Blackmagic Designの発表によると、オーストラリア人映像作家のニック・アンドリュー氏が、数々の賞を受賞したドキュメンタリー「End Child Sacrifice」をBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kを使用してBlackmagic RAWで撮影したという。オーディオおよびビデオの編集、カラーコレクション、VFXなどのポストプロダクションは、DaVinci Resolve Studioを使用して、Shot Imageryの制作スタジオがある、オーストラリアのサンシャインコーストで行われた。

デジタル制作スタジオであるShot Imageryは、様々な映画、ライブ配信、企業ビデオなどのサービスを提供している。同社は、多数の勲章を授与された特殊部隊の隊員であるニック・アンドリュー氏により創立された。同氏は任務で世界各地を飛び回る過程で、この世に存在する善と悪の両方を見てきたと語る。

そういった経験が、映像や写真の形で人々や場所を記録する道へ進むことに同氏を導いたという。同社では、多数の受賞歴を誇る映像の制作や、企業ビデオ、ライブ配信サービスなどを手がけてきており、ワークフローには、Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K、様々なATEMプロダクションスイッチャー、Blackmagic Web Presenter、DaVinci Resolve Studioポストプロダクション・ソフトウェアが含まれる。

同社が制作した作品の中で、最近、賞を受賞したドキュメンタリーが「End Child Sacrifice」だ。同作は、中央アフリカにおける子供のいけにえの風習についてリポートする作品で、ウガンダの小規模チャリティー団体であるKyampisi Childcare Ministries(KCM)が、ウガンダでの子供のいけにえと人身売買の廃絶を目指して奮闘する姿を追う。KCMは、弱い立場にある子供たちを身体的、感情的、精神的に支え、有意義で幸せな人生を満喫できるようにすることを目的としている。

アンドリュー氏:Shot Imageryは、伝えられるべき物語を伝えるために存在します。変化をもたらし、次の世代に引き継がれる遺産を残したいと考えています。弊社のチームは、語られるべき物語を伝えることに強い情熱を持っています。本作は、そういった物語のひとつです。KCMの姿を追った作品を制作したことは、世界をより良い場所にするために弊社ができる社会的貢献のひとつです。

同氏は、KCMの活動を撮影するために2019年にウガンダに単独で旅立った。安全上の観点から荷物を最低限に保つ必要があったため、リュックサックひとつに、Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K、最小限の照明、オーディオ、ストレージ機器を詰めて撮影にあたった。

このようなショットを撮影したり、KCMや子供達と話をしている姿を見られることは、関係者全員にとって非常に危険なことでした。周囲からの注意を引かないようにする必要があったのですが、Pocket Cinema Camera 4Kでは必要な状況で目立たずに撮影できました。

また、臨機応変に対応できる必要がありました。つまり、照明が十分かどうかに気を配っている余裕はありませんでした。その場にあるものを使用して、多くの場合、自然光で撮影する必要がありました。そういった点で、Blackmagic Pocket Cinema Camera 4Kには大変助けられました。低照明条件での能力に長けており、ハイダイナミックレンジに対応しているので、DaVinci Resolve Studioで必要な情報を上手く引き出せると分かっていました。

同氏が直面したもう一つのチャレンジは、ストレージの問題だった。保存できる容量に限りがあったが、必要なフッテージを逃さずキャプチャーすることは必須だった。ストレージを最大限に活用し、可能な限り高い品質のフッテージを得るために、同氏は撮影にBlackmagic RAWを用いた。

約1TBのフッテージを撮影しました。Blackmagic Pocket Cinema Camera 4KとBlackmagic RAWの組み合わせを使わなければ、はるかに多くの容量が必要だったでしょう。RAWで撮影することで美しい映像が得られました。また、Blackmagic Pocket Cinema Camera 4KのカラーサイエンスとBlackmagic RAWのワークフローは、ドキュメンタリーの撮影において、このカメラが重宝する理由のひとつです。

ポストプロダクションでは、DaVinci Resolve Studioのみを使用して、Shot Imageryのベン・ニブ氏がカラーコレクションと編集を行った。

ニブ氏:本作は非常に重要な作品で、世の中に広く伝える必要がある、心に訴えかける物語ですが、同時にシネマライクなルックを求めていました。このような孤立した子供たちのストーリーを伝え、彼らに起きていることを理解する上での手掛かりになる作品とするための品質が必要でした。それと同時に、救出された子供たちが現在は生き生きと暮らしていることも見せたいと考えていました。

DaVinci Resolve Studioでは、完璧とは言えない状況で撮影されたフッテージを最大限に活かすことができたので、これを実現できました。スキントーンをありのままに捉えることができ、明るい場所と暗い場所を行き来できるBlackmagic Pocket Cinema Camera 4KとDaVinci Resolve Studioを組み合わせることで、子供達とKCMの実情を表現することができました。ほとんどのポストプロダクションを私一人で行ったのですが、DaVinci Resolve Studioではカラー、編集、VFX、オーディオを単一のアプリケーションで実行できるので、ワークフローが他と比べてはるかに効率化しました。

「End Child Sacrifice」と、Shot Imageryのもう一つの作品である「You Can Save a Child」は、2020年のAustralian Professional Video Producers ReFrame Awardsで多数の賞を受賞した。両作ともカラーグレーディングにおける賞を受け、「End Child Sacrifice」はイベントの最優秀賞を受賞した。

ベンも私も本当に誇りに思っています。何万ドルもの製作費を軽く出せる代理店が多数出品していたので、それを踏まえると本当に素晴らしい結果だと言えますね。また、偶然にも授賞式のライブ配信は、膨大な数のBlackmagic Design製品を使用して弊社が請け負っていたんです!