©Freeride World Tour

Blackmagic Designの発表によると、「Swatch FreeRide World Tour by The North Face」(以下FreeRide)のライブストリーミングに、Blackmagic DesignのTeranex 2D ProcessorやATEM 2 M/E Production Switcherといった放送インフラが使用されているという。このツアーは世界トップクラスのスキーヤーおよびスノーボーダーによる競技会で、ヨーロッパや北米の山脈を舞台に選手たちが数々の技を披露した。

使用したプロダクションユニットは、必要なインフラがすべて入っており、FreeRideの試合会場となる山頂に設置された。合計3トンにも及ぶ放送用機材がヘリコプターで輸送され、14人の制作スタッフによって組み立てられた。最大時速100kmにも及ぶ強風と寒さから機材を守るため、作業はすべて暖房つきのテント内で行われたという。6式のATEM Camera Converterと3km以上の光ファイバーケーブルが使用され、それらと共に6台のカメラがフィニッシュライン、審査員席およびプレゼンター席に設置。さらに、ワイヤレスカメラはスタートゲートとヘリコプターに設置され、ワイドショットを撮影するのに使用された。光ファイバーの信号は、2台のATEM Studio ConverterでSDIに変換され、Smart Videohubルーターを経由してATEM 2 M/E Production Switcherに送られた。

さらに、スローモーションのインスタントリプレイ用システムからのフィードと複数のラップトップコンピューターからのグラフィックス、審査員のスコア、ランキング表なども、ATEMスイッチャーに送られた。ATEM 2 M/E Production SwitcherのSuperSourceマルチレイヤーは、競技中の選手のマルチカメラ・ビューやピクチャー・イン・ピクチャーを作るのに活用された。一方、SmartView HDモニターおよびUltrascopeは、各ソースからのビデオ信号のクオリティチェックに使用された。

140328_bmd2.jpg

©Freeride World Tour

プログラム出力およびスコアやグラフィックを除いたクリーンフィードは1080i50で出力され、ルーターを経由してオーディオつきで3台のBlackmagicのTeranex 2D Processorに送られた。そのうち1台のTeranexがクリーン・オーディオ(アンビエントのみ)およびダーティ・オーディオ(プレゼンターやメディアの音声が入ったもの)の両方をプログラム出力にエンベッドし、720p50にダウンコンバートしてライブストリーミング用にエンコードした。そのプログラム出力は、衛星を経由してRed Bull TV、dailymotion、FreeRideオンラインプレーヤーに送信された。

残り2台のTeranex 2D processorで、クリーンとダーティ・オーディオの2バージョンのクリーンフィードが生成された。これらはハイライトシーンを編集するための2つの編集ステーションに設置された、2式のHyperDeck Studio Proレコーダーに送られた。FreeRide Europe and Switch Productionsのテクニカルマネージャーを努めるスティーブ・モラレス氏は次のようにコメントしている。

モラレス氏:オーディオをTeranex 2Dでエンベッドでき、フィードに一貫性を持たせられたことは重要です。これによってプログラム出力とクリーンフィードをずっとスムーズに管理できたんです。また、ライブで配信したり、後から編集して配信したり、いろいろなフォーマットにも対応できます。

以前は、機材をそれぞれの現場で機材をレンタルしなければなりませんでした。これはコストが高いだけでなく、ワークフローもその度に変わってしまい、この規模のプロダクションに必要なレベルの一貫性がとれず不便です。極寒の中でセットアップしながら、機材がうまく動くかどうか心配したくはありません。Blackmagic Designの機材のおかげで、天候を選ばず信頼できるインフラが構築できました。