2026年5月20日、神田明神ホールにてGoProの最新作「GoPro MISSION 1」シリーズの発表会が開催された。会場には、これまでのアクションカメラの枠組みを塗り替えるような期待感が漂っていた。このサイズでシネマ品質を掲げるのは大胆な試みだが、実機を前にすると、その狙いがはっきりと伝わってくる。手のひらに収まる筐体に凝縮された機能は、今後の映像制作において新たな選択肢となる可能性を感じさせた。

登壇したのは、グローバルマーケティングを牽引するリック・ラッカリー氏、日本のマーケットを熟知するジャスティン・コーブ氏、そして映像監督の普光江新氏の3名である。製品プレゼンテーションでは、MISSION 1がどのような思想で設計されたのかが語られ、続くトークセッションでは現場のプロ視点によるリアルな活用法が示された。

この小さな筐体に詰め込まれた技術が、今後の映像制作にどのような変化をもたらすのか。この先の展開から目が離せないと感じさせる、内容の濃い発表会だった。

和太鼓、空手、東京の夜景――激しい動きと暗所を攻略する、1インチセンサーのポテンシャル

発表会の幕開けとともに、MISSION 1で撮影された日本オリジナルのオープニングムービーが公開された。映像監督の普光江新氏がディレクションと撮影を手がけ、空手や和太鼓、ファイヤーダンスといった和の伝統的なアクションと、東京の夜の街並みを鮮明に描き出している。ここで注目すべきは、搭載された1インチセンサーが発揮する低照度環境での描写力だ。暗いシーンでもノイズを抑え、動きの激しいパフォーマンスを緻密に捉える性能を印象づけていた。

この映像はGoProのグローバルローンチビデオに先駆けて披露されたもので、参加者に向けて先行公開された。これまでのアクションカメラの基準では難しかった夜間撮影も、このセンサーサイズであれば表現の幅が大きく広がる。単なる記録用ではなく、シネマカメラ的な質感を持たせた映像表現も狙える。和の静と動が入り混じる映像は、新シリーズが持つポテンシャルの高さを視覚的に示すものとなった。

映像クリエイターをターゲットに見据えた「高画質志向」へのシフト

ラッカリー氏は、MISSION 1がGoProの原点である「自分の情熱を追いかける瞬間を、最良の形で残したい」という想いを、新たな段階へ押し上げる製品だと強調した。これまで同社が冒険者やアスリート、クリエイターと共に歩む中で得た知見や情熱が、この一台に結集されている。これまでの歩みのすべてを注ぎ込んだ結果が、このカメラだというわけだ。

同社はMISSION 1を、これまでの歴史において最も意欲的なシリーズと位置付けている。単にスペックを向上させるだけでなく、撮影者の感情までをも記録するような道具を目指したことがうかがえる。長年にわたって蓄積された現場のフィードバックが、製品の設計思想に反映されている。GoProが次なるステージを見据えていることが明確に伝わってくるプレゼンテーションだった。

まず、MISSION 1は従来のアクションカメラよりも高画質志向を強めたモデルとして位置付けられていると紹介された。映像制作者向けの撮影機能を多数搭載している点が特徴で、映像表現にこだわるクリエイター層を意識した仕様となっている。

内部には刷新されたGP3プロセッサーと、大型の1インチセンサーを搭載する。センサーはネイティブで1.6µm、クアッドベイヤーモードでは3.2µm相当の融合ピクセルとして動作し、低照度環境での撮影性能向上を図っている。

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8Kオープンゲートビデオ撮影や、50メガピクセルの静止画撮影に対応。高解像度を活かした撮影用途を想定した仕様となっている。

描写性能では、ダイナミックレンジ向上を目的とした「同時デュアルゲイン読み出しHDR」を搭載。シャドウとハイライトを同時処理することで、1回の露光で広いレンジを確保する。従来のマルチフレームHDR方式と比較して、ゴーストやノイズを抑えつつ、消費電力低減も図ったとしている。

8K30fpsおよび4K120fps撮影に対応し、4:3のオープンゲートビデオ撮影も可能。16:9や9:16など複数フォーマットへの切り出しを想定した設計となっており、撮影後のリフレーム耐性を高めている。

さらに、8K映像から44メガピクセル相当の静止画切り出しにも対応する。撮影スタイルによっては、静止画モードに切り替えず、動画から必要なカットを切り出す運用も考えられる。

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GP3プロセッサーは電力効率も改善されており、2150mAhのEnduro 2バッテリーと組み合わせることで、駆動時間や熱対策性能を向上させたという。再設計された熱管理システムにより、GoProによると4K30fpsで最大約3時間、1080pでは最大5時間以上の連続撮影に対応する。MISSION 1 PROは高速充電にも対応しており、撮影現場でのダウンタイム短縮も図られている。

撮影機能では、4K240fpsや8K60fpsに加え、960fpsによるスローモーション撮影にも対応する。

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AIベースの「インテリジェント・キャプチャ・モード」は、照明環境や被写体状況に応じて設定を自動調整する機能である。サブジェクトトラッキング機能では、被写体を自動的に中央付近へ維持することで、構図調整の負担軽減を図っている。

また、水中での視認性向上を目的としたダイブモードや、低照度時のノイズ低減モードも搭載する。

編集用途向け機能も充実している。10bitカラー収録に対応し、GP-Log2および付属LUTを活用することで、カラーグレーディングの自由度を高めている。

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タイムコード同期機能により、複数台のMISSION 1を同期したマルチカメラ編集にも対応。Final Cut Pro、Adobe Premiere Pro、DaVinci Resolveなどでの編集ワークフローを想定している。

また、「ライブ設定」機能では、ホワイトバランスや露出値などをリアルタイム表示可能。HDRフォーマットのHLGにも対応する。音声収録機能では、32bit float録音をサポート。背面、前面を含む4基のマイクを搭載し、風切り音低減も図られている。

Bluetooth 5.3接続をサポートし、ワイヤレスマイクや音声コマンド操作にも対応。USB-C接続の外部マイクや3.5mmアダプターも利用可能としている。

ハードウェア面では、MISSION 1 PROがハウジングなしで水深20m防水に対応。撥水レンズカバーやレンズフードも備える。大型ボタンを採用し、グローブ装着時の操作性向上も図った。

背面モニターは2.59インチへ大型化。前面には1.4インチモニターも搭載し、セルフ撮影時の確認性向上を図っている。

ラインナップは、エントリーモデルの「MISSION 1」と、高フレームレート撮影などに対応した上位モデル「MISSION 1 PRO」を展開。PROモデルでは用途別のバンドル構成も用意される。

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また、MISSION 1 PROは異なるエディションでのバンドル販売を展開する。ラインナップとして「Grip Edition」「Creator Edition」、そして「Ultimate Creator Edition」の3種類を用意している。

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さらに今後は、ブランド初のレンズ交換式システム「MISSION 1 PRO ILS」も投入予定である。PROモデルをベースにしつつ、交換レンズ対応による表現領域の拡張を狙う。発売は2026年9月を予定している。

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撮影現場のリアル——普光江 新氏・ジャスティン・コーブ氏とのトークセッション

わずか1週間という短期間で撮影から編集までを完遂した普光江氏の話が興味深い。MISSION 1を実際の現場で徹底的に使用したからこそ語れる、リアルな体験や発見が披露された。プロの現場でこのスピード感に対応できるのは、機材の信頼性が高い証拠だ。現場での使い勝手の良さが、制作効率を大きく引き上げることを示している。

ジャスティン・コーブ氏は、日本のクリエイターコミュニティに対する期待を語った。アジア全域を対象としたコンテスト「GoPro ABC」には数万件もの応募が集まったが、日本のクリエイターによる映像は際立った存在感を示したと明かしている。この実績が、日本市場への強い手応えにつながっていると説明する。日本のユーザーが持つ表現力の高さが、次世代の映像文化を牽引していく力になるだろう。

製品展示エリア・タッチ&トライ——MISSION 1シリーズを体感

発表会の後半は、ホワイエにある製品展示エリアとタッチ&トライコーナーへ会場が移った。MISSION 1、MISSION 1 PRO、MISSION 1 PRO ILSのほか、各種エディションが勢揃いし、シリーズの全ラインナップを実働機で確認できる構成となっていた。これだけの種類を一度に見比べられるのは興味深い。それぞれの機材が持つ質感や重量バランスを直接確かめることで、自分の撮影スタイルにどれが馴染むかをリアルに検討できる構成だ。

各ブースにはGoProチームのスタッフが常駐し、技術的な質問にも細かく応じていた。その場でのやり取りは熱を帯び、予定されていた時間を超えても活発な交流が続いていた。単なる展示にとどまらず、実際の運用を想定した具体的な対話が行われていた。新製品に対する関心の高さが、会場のあちこちで交わされる熱心な議論からも伝わってきた。ユーザーの要望に真摯に向き合う姿勢が印象的なコーナーだった。

MISSION 1

MISSION 1シリーズには、「MISSION 1」と「MISSION 1 PRO」が用意される。さらにMISSION 1 PROでは、用途に合わせた複数のエディションが展開される。その一つが「Grip Edition」だ。このパッケージには、フラッグシップモデルをより機動性の高い撮影スタイルへ適応させる多機能グリップが同梱されている。

写真はMISSION 1モデル

MISSION 1 PRO Creator Edition

MISSION 1 PRO Creator Editionは、フラッグシップ機に新設計の多機能グリップを組み合わせたものだ。ランアンドガンスタイルでの撮影を想定しており、カメラ本体をより安定して運用できるポイントアンドシュートスタイルへと拡張する。

このグリップは2-in-1の利便性を備えている。軽量で扱いやすい設計が移動時の片手撮影をサポートする一方で、金属製ケージとしても機能し、保護性能と垂直マウントへの対応を両立する。コールドシューマウントや1/4-20ネジ穴、マグネットラッチマウント、マウントフィンガーなど、アクセサリー拡張を想定した仕様も盛り込まれている。一体型の構成により、撮影スタイルに応じた拡張を行いやすいパッケージとなっている。

MISSION 1 PRO Ultimate Creator Edition

MISSION 1 PRO Ultimate Creator Editionは、フラッグシップカメラを核に、撮影に必要な周辺機器をまとめた構成だ。目玉となるのは、低照度環境での手ぶれ補正とAI駆動の被写体追跡を組み合わせた「Fluid Pro AIジンバル」である。暗所や動きのあるシーンでの撮影を想定したアクセサリーといえる。

音響面では、プロ仕様のオーディオ環境を構築する「Wireless Mic Complete Kit」が用意されている。さらに、持ち運びに適した小型照明「Light Mod 2」も同梱される。システムの中心的な役割を担うのが、新しい「MISSION 1 Series Media Mod」だ。これを装着することでI/Oポートが拡張され、外部ディスプレイやマイク、ヘッドフォン、追加バッテリーなどを組み込めるようになる。撮影、音声、照明、拡張I/Oをまとめたパッケージとして、現場での柔軟性を高める構成だ。

MISSION 1 PRO ILS

MISSION 1 PRO ILSは、MISSION 1 PROと同様の50MP 1インチセンサーとGP3プロセッサーを搭載している。最大の特徴は、ミラーレス形式を採用し、交換レンズに対応した点にある。交換可能なレンズマウントを備えており、マイクロフォーサーズ(MFT)規格のレンズを使用できる。さらにアダプターを介することで、市場に流通する各種レンズを小型のカメラ本体に装着できる点も特徴だ。この拡張性により、従来のアクションカメラとは異なる撮影用途への展開が可能になる。

また、対応する単焦点レンズなどを装着した場合でも、カメラ内部でHyperSmooth動画手ぶれ補正を利用できるとしている。GoProらしい耐久性や耐候性を備えながら、交換レンズによる画角選択の自由度を加えたモデルといえる。望遠、ズーム、マクロなど、レンズを付け替えることで表現の幅を広げられる点は、MISSION 1 PRO ILSならではの特徴だ。

マイクロフォーサーズマウントを搭載

今回のGoPro新シリーズの最大のトピックは、このレンズ交換式システムの導入といっていいだろう。ターゲットはプロのシネマ関係者から、これから映像制作を始める層まで幅広く想定されている。このコンパクトなボディにマイクロフォーサーズのレンズを装着できる点は、非常に大きな意味を持つ。税込10数万円という価格帯でありながら、一般的なミラーレス機とは異なる堅牢性を備えている点も特徴だ。

GoPro側は自社でレンズを作るのではなく、ユーザーがすでに所有している高性能なレンズを活用してほしいという方針を掲げている。アダプターを介せば、キヤノンやシグマといったメーカーのレンズも使用可能となる。既存の豊富なレンズ資産をそのままこのサイズで活かせるメリットは大きい。

具体的な活用シーンとしては、車内などの狭い空間での撮影が挙げられる。これまでの広角一辺倒な見せ方だけでなく、被写体の顔や手元をアップで捉えるといった柔軟な表現が可能だ。さらに、水濡れなどの過酷な環境下にも耐えうる設計となっており、実戦での信頼性は高い。アクションカメラの機動力とレンズ交換による表現力を両立させた、実用性の高いツールへと進化したといえる。

こちらはPRO ILSとLAOWAのレンズを組み合わせた例である
MISSION 1 PROのデモムービーで使用されたレンズの例として、「150–600mm F5–6.3 DG OS HSM Contemporary」のニコンFマウント版が紹介された。同レンズにSIGMAのテレコンバーター「TC-2001」を装着し、さらにK&F Conceptのマウントアダプターを介してマイクロフォーサーズマウントへ変換し、MISSION 1 PRO ILSと組み合わせて使用したという