6月12日から14日まで、幕張メッセでデジタルサイネージジャパン2013(DSJ2013)が開催された。来場者数はおよそ13万2千人(併設イベントを含む)。今年のテーマは「進化する街のメディアとコミュニケーション」だ。それではデジタルサイネージの進化の様子をご報告しよう。
NTTグループ
NTTグループブースでは、2月に金沢市で実施されたHTML5ベースのデジタルサイネージ「金沢旅物語スマートインフォメーション」の内容が紹介された。これはブラウザベースのサイネージで、金沢駅に設置された大画面のサイネージと、旅行者のスマートフォンやタブレットをWebSocketで同期させるもの。駅のサイネージからQRコードを通じて自分のスマートフォンにURLを転送すると、サイネージと同じ物が表示され、リモコンのように操作することも可能。そのまま別の観光地に移動すると、GPSによる位置情報認識で、周辺のおすすめ観光情報が表示され、実際に試してみるとこれが結構使いやすい。最初の気付きや認知が進めば、街歩きの便利なツールとなるだろう。
またABCクッキングスタジオで導入された、ジェスチャーコントロールサイネージも展示。料理中にはタブレットが操作しにくいので、料理レシピの動画再生や停止、早送りや巻戻しを簡単なジェスチャーでコントロールすることができるというもの。将来的には調理中の写真をSNSにアップロードできるようにするとのことだ。ジェスチャーコントロールはインセクト・マイクロエージェンシーが技術提供している。
今一番4Kと親和性の良いデジタルサイネージ
一番注目を集めていたのが4Kサイネージだ。84インチの4Kディスプレイに表示される高精細な映像は、まさに圧巻ともいうべきもので、デジタルサイネージにも4Kの波が来ることを予見させる。もともとストリーミングではなく、予めローカル側にダウンロードさせて表示させることが多いデジタルサイネージにおいては、4Kは今すぐにでも実現できるものだ。
エーキューブ
他にも同じく4Kサイネージをエーキューブが出品。シャープ製の32インチ4KディスプレイをAMDのグラフィックスボードFireProシリーズで稼働させていた。
TOWA
TOWAブースでは、街角で目にする機会が非常に多くなった、LED+ディスプレイのセット「BRID」シリーズの最新機種、「GRAND BRID」を展示。これは従来の15インチ、19インチから32インチに大型化されたディスプレイを搭載したものだ。多くの販売実勢を持つBRIDであるが、大画面のニーズがかなりあるために32インチに大型化したという。
DISE
DISEブースでは篠田プラズマがプラズマチューブアレイディスプレイ「つながるシプラ」の最新機種を展示。今回の展示は4m×2m。筆者はこれまで何度となく同社のシプラを見てきたが、ここに来て画質が一気に向上した。曲面設置はデジタルサイネージの設置環境を飛躍的に拡大させる可能性を秘めているのは間違いない。さらなる進化に大いに期待したい。
サウンドグラフジャパン
お手軽系サイネージで日本初登場なのがサウンドグラフジャパンの「YouFrame」だ。これはスマートフォンやタブレットだけでデジタルサイネージのコンテンツ作成から配信制御までのすべて行うことができるものだ。プレイヤーは専用機が必要で、日本価格は外部HDMI入力の有無によって、それぞれ7万円と10万円の予定。配信用のクラウドの利用料金は未定とのこと。
恒例DSJ NIGHTも開催!
二日目の夜には恒例となったナイトイベント「DSJ NIGHT」も開催。今年は場所を会場内に移してより広いスペースで実施。プロジェクターによる投影に加え、アナログOHPを利用した演出も。3Dプロジェクションマッピング全盛の今、カラーインクを垂らしながら手で動かすという手法が目を引いていた。映像演出はクリエイティブユニットD.V.D。
また展示会と並行で開催されたセミナーは、今年は全15セッションが無料となった。各セッションは立ち見が出るほどの盛況ぶりで、充実したテーマに多くの聴衆が最新のデジタルサイネージ動向に関するセッションを熱心に聞き入っていた。