ALEXAはD-20やD-21に次ぐARRIのデジタルカメラシステムだが、D-20やD-21と異なりARRIRAW出力以外にカメラ本体でProRes 422(HQ)またはProRes 4444フォーマットでの収録が行えるようになっている。また、ARRIの伝統とも言える光学式ファインダーではなく初めて電子式のファインダーを採用したカメラだ。Franz Kraus 氏はALEXAの製品開発を統括指揮しており、今回去る5月27、28日の両日、東京・港区のナックイメージテクノロジー本社において開催された「ナックOpen House in Aoyama 2010」において行われたALEXA(アレクサ)の講演の合間にPRONEWSのインタビューに応じていただいた。
ARRI ManagingDirector Franz Kraus氏ALEXA はREDキラーだという人もいますが、ALEXA を開発するにあたってRED ONEを意識したのでしょうか。
ARRI独自の機構であるミラーシャッターをALEXAでは搭載していませんね。ミラーシャッターを搭載しなかったのはなぜですか。
ARRIとしてフィルムカメラはもちろんですが、デジタルカメラD20やD21でも光学式ファインダーを取り入れています。光学式のファインダーが一番いいという判断に変わりはありません。今後発売するモデルでは光学式ファインダーを採用する計画もあります。
ALEXAを開発するにあたってファインダーを光学式から電子式にするのは大きな決断ではあったのですが、マーケットを見た場合ハイエンドの撮影現場でも電子ビューファインダーが受け入れられている現状からそういったニーズはあるのではないかと思っています。
ARRIの方針として画質には妥協したくなかったのですが、市場からのコストダウンといった要求もあったので、結果的に電子式ビューファインダーの採用ということになりました。
ARRIはフィルムカメラを中心にD21といったデジタルカメラでもフィルムカメラのデジタル化といったコンセプトでカメラを開発してきたと思うのですが、ALEXAでは、記録フォーマットにProResを採用するなどビデオカメラライクになってきたように思います。今後こうしたカメラの開発に軸足を移していくという計画なのでしょうか。
フィルムで90年以上の歴史があるので、そのスタイルを崩してしまうことはありません。D21でもフィルムスタイルのデジタルカメラと謳っています。今回発売のALEXAではProResのようなビデオのファイルフォーマットでも記録できるようになっていますが、実際使ってみればARRIらしさが随所に取り入れられているのがお分かりいただけると思います。
操作性はもちろんですが、撮影に必要なレンズやマットボックス、フォーカスなどのアクセサリーとの親和性など、ALEXAはビデオカメラとフィルムカメラの良い部分をうまく取り入れて融合したものといえると思います。
フィルムは撮影フォーマットとしても上映フォーマットとしても大画面のスクリーンを前提とした場合最良のものといえます。ARRIではカメラ以外でもHDのビデオアシストシステムやムーブメントを2パーフォレーションにすることでフィルムのコストを半減させるシステムなども開発しています。こうした関連製品も含めてARRIとしては、継続してフィルム関連の機器を開発して行く予定です。
ALEXAは3D撮影に対応したカメラとしていくつかの特徴を備えていますが、開発当初から3D対応を念頭に開発したのでしょうか。
ALEXAの開発当初は3Dがトレンドとなり始めた時期と重なります。3D撮影にも対応できるよういくつかの特徴をそなえたカメラとして開発しています。
カメラのサイズをコンパクトにして、リグへの搭載を容易にしたほか、3D撮影時の操作性も2台のカメラの同期のほか、一方のカメラをマスターとしてスレーブに設定したカメラのコントロールやシャッター、感度、コマ数など各種設定なども同期することができるように設計されています。
感度が200から800までノイズレベルが一定なので、ミラーリグを利用した場合の光量低下があっても暗部のノイズレベルを常に一定にすることができます。また、ミラーリグでは一方のカメラはミラーの反射が伴いますので、画像が反転することになりますが、センサーからの読み出しを反転することで、2台のカメラからの読み出しをセンサーレベルで完全に同期させることができるようになっています。
最後に日本のユーザーに一言
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