txt:栁下隆之 構成:編集部
一眼カメラで注目度No.1!「FUJIFILM X-T3」
さて、昨年発売になった一眼カメラの中で個人的にNo.1は、FUJIFILMのX-T3だ。普段動画制作で一眼系を多用する者として見逃せないスペックは、HEVCで4:2:0 10bitで4K60Pまでの収録が出来る事なのだが、実際のところ画質はどうなのかが気になる所。画質の検証に加えて、フィルムシミレーションやトーン調整機能について、個人的には復習の意味も込めて検証してみた。
静止画と動画を個別に画質の設定ができる。動画編集に適したトーンを予め設定出来るのは好都合だ
昨年秋に撮影した素材でご容赦頂きたいのだが、まずは筆者お気に入りのVELVIAモードでダイナミックレンジ拡張や、シャドウ、ハイライトのコントロールについて見て行きたい。
まずはDR400でハイライト、シャドウがノーマルの素材。撮影は17:9 4K30P HVEC 4:2:0 10bitだ。レンズがFUJINON MKXズームという事もあるが、VELVIA特有のコントラストと彩度の高さも相まって、その解像感の高さに驚く。
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やや沈みがちなシャドウ部少し持ち上げる為に、シャドウを-2に設定した。トーンカーブを頭に思い浮かべてしまうと、マイナス補正というのは逆なイメージであるが、ハイライトのガンマ(コントラスト)を下げるとイメージすれば理解しやすい。シャドウが持ち上がるだけなく、中間調からシャドウ側の諧調が持ち上がるが、ハイライト側のトーンは変わって無い事に注目してもらいたい。筆者的には見た目に近い、というか記憶色に近い表現になったと思う。小雨が降る中、枝葉に着く雨粒までの表現出来てる高精細な描写と相まって、このカメラのポテンシャルの高さを感じる事ができる一枚だ。
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次にハイライトも-2に設定してみると、ハイライト側から全体に暗く補正されている。ただ、中間調は大きく変化はしていないので、この辺はやはりハイライトから中間調にかけてガンマが変化しているという事だろう。
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設定的には、ハイライト−2、シャドウ−2が一番階調を広く捉える事ができるはずなので、DRレンジの拡張モードによる変化を検証してみた。まずはノーマルなDR100だが、これでもハイライト−2、シャドウ−2の設定が効いているので、ややコントラストは押させて状態になっている。
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次にDR200だが、シャドウ側トーンに変化はなく、ハイライト側の変化が見られる。中間調からハイライト側のトーンを重視したい時にはDR200に設定すると良いだろう。
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DR400ではシャドウ側を大きく持ち上げている。設定感度によっては、シャドウノイズが浮いてしまうので注意が必要だが、FUJIFILMのカメラは変なカラーノイズは発生しないので積極的に使っても良いだろう。
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次に各フィルムシミレーションの違いを見てみたい。コントラストは一目瞭然だが、彩度の違いも実は細かく差異がある。CLASSIC CHROMEとPro-Negaに加えて、ETERNAは近しい描写だがよく見れば繊細な違いを感じる事ができる。今回のサンプルでは色彩が単調ではあるが、それでもこれだけの違いを見て取れるというのが、フィルムシミレーションの面白で、「編集でちょっと弄る」とは明らかに違う良さがあるのだ。
好みのフィルムシミレーションを見つけて、そのトーンをチューンナップして自分らしさをだす。これだけでも十分個性的な映像表現が出来るだろう。もちろん、F-Logを活用したカラーグレーディンのワークフローも取り入れる事が出来るので、活用の幅は更に広い。
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最後に解像感にも少し触れておこう。画面のセンターと、下手下と上手上を拡大した物を用意した。50-135mmの50mm付近の画質であるが、イメージサークルの中央と外周を比較しても、解像感に均一感があるのが特徴だろう。それでいて全体がとてもシャープに保たれていて、コントラストで誤魔化してないレンズの味も感じる事ができる。ハイエンドのシネズームも手がける同社製品らしい描写と言えるだろう。
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兎にも角にも、X-T3とMKXズームの組み合わせの描写には関心しきりであった。この解像力では十分にコンパクトといえるMKXレンズに加えて、X-T3の内部収録の実用性がシステム全体をコンパクトにまとめる事に貢献している。もちろんフォローフォーカスや外部モニターを装着した場合に、リグをどうするかというう事もあるが、なるべくシンプルに運用したいと思わせる良さがこのカメラにはある。
次回はカメラ本体の操作部に加えて、実際の撮影風景などもご紹介出来ればと思う。