Day02:変化し続ける映像制作の”今”を感じろ![Inter BEE 2021の歩き方.tvデイリーレポート]

Inter BEE 2021 11月18日

ふるいちやすし

最初、企んでいたのは、Panasonic LUMIX BS1Hを核に、 練り歩きの中でモニターだのレコーダーだのを引っ付けて理想のシネカメラをコンポーネントしようというものだったが、まずPanasonicがPanasonic Buisinessと銘打って、業務用に特化させ、コンシューマー用のLUMIXの展示は行わず、音声レコーダーのZOOMはもはや展示自体が行われないという事がわかり、企ては見事に消えてしまった。

そりゃそうだ、この2年間、映画は自粛や中止を繰り返し、そんな中でも休まず頑張ってきたのは放送・報道の方々だ。各社そちらに向けての広報宣伝にシフトするのは、残念ながら当然だ。

そんな目で、最初は半ば諦めに似た感覚で見ていたのだが、よく見ていくと、カメラもモニターも三脚やジンバルも着実に、いや驚くほどの進化を遂げている。個人的には一生、少なくとも10年はこれでいこう!!と決めて購入したS1Hだったが、早くも心が動き出している。これはマズい。

Day02:変化し続ける映像制作の今[Inter BEE 2021の歩き方.tvデイリーレポート]
Day02:変化し続ける映像制作の今[Inter BEE 2021の歩き方.tvデイリーレポート]
Day02:変化し続ける映像制作の今[Inter BEE 2021の歩き方.tvデイリーレポート]
一つは番組内でも触れたコンポーネントという考え。だが本当に驚いたのはノーマークだったNikon Z9の進化だ。正直、マウントアダプターまで全とっかえしてなければ、すぐにも乗り換えたい欲望に駆られる。まぁ、時代を追っかけてもキリがないのは分かっているが、何とも罪な展示会だよ、Inter BEEってやつは。

江夏由洋

Inter BEEは僕らのクリエイティブの原点

DAY02となった今日、2年ぶりに幕張メッセに来ました。コロナで多くの撮影やイベントが中止となる中、ようやくこの日を迎えたんだと胸がいっぱいになります。嬉しいことは、そんなコロナを通じても、沢山の新しい機材やワークフローが会場を盛り上げていることです。最近はネット上を通じて多くの製品発表が行われるようになりましたが、実機を見て、触って、そしてメーカーの人と話すというコミュニケーションは何にも代えがたいものだと感じます。

会場の規模は見た目、いつものInter BEEの40%くらい

さて、今年のInter BEEで話題になっている新製品の一つとしてDJI Ronin 4Dがあります。最新のテクノロジーがぎっしり詰まったシネマカメラ。新しい作品演出の可能性を切り開くことになるでしょう。詳細は別途記事にて是非!

DJI Ronin 4Dは今回大注目のカメラ。これは売れますね

Sonyは待望のVENICE 2の実機を初公開しました。8Kという規格で新しいシネマの世界を描くことになります。

質実剛健。美しいフォルムのVENICE 2が登場。Sonyのカメラがハリウッドを再び熱くしてくれると思います

個人的には富士フイルムのフルサイズのシネマズームレンズ、Premistaが欲しい!!展示ではARRIやVENICEだけでなく、自社の中判一眼デジタル、GFXと組み合わせた仕様が面白いと感じました。フルサイズを超える44mm-33mmのセンサーが捉える、驚くほどノイズの少ない美しいシネマ画質に期待したいです。

Premistaは3本セットが完成し、eXtended Dataに対応。GFXとの組み合わせに、次世代を予感!

そしてコロナ禍で大きな市場拡大となった「配信業務」。多くのブースでスイッチャーやコンバーターといった機材が驚くほど沢山展示されていました。Rolandのスイッチャーは根強い人気ですね。

だれでもすぐ配信ができるV-02HD MKⅡ

また三脚も熱いです。ザハトラ―のaktivシリーズは、購入待ちなんと半年の大人気商品。さらにLibecは来年春に発売予定のHSシリーズを展示発表していました。

三脚の常識を覆す、arktivシリーズ
LibecのHSシリーズのタグラインは「Perfect Balance」期待大です

機材は僕らの想像を形に変えてくれる大切なものです。技術が進化し、今までできなかったことが出来るようになっていきます。またそういった技術は、バジェットやスケジュールという壁をどんどんとぶち壊してくれます。滞在半日でしたが、大きなエネルギーを得ることができました。そして再開したInter BEEに、僕らのクリエイティブの原点を改めて感じました!明日から、更に頑張るぞー。

System5 山本隆太

InterBEEが2年ぶりに開催!!私はPRONEWSのグループカンパニーであるシステムファイブからのゲスト参戦!ということで、自社のブースをはじめ3ブースを回った。本日の練り歩きをここに書き留めたい。

Ronin 4Dの圧倒的注目度

システムファイブの社員という立場で見て、大変ありがたい限りであるが、システムファイブブースは連日大盛況をいただいている。私も番組内でまずはRonin 4Dから紹介をしたが、参加者の方が次々と集まって説明を聞いてくれており、改めて注目度の高さを思い知った。

実際に触ってみると、「DJI渾身のシネマカメラ」と彼らが絶対的な自信を持って世に送り出したことも頷ける。ジンバルの性能、扱いやすいインターフェース、圧倒的な映像電送機よりに加え、今回の番組内ではそこまで紹介することは叶わなかったが、フルサイズセンサーが映し出す映像も非常に綺麗で、正直なところ大きな欠点はほとんどないように思う。

会期後は、発売に先駆けてシステムファイブ半蔵門ショールームで実機を確認できるので是非体感して欲しい。

小型ドローンの常識を覆すMavic 3

ほぼ同時期に発表されたDJIの代名詞「Mavic 3」もやはり見逃せない。今回はブースの都合上、飛行デモは行っていなかったが、Mavic 3はMavic 2 ProとMavic 2 Zoomを組み合わせ、さらにグレードアップさせたような製品となっている。iPhoneなどでお馴染みのデュアルカメラをドローンにも搭載し、その片方はHasselblad製のカメラを採用するなど、画質については一切の妥協を感じられない。

さらに画質だけでなく、飛行時間も大きく向上し、プロペラも独自の技術で2つの素材を組み合わせてフライト時の騒音を小さくするなど、彼らがフラッグシップ機と言うだけのことはある。細かい部分はさておき、これ以上どうグレードアップするのか?というほどよくまとまっているので是非注目していただきたい。

YoloBox Proは小規模配信のニュースタンダードになる

システムファイブブースといえば「YoloBox Pro」についても外せない。改めて振り返ると、4ch(1入力はUSB Webカメラ使用時)のスイッチャーでもあり、レコーダーでもあり、さらにこれ1台で驚くほど簡単にYouTube Liveなどのストリーミング配信を行うことのできるハードウェアデバイスだ。会場ではまさにブース内の映像をストリーミング配信をしていたが、この設定が本当に簡単で、一度体感すれば忘れることはないだろうというほど。

さらにアンドロイドOSをベースにしていながら、いわゆるモバイル配信におけるYouTube側の制約となる登録者数1,000人の壁もない。スマートフォンのテザリングでも配信が行えるので、今後小規模配信のスタンダードとなることに期待せざるを得ない。

より簡単に高速充電ができる新しいDUO-Cシリーズがアツい!

IDXブースに出展されていたUSB-PD対応のDUO-CPバッテリー、これまでの純正チャージャー VL-2000Sよりも圧倒的小型かつ安価で、充電時間はさらに短縮されており、良いことづくめ。コンセントは2口必要だが、この充電器を2本用意すれば十分に代わりになる。出張ロケなどで役に立ちそうだ。

さらに使いやすくなったインスタントリプレイヤーに再注目!

Rolandブースでは「P-20HD」に再注目したい。すでに発売されている製品ではあったが、ver1.2ファームウェアの登場により、より使いやすくなった。筆者が個人的に推したいポイントはmp4ファイルのエクスポート!

これは発売以来、ユーザーから実装を望まれていた機能だったため、既存ユーザーはもちろん、これから導入を検討しているユーザーにとっても喜ばれるものになっていると思う。昨日改善についてはシャトルの挙動などの改善についてもありがたい。番組内では時間の関係上、V-60HDの新ファームウェアに触れられなかったのが残念だが、こちらもあわせて注目してほしい。

終わりに

各所の感染対策や入場制限など、例年とは違う部分もあり、今年は規模こそ小さくなっているものの、魅力的な製品は各ブースに点在しており、これぞInter BEEだ!という空気を感じることができたと思う。来年以降はより出展者が増え、例年通りの盛り上がりが戻ってくることを願うばかり。気が早いとも思うが、いまから来年の開催が楽しみだ。

田口真行

映像音響業界をリードする放送機器の祭典「Inter BEE」を、普段動画制作やライブ配信を手がけている「ウェブディレクターがリポート!」ということで、映像のプロの方々とは異なる視点から気になる製品をチェックしました。

最初に訪れたブースは、テイラーイノベーションズの「Blastreams OBS(ブラストリームス オービーエス)」。Linuxベースで稼働する本機は、本体背面にHDMIやSDI入力端子を備えた、まさに「OBS Studio専用機」。

NDI機器やUSBカメラなどにも対応し「これ一台で様々な画づくりを行い、安定した4K配信を実現」する製品。本体上のボタンに各機能をアサインすることで、シーン切替や配信&録画のスタート/ストップ操作などもワンボタンで行えます。

そして、JVCケンウッドの「4K/HD PTZリモートカメラ」。個人的に、ネットワーク制御のリモートカメラは「監視カメラ的な印象」が先入観としてあったのですが…いやいや、画質の良さと解像感に感動しました。また、細かなカスタマイズが可能なリモートコントローラーによる操作性も抜群でした。

話題のNDI関連製品を数多くラインナップする、日本デジタル・プロセシング・システムズの「Magewell製品」。NDI HXに対応した新製品のエンコーダは、低価格&超コンパクトにも関わらず「高画質&低遅延」な点がとくに印象的でした。

ネットワーク機器をルーティングする上で重要なポイントとなる「スイッチングハブ」を提供するネットギアジャパンの「M4250スイッチシリーズ」は、最新のNDI5に対応。マルチキャストプロトコルIGMP Plusがプリセットされているため、必要なポート数や速度などを選んで各デバイスを接続すれば、簡単にIP映像伝送のためのネットワーク環境を構築できます。

そして、私自身も長年製品を愛用してきたローランドのブースでは、高コントラストで豊かな映像表現を可能にするHDR(ハイ・ダイナミックレンジ)に対応した4Kビデオスイッチャー「V-600UHD」のデモが行われていました。

中でも、特に魅力的なのが「ROI(Region of Interest)機能」。例えば、全景のカメラ映像から出演者それぞれのバストアップを切り出してセットすることで、1台のカメラソースから複数のショットを抽出することが可能になります。

今回、Inter BEEに参加することで、普段WebサイトやSNSを追っているだけでは出会えない、ユニークな製品やサービスに数多く触れることができました。ここで得た刺激は、これからの動画制作やライブ配信ワークにおける「可能性との出会い」でもあり、今後のコンテンツづくりの発想と表現の幅を大きく拡張するキッカケになると実感しています。引き続き、魅力的なコンテンツ作りに励んでいこうと思います。

石川幸宏

久しぶりに出会えた歓び謳歌する人々の、その笑顔に、感動すら憶えた開催だった。開催にはかなり否定的な意見は多かったのは事実。でも実際は会場は人で溢れかえり、やはり皆、開催して欲しかった、会いたかったという思いが所々に溢れていた。

オンライン参加企業の方も実際には会場を訪れていて、この様子を目の当たりに来年はぜひリアル参加したいという。2年というブランクは様々な気づきと交歓をもたらしたのは言うまでもない。

内容自体は、やはりリモートソリューションが溢れていたが、それはもう、どこか時代錯誤的なネガティブな印象も受けた。果たして、これから人はまたオンラインコミュニケーションを続けていくのか?いやそうではないのではないか?それがコロナという未曾有の困難からの本当の脱却ではなく、今後はよりリアルで現実的な「感覚交歓」の方が、より業界を盛り立てる事なのではないか?そして人々をより幸せな方向に導くのではないか?という強い確信が、会場中に満ち溢れていたから。

番組表


Day01 [Inter BEE 2021の歩き方.tvデイリーレポート]