Hollylandは、ワイヤレスマイク「Lark M2」を2024年1月10日に発売する。
Lark M2の最大の特徴は送信機(マイク)の重さが9g。発売時点での「業界最軽量のワイヤレスマイク」となっている。
また、受信機(レシーバー)や付属のチャージングケースも、すでにHollylandから発売されているLark M1やLark C1と比べ、より気軽に、一式で持ち運べるコンパクトなサイズ感へと変わった。
Lark M2は4種類のパッケージがあり、
- モバイルバージョン(USB-Cタイプ):22,110円 ※Lark C1(USB-C)の後継に相当
- モバイルバージョン(Lightningタイプ):23,650円 ※Lark C1(Lightning)の後継に相当
- カメラバージョン:24,970円 ※Lark M1の後継に相当
- コンボ:28,380円
で構成されている(いずれも税込)。
発売に先立ち、カメラバージョンとモバイルバージョン(LightningタイプとUSB-Cタイプ)のレシーバーの計3種がセットとなった、Lark M2の「コンボ」パッケージの実機に触れることができたので、Lark M1との違いを中心に、新しく発売されたLark M2を紹介していく。
なお、機能や仕様については執筆時点のものであり、将来ファームウェアアップデートによって変更される可能性があることを、あらかじめご理解いただきたい。
なお「コンボ」には、
- 送信機×2
- 受信機(カメラバージョン)×1
- 受信機(モバイルバージョン・USB-Cタイプ)×1
- 受信機(モバイルバージョン・Lightningタイプ)×1
- チャージングケース(カメラバージョン)×1
- ウインドスクリーン×2
- USB-A to USB-Cケーブル×1
- 3.5mm TRS to 3.5mm TRSケーブル×1
- バッククリップ×2
- クリップマグネット×4
- ネックレスシリコンケース×2
- ステッカー
- ドローストリングバック
- クイックガイドとパッケージングリストカード
- 保証書
が同梱されている。
マイクはスティック型からボタン型へ「かなり小さくて軽くなった」印象
2022年6月に発売されたLark M1と、同年10月に発売されたLark C1の後継機種と言えるLark M2は、マイクのデザインがスティック型からボタン型へと変わった。
先にも触れたように、Lark M2のマイクの重さは9gで、直径はおおむね500円硬貨と同じぐらい。
Lark M1は重さ11.8g、Lark C1は重さ11.5gだったことを考えると、仕様上の重さはほんの2gちょっとの差だが「かなり軽くなった」印象を受ける。
マイクの稼働時間は最大10時間※1、充電時間は約1.5時間、伝送距離は見通しで最大300m※2となり、Lark M1/C1(稼働時間は最大8時間、充電時間は約1.5時間、伝送距離は見通しで最大200m)と比べて仕様上の最大稼働時間は2時間ほど延びている。
※1 ノイズキャンセリング機能OFF時
※2 非見通しはモバイルバージョン最大60m、カメラバージョン最大40m
マイクをクリップで衣服などへ固定するスタイルのみであったLark M1/C1に対し、Lark M2ではクリップのほか、マグネットでの装着も可能に。デザインが変わり、サイズも小さくなったLark M2のマイクは、衣服へ装着しても目立ちにくくなった。
また、ネックレスシリコンケースを用いれば、首にペンダントをかけるような運用スタイルも可能だ。
ノイキャン機能ON時の音質がより良くなりボタンサイズでもさらに高音質に
Lark M2には騒々しい環境でもクリアな音声を収録するためのノイズキャンセリング機能が備わる。マイクの側面にあるノイズキャンセリングボタンを1回押すことでオンとオフの切り替えが可能。
カメラバージョンのレシーバーではできないが、モバイルバージョンのレシーバーは底面にあるENC/Pairingボタンの単押しでもノイズキャンセリング機能のオンオフができる。
マイクそのものが小型・軽量化された一方で、Lark M2のマイク性能はLark M1/C1よりも向上している。それを大きく感じたのは、Lark M2とLark M1それぞれでノイズキャンセリング機能をONにして録画をし、音声を聴き比べてみたときのことだ。
Lark M1はノイズキャンセリング機能をONにすると、話者の声が(OFFのときと比べて)「高域が抑えられたような、鼻をつまんで話しているような、そして、声がこもるような音の印象」があったが、Lark M2ではそのとき感じた大きな違和感はなかった。
使用する環境や状況によってその結果は変わってくるかもしれないが、近くでエアコンやサーキュレーターなどが回る自宅や小さめの会議室の一室で使うようなシチュエーションでは、Lark M2のノイズキャンセリング機能は有効的だと感じる。
Lark M1/C1で採用されていたノイズキャンセリング機能は「ANC(Active Noise Cancellation)」によるものだったが、LARK M2は「ENC(Environmental Noise Cancellation)」方式となったことから、ノイズキャンセリング機能をONにしたときの音質の印象がLark M1とLark M2で異なるのはここも要因のひとつとなりそうだ。
ちなみに、ノイズキャンセリングの効きが少し強いと感じた場合は、後述のLark Soundアプリの「Noise Cancellation」項目で「Weak(弱)」にして効果を変更することも可能。デフォルトは「Strong(強)」だが、個人的には「Weak」に設定したときの音質のほうが好みだ。
また、ノイズキャンセリング機能がOFFのときの音質も、Lark M1と比べてLark M2ではより良くなった印象。その音質は、人気のフラッグシップモデルLARK MAXへ近づいたようにも感じる。
Lark Soundアプリでノイズキャンセルの強度と音量調整が可能
Lark M1ではアプリによる調整はできなかったが、(Lark C1と同じように)Lark M2では3段階のマイク音量調整※3と2段階のノイズキャンセリング強度の設定を、App StoreやGoogle Playで公開されているiOS/iPadOS、AndroidOS対応の「Lark Sound」アプリで可能だ。
※3 AndroidOSアプリ使用時はマイク音量調整は6段階
モバイルバージョンのレシーバーはスマートフォンへ直接接続、カメラバージョンのレシーバーであれば付属のUSB-C to Lightningケーブル、もしくは、USB-C to USB-Cケーブルでスマートフォンと接続したのちに、Lark Soundアプリを起動することで設定を行うことができる。
カメラバージョンはLark Soundアプリを使用せずともレシーバー本体のつまみで3段階のマイク音量調整が可能だが、ノイズキャンセリング強度は本体で変更できない。そして、モバイルバージョンはマイク音量とノイズキャンセリング強度のどちらも本体で変更をする術がない。
どちらのバージョンのレシーバーを使うにしても、Lark Soundアプリを予めスマートフォンへインストールして、事前に設定をしておくことをオススメしたい。
そして、コンボパッケージを手にしたユーザーへの補足となるが、コンボにはUSB-C to LightningケーブルやUSB-C to USB-Cケーブルが付属しない。
このため、コンボのユーザーがカメラバージョンのレシーバーをLark Soundアプリで設定をしたい場合は、身近にあるUSB-C to LightningケーブルやUSB-C to USB-Cケーブルを活用するのが良さそう。
また、Lark Soundアプリの設定はカメラバージョンのレシーバー、モバイルバージョン(Lightningタイプ、USB-Cタイプ)の3つのレシーバーそれぞれのデバイスごとに設定が必要だ。
受信機も軽量化、チャージングケースもコンパクトに
カメラバージョンのレシーバーの稼働時間は最大9時間、充電時間は約1.5時間となった(Lark M1と充電時間は変わらないが、稼働時間は最大8時間から1時間延びている)。
一方、モバイルバージョンはレシーバーをスマートフォンのLightningまたはUSB-C端子へ接続することによって電源が入ることから、スマートフォンのバッテリー残量に稼働時間が依存する。レシーバーのUSB-C端子を通じて給電をすれば、スマートフォンの充電をしながらLark M2を使用し続けることが可能だ。
カメラバージョンのレシーバー(重さ14.8g)、モバイルバージョンのレシーバー(重さ6g)のどちらも、Lark M1/C1に比べてサイズは小さくなり、重さも軽くなっている。
フル充電されたカメラバージョンのチャージングケース(バッテリー容量1950mAh、重さ111g)は2つのマイクと1つのレシーバーを3回以上、一方、モバイルバージョンのチャージングケース(同750mAh、重さ65.6g)は2つのマイクを2回以上充電することができる。
Lark M1/C1では充電用のUSB-Cポートがチャージングケースの底面にあったが、Lark M2はUSB-Cポートが背面へ移動したことで、充電ケーブルを挿すためにチャージングケースを寝かす必要がなくなった。
充電ケーブルを挿したままのチャージングケースからマイクとレシーバーを取り出しやすくなったのは、些細なことだが改良されたポイントのひとつと言える。
一方、Lark M1/C1のときと異なり、Lark M2のマイクには充電用のUSB-C端子が無くなったため、ケーブルを直接マイクへ接続しての充電はできなくなった。
Lark M2ではチャージングケースへマイクとレシーバーを入れ、セットで持ち運びをする必要があるが、マイクとレシーバーが入ったチャージングケースの持ち運びはそれほど大きな苦にはならない。
片手でも握れるコンパクトなチャージングケースと付属のアクセサリー類を一緒にドローストリングバックへ収納しても、Lark M2をお出かけバックへ常時忍ばせておくこともできる気軽さはLark M1/C1のときと同じだ。
目が向きやすい胸元のマイクをスマートに
2023年6月にフラッグシップモデルのLARK MAXが発売されたとき、ユーザーから挙がった要望のひとつが「マイクに刻印されるブランドロゴが気になる」という点だ。
Hollylandの製品に限ったことでなく、一般的に、この類のマイク本体にはメーカーのブランドロゴが刻印されていることで、被写体となった話者の胸元に装着されたマイクへ(動画を視聴する人の)目が向いてしまうことも多い。
マイクそのものが小型・軽量化されていくことによって、スペースの都合でブランドロゴが本体の前面に刻印されてしまうのは仕方ないと感じる一方で、使うユーザーの立場としてはもう少し小さく刻印してほしいと感じることもこれまた自然であると思う。
こうした声を受けてなのか、Lark M2ではステッカーが付属品として同梱されている。ステッカーは数種類あり、可愛らしいフェイスのステッカーのほか、白と黒の無地のものもある(現実的なところとしては、後者の無地ステッカーを貼ることで目が向きやすいマイクのブランドロゴを隠すことになるだろうか)。
また、ステッカーを貼らずとも、付属のウインドスクリーンをつけることで一時的に隠しておくこともできる。
ただ、ウインドスクリーンをつけると、マイクのサイドにある電源/ノイズキャンセリングのON・OFFボタンが覆われてしまう。ボタンへのアプローチはできなくないが、目視せず手探りでボタンを押すのが少し難しい。
モバイルバージョンならば、レシーバー側でENC/Pairingボタンの単押しをすれば良いが、カメラバージョンのレシーバーではそれができない。
これはカメラバージョンの前モデルに相当するLark M1のレシーバーにノイズキャンセリング機能のON・OFFボタンは備わっていなかったことも起因すると考えられるが、可能であれば、カメラバージョンのレシーバーでもモバイルバージョンと同様にノイズキャンセリング機能のON・OFFができると良かったと感じる。
それは将来のファームウェアアップデートで解決できる(=その代替手段が提供できる)のかは不明だが、現状はウインドスクリーンを装着する前にノイズキャンセリング機能のON・OFF状態を確認する必要はありそうだ。
「深く考えず、挿せば使える」手軽さがいい
Lark M2のモバイルバージョンの「Lightningタイプ」レシーバーはApple MFi認定を取得しておりLightning端子が備わるiPhoneで、一方、「USB-Cタイプ」レシーバーはUSB-C端子が備わるAndroidスマートフォンやアクションカメラ、パソコン、そして、iPhone 15シリーズ以降のiPhoneも利用できる。
そして、カメラバージョンのレシーバーは3.5mm TRS to 3.5mm TRSケーブルを用いて一眼レフカメラなどに接続できるほか、USB Audio Class(UAC)規格の対応によってUSB-C端子からUSB-C to USB-A、もしくは、USB-C to USB-Cケーブルを用いてパソコンと接続することでオーディオインタフェースとして利用することも可能だ。
なお、ステレオの音声出力は「カメラバージョンのレシーバーに"3.5mm TRS to 3.5mm TRSケーブルで"接続したときのみ」となる。モバイルバージョンのレシーバー、または、カメラバージョンのレシーバーを"UACで"接続した場合はモノラルの音声出力となることは予めご留意いただきたい。
Lark M1とLark C1の後継機種として新たに登場したLark M2は、音質の向上を図っただけでなく、より小型・軽量化されたことで持ち運びの気軽さは変わらない。
そして、モバイルバージョンのレシーバーとの組み合わせなら、マイクの側面にある電源/ノイズキャンセリング/ペアリングボタンを2回押しすることで、離れた場所からでも録画の開始と停止ができる「ビデオ録画のコントロール」機能※4は、今回のレビューで音質の比較をするための撮影をしたときに有用性を感じた。
※4 この機能はスマートフォンのカメラアプリが音量キーで録画をコントロールする機能をサポートしている場合にのみ動作
フラッグシップモデルLARK MAXと比べると、Lark M2はできないことはあるが「深く考えず、挿せば使える」手軽さが最大の特徴。特に、iPhoneをはじめとするスマートフォンを用いてYouTubeやTikTok動画を撮影をするビギナーたちに親和性があるプロダクトと言えそうだ。