今回対談に登場して頂くのは、ともにEDIUS Pro 8ユーザーである。前回の記事でEDIUS Pro 8初体験以降、映像編集の際には使用していると言うビギナーの江上さくら氏。EDIUSが登場した時より使用している本誌でも御馴染み岡英史氏のお二人。本日初対面のマスターの声を包み隠さずとらえた番外編をお送りしよう。
ヤングとマスターの邂逅。EDIUS Pro 8を使用して、思った事
ビギナーユーザーを代表して 江上さくら氏
江上氏:最近も学校と就職活動の合間に映像関連のディレクションと編集の仕事がありまして、EDIUS Pro 8でサクッと仕上げました。基本的なことはEDIUS Pro 8が早いですね。と言えるくらい身についてきました(笑)。やはり直感的で、頭の中で思い描いたことは、すぐ実現できるのは嬉しいですね。ただ感覚的なことなので言葉を並べても伝わりづらいですけど、一番いい方法は、前回同様体験版を是非ダウンロードをして頂ければわかるかと思います。レイアウトもワークスペースが広くて映像編集にはいいですよね。
EDIUS Pro 8は、基本的な映像編集の知識がある場合は説明書を読まなくても、ある程度の操作はできますね。開発サイドは、UI(ユーザーインターフェース)などすごく研究されているのだと思いました。さらに詳細機能でわからない部分は、岡師匠に質問しようと思っています。
EDIUS Pro 8で刷新されたUI(ユーザーインターフェース)
岡氏:こんにちわ。一応マスター役としての参加ですが、そんなにアクロバットな使い方はしていませんよ。基本に忠実です。確かにEDIUS Pro 8で大きく新機能や新しい概念の機能が追加されましたので興味深くはなりましたね。自分は、バージョンでいうと1.0の黎明期から知っています。カノープス社という国内企業が開発していて、厳密にいうと最初は「DV Storm」や「DV Raptor」などのキャプチャーボードに付属していたアプリケーションだったんです。
編集ソフトとして個人的にメインで使用するようになったのは、EDIUS 3 for HDVからです。そこからEDIUS Pro 8になるまで様々なアップグレードを繰り返していくのですが、不具合があれば、メーカーにフィードバックすれば次のバージョンでは、その問題点が解消される等フットワークの軽い会社ですよ。Grass Valley社は元々外国企業ですが、現在もEDIUS Pro 8は日本国内で開発されています。
新機能の「プライマリーコレクション」フィルターを使用すれば、Logファイルも快適に扱える
EDIUSの進化は、まさにユーザーの声に応えてきた歴史
岡氏:ユーザー内では定番になっていますけど、奇数バージョンの場合はマイナーチェンジで機能よりも安定感を目指し、偶数バージョンの場合は新しい機能が追記されます。オフィシャルではないと思いますが、開発のサイクルを考えるとバランスがいいですね。
今回のEDIUS Pro 8は、偶数ですから新機能やUIの刷新が大きくされているわけです。ここからユーザーの声がフィードバックされて、次のバージョンに活かさせるというのがEDIUSユーザーの掟なんです(GV社に確認したわけではないですけど)。
EDIUS Pro 8の良い点悪い点
岡氏:EDIUSが、世に広まった理由の一つには、動作が”とても軽い”というのが挙げられます。当時驚異的だったのが、DVやHDVなどのリアルタイムマルチフォーマット混在編集に対応したことです。更に次世代メディアとして注目されていたP2やXDCAMなどのMXFファイルを同一タイムライン上で編集可能でした。やはり「Grass Valley HQ Codec」という独自開発のソフトウェアコーデックの存在も大きかったですね。
さらに今では定番のAVCHDフォーマットですが、発表時は編集しようにもちっとも動かなかい時期がありました。その時にEDIUSは、軽快に編集可能で、時間のない報道や現場での編集マンに重宝されていた実績があります。それが理由で”動作が軽いね”という認識が映像業界では広まったのだと思います。その他にもMPEG系に強く、読み込めるファイルの種類が多彩なので安心して使用できます。
一般の編集ソフトは、エフェクトや編集をするとこまめにレンダリングが必要でしたが、EDIUSは、必要がなかった。他のソフトも最近は、リアルタイムに動くということになりましたけど、動作が速いということは、つまり仕事が早く終わるということです。レダリングの待ち時間は嫌だからね。乱暴に言うとEDIUSにレンダリング概念はないんですと。
あえて苦言を呈すのであれば、テロップに関してはどうにかして欲しいです。単純に入る程度。これはどうにかして欲しいですね。サードパーティーからも少しあるようですが…。
江上氏:単純に私の問題ですが、学生向けにアカデミーパックが用意されている事を知りませんでした。その存在をできる限り早く知りたかったですね。学生時代から使用していれば、将来長期にわたって使用すると思うのですけどね。もうひとつは、UIなどは洗練されていると思うんですが、EDIUS全体のブランドイメージの刷新というか…。今の感じでは、少し若者の触手が伸びないような気がします。
良い点は、岡師匠と同じですが動作が軽いということですね。さらにソフトウェア自体が軽いというのは言い換えれば少し世代の古いマシンでも快適に動くということだと思います。今回ノートPCでも快適に編集できました。高スペックなシステムを揃えなくても映像編集が快適に行えるの事は嬉しいですよね。
4Kのネイティブファイルを快適に扱うことを得意とするグラスバレーのソフトウェア
岡氏:そう。ノートで4Kが実現できるのがEDIUS Pro 8のメリットじゃないかな。グラフイックボードなど周辺機器に依存していないのもメリット。もちろん必要であれば機材を追加すればさらにいいのだけど。
EDIUS Pro 8若い世代が使うには?
江上氏:繰り返しになりますが2つ意見があります。ひとつは若者に受け入れられるEDIUSのイメージを考える。もうひとつは、映像学科などでの映像編集の授業で採用されればいいのかしれませんね。さらにリクエストを加えると若者はクラウド大好きなのでぜひこれは対応して欲しいです。
タグをつける事によって素材を簡単に仕分けできるGV Browserは、若い世代には受け入れやすい
岡氏:それはそうだよね。でもネット認証が必要になるね。現場でネット環境がない事も多いと思う。そういう意味でも、他に素材をいろいろマルチユースする場合よりも、EDIUS Pro 8は、純粋に一人のデレクターだけで仕上げるような1つの素材をそのままワンユースするお仕事に向いている気はします。
江上氏:EDIUS Pro 8は、プロ向きなイメージがあります。映像を今日から始める!ということで手に取るのはハードルが高いですね。ですのでEDIUS Pro 8はどんな人が使っているか見えるイベントをして欲しいですね。学生のうちに EDIUS Pro 8というソフトがあるということを認識して欲しいです。そして若者が手に取り、より多くの良い映像作品が出てくることを願います。
岡氏: EDIUS Pro 8は、MADE IN JAPANのソフトウェアで無骨で質実剛健な部分はそのまままに、ビギナーを迎える体制があればいいのかな。逆に言うと現状は玄人向けですからね。いいソフトなので若い人に使って欲しい。よしイベントだ(一同笑)!