Avid NEXIS | EDGE(以下、NEXIS | EDGE)が10月26日(アメリカ東部時間)に発売開始となった。
既存のNEXIS共有サーバーに、リモート作業をコンセプトにしたワークフローソリューションを追加する新製品だ。前編ではNEXIS | EDGEの特徴的な機能を紹介する。
リモート環境からNEXISにアクセス
既存のNEXIS共有サーバーでは、NEXISにプロジェクトやメディアを保存し、オンプレミスで接続しているMedia Composerでそれらのプロジェクトやメディアを共有して編集作業を行うが、今回発売されたNEXIS | EDGEでは、自宅やロケ先などのリモート環境にいるエディターに対してNEXISへのアクセスを可能にし、エディターはリモート環境にあるMedia Composerを使ってNEXIS内にあるメディアを編集可能となる。
リモート環境での編集を可能にする、Media Composer | Distributed Processingによるプロキシワークフロー
リモート環境からインターネット経由でNEXIS内のメディアにアクセスしようとすると高画質メディアの場合は再生が難しくなる場合もある。そこでNEXIS内に小さなサイズのプロキシメディアを生成して、リモートからアクセスしているMedia Composerはプロキシメディアを使って編集を行う。このプロキシメディア生成を担うのがMedia Composer | Distributed Processingだ。Media Composer | Distributed Processingは、NEXISに接続されたDP Workerアプリケーションがバックグラウンドでプロキシ生成を行う。
プロキシメディアとハイレゾ(本来の画質の)メディアはMedia Composer上で瞬時にリンクを切り替えでき、リモート環境のエディターはプロキシメディアで編集し、オンプレミスのエディターはそのシーケンスをハイレゾ素材で確認する、といったことが簡単に行え、1つのシーケンス内でハイレゾとプロキシが混在した編集も可能だ。ちなみに生成されるプロキシは元メディアに関係なく、1920×1080、8bit、3Mbpsとなる。
また、ネット環境が良くない場合は、リモート側にNEXIS内のプロキシメディアやビンをコピーして、ネットを遮断した状態で手元のMedia Composerで作業を進め、その後ネットに繋いで作ったデータなどをNEXISに送ることもできる。
作品のチェックや簡易編集も可能なWebブラウザ
NEXIS | EDGEには、Google ChromeをベースにしたWebブラウザも用意されている。リモート環境からWebブラウザを使ってNEXISにアクセスして、メディアや編集中の作品の確認やコメントの追加、そして簡易編集などが行える。普段Media Composerを使わないディレクターやプロデューサーなどがWebブラウザを使って作品のチェックや仮編を行い、それをオンプレミスのエディターが確認しつつ作業を進めるといったことが可能だ。
クライアントの機能制限を設定できるMedia Composer | Enterprise
リモート環境を含むNEXIS | EDGEに接続しているクライアントに対して、様々な機能制限を設定することができるのがMedia Composer | Enterpriseだ。例えば素材をインポートする際に指定できるコーデックを限定したり、シーケンスは開けるが編集は不可にしたり、エクスポートそのものを不可にするなど、それぞれの仕事上の役割などに応じて機能を設定(制限)し、より安全な環境を構築できる。
この機能と上記のプロキシワークフローを使うには、クライアントが通常のMedia ComposerではなくMedia Composer | Enterpriseに対応したバージョンである必要がある。ちなみに同じNEXISにアクセスするがEnterprise機能やプロキシワークフローを必要としない端末については通常のMedia Composerで問題ないので、リモート接続する端末と、それらと協業するオンプレミスの端末分のみMedia Composer | Enterpriseバージョンを使用すれば良い。
紹介してきた機能についての各種設定をするために必要なのがEDGE serverだ。EDGE server 1台で、リモートアクセスの設定、Media Composer | Distributed Processingの設定、Media Composer | Enterpriseの設定などを行う。既存のNEXISに追加する形となる。
駆け足ではあるが、NEXIS | EDGEの概要を紹介した。後編では、実際にリモート環境からアクセスした場合の画面やプロキシを使った編集など、実際に順を追って紹介する。