クラウドでの映像制作をすること。Ci Media Cloudを試してみた

YouTubeやTikTokをはじめとするクリエイター支援やコンテンツ制作を行なっている株式会社BitStarの古屋宏和氏に、ソニーが提供しているクラウドメディアストレージ「Ci Media Cloud」のトライアルとして実際の映像制作で活用した印象やその使用感について伺った。

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株式会社BitStar コンテンツプロデュース部プロデュース1 プロデューサー/リーダー古屋宏和氏

――BitStar社の事業内容について教えてください

古屋氏:

主な事業にはクリエイター支援とコンテンツ制作の2つがあります。クリエイター支援は、各種ソーシャルメディアで活動するインフルエンサー、クリエイターの支援です。商材のPRをしたい企業とインフルエンサー、クリエイターを繋ぎ、インフルエンサーマーケティング支援を行なっています。
コンテンツ制作は、テレビ番組、CM、YouTube・TikTokなどの動画をはじめとしたデジタルコンテンツの制作業務です。各種ソーシャルメディアでの投稿コンテンツ、動画プラットフォームでのコンテンツも年間4000本以上制作しています。

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BitStar社内に設けられた配信用スタジオの1つ。用途に応じていくつかのスタジオが用意されている

――古屋さんはどのような業務に携わっているのでしょうか

古屋氏:

私はコンテンツプロデューサーとしてマーケティングを担当しています。自分たちが作り出したものを、見ている方々に向けてどのように届けるのが良いのかを考えてそれを最適化し、その結果を分析し、改善する。いわゆるPDCAを回す業務になります。
制作物がどのように波及していくのか、特にネットは明確に可視化できるので、常に改善を繰り返しています。

Ci Media Cloudとは?

Ci Media Cloudは、ソニーが提供するクラウドメディアストレージ。元々ハリウッドの映画制作などで使用されていたものがソリューション化された歴史を持ち、使いやすいUIで、メディア共有や共同作業による制作ワークフローを実現している。

簡単にその特長を挙げると、カメラで撮影しながら素材のアップロードが可能で、高速アップロード&ダウンロードで、伝送からアーカイブまでをワンストップで実現する。統合されたメディア管理機能に加えて、幅広いコーデックに対応している点も見逃せない。

メディア管理機能だけでなく、複数の異なる場所で作業する制作スタッフ間の共同作業を可能にする機能も搭載。特に、素材共有のための「メディアボックス」や試写・レビューで便利な「ビデオレビュー」によって円滑なコミュニケーションと、チーム作業の効率向上を可能にする。

Ci Media Cloudと出会うきっかけ

――Ci Media Cloudを使うきっかけは何だったのでしょうか。

古屋氏:

クリエイター、編集者、外部のディレクター、そしてクライアントとなる企業様など、多くの方々と動画、ファイルのやりとりを日常的に行なっています。今までもクラウドサービスはいくつか使ってきましたが、それぞれ一長一短な印象で、もっと良いものはないかと探していたところ、ソニーが提供するクラウドメディアストレージがあると聞いて、試してみる機会を得ました。

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――今回はCi Media Cloudをどのような場面で使ったのでしょうか

古屋氏:

スポーツナビが提供しているYouTubeチャンネルの1つであるスポナビゴルフの動画制作を月に30本ほど行なっており、今回はこの動画制作の過程での弊社内でのやりとりの部分で、編集された動画に対してコメント追加などのフィードバックを5人のスタッフで行いました。

10を超える使いたいポイント

――Ci Media Cloudで気に入った機能を教えてください

直感的で解りやすいUI

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古屋氏:

まず作業の準備として、作業エリアとなる「ワークスペース」を作り、その中にディレクター、編集者など関係者用のフォルダーを設置します。例えばディレクターが編集したファイルを専用のフォルダーにアップロードして、それをCi Media Cloud上で再生して関係者がフィードバックをしていきます。
UIも直感的で、参加したスタッフは皆ストレスなく作業できたとのことでした。基本操作において学習コストを抑えられるはとても重要だと思います。

プレイヤー画面でのフレーム送り

古屋氏:

プレイヤー画面でコメントを入力する際、フレーム単位で送れるのが良いですね。細かな動きのあるモーショングラフィックや、トランジションのタイミングを数フレーム遅らせてほしいといった際に厳密にフレームを指定してコメントができます。
弊社にはアニメチームもあるので、フレーム単位で動かせるのは非常に良いのではと思います。

3秒ボタン

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古屋氏:

また、3秒進む、戻るボタンがありますが、この3秒という長さは絶妙だと思います。弊社ではいわゆるショート動画も多く作っていて、多くは1分以内の作品です。他社ソリューションでよくある15秒などで送られてしまうと起承転結の次のパートにいってしまって事実上あまり使えません。

メディア分析画面

古屋氏:

動画再生時に波形モニター、オーディオレベルが表示できるのは、さまざまな動画をプレビューして確認をする際に安心感があります。

フレームの書き出し

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古屋氏:

前述したように、PDCAなどのレポート作業で、作品内で使用しているフレームの画像を使う場面が多いです。また、動画プラットフォーム用の動画ではサムネイルも必要になるので、最適な解像度で、特定のフレームを書きだせるのはとても便利です。

他の動画へすばやくジャンプ

同じフォルダーに入っているファイルについては、「次へ」ボタンですぐにジャンプすることができます。フィードバックを踏まえた新しいバージョンの動画に切り替える際など、手間なく移動できます。

さまざまなデータを確認できる概要欄

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古屋氏:

プレビュー中に、コーデック、カラースペース、ビットレートなど、その動画のさまざまなメタデータが確認できます。プレビューは動画の内容だけでなく、規格に合っているかの確認でもあるので、このメタデータの一覧表示は非常に助かります。参加したスタッフの評判も上々でした。

もう1つのプレビュー環境、ビデオレビュー

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古屋氏:

ビデオレビューでは、ペンや図形で書き込みすることができるので「この部分の色を」などビジュアル的にわかりやすくフィードバックすることができます。また、いわゆる「いいね」ボタンもついています。例えば動画を担当したディレクターに対して、コメント欄でわざわざ褒める文章を入力するよりもカジュアルにこちらの思いを伝えることができるので良いのではと思います。

縦長動画のサムネイル

古屋氏:

最近はスマートフォン用の縦長動画の需要も増えてきているのですが、動画のサムネイルが横長のままになってしまう場合も多いです。Ci Media Cloudではサムネイルを動画の縦横比に合わせて表示できるので便利ですね。

外部スタッフとのコミュニケーションも円滑に

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古屋氏:

外部スタッフにファイルをアップロードしてもらう際には、「ファイルリクエスト」の機能が便利です。先方に専用のアップロードページのリンクを送ることで、簡単にファイルを受け渡しできます。
また、外部スタッフに動画のフィードバックをしてもらう際には、メディアボックスの機能で特定のファイル、フォルダーを共有して確認してもらうことができます。どちらも権限などさまざまなオプションが用意されていますし、先方がアクションをした際にメール通知されるので、無駄に待つ必要はありません。

さまざまなコーデックに対応

古屋氏:

Ci Media Cloudには、さまざまなコーデックが用意されているため、使用PCにそのコーデックがインストールされていない場合でも再生することができます。
今回、素材の中にOBSで作られたmkvファイルがあったのですが、問題なく再生することができました。特定のソフトで作られるファイルも含め幅広く対応しているのでとても助かります。また、必要に応じて汎用的なコーデックに変換することもできます。

――Ci Media Cloud全体についての印象はいかがでしょうか

古屋氏:

上述のように機能が豊富で、メディアに特化したクラウドサービスとして気が利いているなと感じました。また、サービスを展開しているのがソニーということで、一次対応を日本の、それも映像業界で長年信頼を築いている会社が行なっているというのはとても安心感があります。

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――Ci Media Cloudへのリクエストはあるでしょうか

古屋氏:

さまざまなシチュエーションを想定している故ですが、機能が広すぎ、深すぎと感じる場合もあると思います。カスタマーサクセスという意味で、ソニーから運用についての情報発信をしてもらえると助かるのではと思います。
また、近年はスマートフォンでの視聴を想定しているプロジェクトも多く、特に縦長動画はスマートフォンでのプレビューが重要です。今後のスマートフォンでの動画視聴の増加も考慮すると、Ci Media Cloudの作業をできるだけスマートフォン上で行えると効率が良いシチュエーションも多いと思います。
さらに、ファイル管理という視点で言うと、ローカルPCのフォルダーと同期できるデスクトップアプリがあると非常に助かりますね。この辺りが充実すると、世界的に見ても他の追従を許さないサービスになるのではと期待しています。