の三脚「HS-150」。今までミラーレス一眼クラスの小型カメラで無段階式の完全バランスの三脚はなかったからだ。カメラを好きな方向に傾けてもバランスをとってピタッと止まってくれる。一人でのオペレートではとても助かる機能でヒットするのではないだろうか。

タブレット等を使いリモートで制御できるポケットオーディオレコーダー「Tentacle Track E」も画期的な製品で是非現場で使ってみたい。

アツデンのSGM-250MもMini-XLR端子を持つ新しい製品で、BMPCCなどのカメラ所有者には喜ばれるだろう。

同時開催のデジタルコンテンツEXPOも摩訶不思議な製品、サービスもあって見どころ一杯のInter BEE 2021だった。

番組表


[Inter BEE 2021の歩き方.tvデイリーレポート] Day02