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軽量なDJI NEOが登場!

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DJIが最軽量ドローンを発表した。 DJI NEO、次世代を思わせるネーミングにDJIの新しいジャンルにかける意気込みを感じる。 それもそのはず、今までホビーから産業用ドローンにかけては世界一のシェアを誇るDJIだが、手のひらサイズのパームサイズドローンに関しては2019年6月にSparkが販売を終了して以来、新機種が出ていない。 もう、このジャンルには手を出さないかと思っていた時期にこのDJI NEOが発表された。

手に取ってみるとバッテリーを積んだ状態でも物凄く軽い!飛行重量は135gだという。前述のSparkの時代には300gというから、その進化がうかがわれる。ただ、この100gを超えた135gということが日本において気がかりになってくる。

2022年6月20日から無人航空機の登録基準が200g未満から100g未満に引き下げられたのである。かく言う私も所有しているDJI MINI 2も199gで、発売当初は国土交通省への登録不要だったが、基準の変更に伴い登録せざるを得なくなった。

こと日本という国においてはこの100gの壁というものが存在するのだ。とはいえ「なぁんだ、めんどくさい」と、ここで興味をなくすには勿体無いほどの魅力がDJI NEOには詰まっている。

DJI NEOの操作方法いろいろ

私の手元に来たのはDJI RC-N3送信機とバッテリー3本が一緒になったDJI NEO Fly Moreコンボだ。「ドローンは送信機が無いと操作できない」。そう考えてしまいがちだが、DJI NEOには3種類の操作方法が用意されていてDJI NEOスタンドアロンのセットでも十分楽しめる。

  • (1)モバイル機器から接続
  • (2)送信機をのみを使って接続
  • (3)送信機とゴーグルとの接続
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この(1)の「モバイル機器からの接続」がDJI NEOの真骨頂なので後述するとして、(2)の「送信機のみを使って接続」は、一番ポピュラーな方法だろう。いわゆるドローンの操作方法としてスタンダードなものだ。ただ、この方法はDJI NEOの本来の楽しみ方の一部しか享受できていないといって良いだろう。

そして(3)の「送信機とゴーグルの接続」である。今回、Goggles 3とMotion 3も一緒に借りることができた。まだ発表前の機種ということで、思いっきり飛行させることはできなかったが、FPV未体験の私でも「なんちゃってFPV体験」ができる楽しみが得られた。

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Goggles 3は今のところAvata 2とMini 4 Pro、Air 3に対応している。ここにDJI NEOが加わるわけだ。Avata 2は377gとDJI NEOの3倍近い重量がある。コンパクトな大きさとはいえDJI NEOよりも一回り大きい。ドローンからの映像だけで操作する目視外飛行では、ちょっとハードルが高い(とはいえ、Avata 2はFPVドローンなのでゴーグル装着の操作が前提だ)。

それがDJI NEOならプロペラの上下まで覆うプロペラガードと135gという重量も相まって、目視外飛行でも抵抗感なく操作できる。特にMotion 3との組み合わせでトリガーとコントローラーの傾きで操作する感覚は手軽に味わえる壮大なアミューズメントだ。

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そして、DJI NEOならでは操作方法が(1)のスマホでのコントロールである。通常、ドローンは離陸して上昇下降、前進後退、左右、旋回などで思い描いた飛行経路を飛ばすわけだが、きちんと被写体をフレームの良い位置に入れて回り込んだりするには、それ相応の技術が必要になってくる。

DJI NEOはそういった一通りの定番の飛行方法をスマホのアプリに表示されたボタン一つで再現することができる。

DJI NEOのティザーでもボディ横の「NEO」という文字と緑色に光るイルミネーションが印象的だったが、このボディ上部に表示される6つの飛行方法ならスマホに表示される「START」というボタンをタップするだけで手のひらから飛び上がり思い描いた撮影をしてくれる。

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機体には2つのボタンがあり、一つは後部についたパワースイッチ、も追う一つが前方のモード切替ボタンだ。これがあることでスマホが無くても飛行できるのだが、日本の法規上、操作機器が手元に無いと無人航空機は飛行できないので、最低限スマホは必携だ

用意されているモードは6つ、それに加えて通常の手動制御も可能だ。それらを紹介していこう。

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フォロー、被写体の後を追うようにNEOが付いてくる。近距離、中距離、遠距離と選べ、ドローンの高さも低めから高い位置まで3段階用意されている。

ドローニー、手のひらから飛び立った機体は指定された距離まで離れて行く。これも2、4、6、10mと4段階あり、高さを維持して離れる場合と上昇しながら離れて行くといった2経路が選べる。

サークル、被写体を中心に旋回して飛行する。半径も2、4、6、10、20mの5種類から選べる。

ロケット、名前の通り一気に上昇していく。上昇距離も4、6、10mの3種類あり、上昇しながら回転することも可能だ。

スポットライト、名称が分かりにくいがドローンは今飛行している場所にとどまり、カメラが動いている被写体を捕え続ける。つまり三脚で撮っているような状態である。

カスタム、これは設定で3種類の飛行方法から選べる。まずはブーメラン、サークルに比べると楕円形で飛行し、被写体から離れて高い位置まで行き、被写体に近づいて旋回する、まさにブーメランのような軌道だ。それとヘリックス、被写体の周りを回りながら上昇し離れていくという動きだ。

こちらも4、6、10、20mの距離が選べる。Directional Track、設定の中の説明を読むだけでは分かりにくいが、参考動画を見る限り、STARTボタンを押したときの被写体とドローンの関係性を維持してくれるような気がする。

モードは6つだがカスタムが実質3種類あるので手動制御含めると9種類の飛行方法から選べる。モードの一つをカスタムに設定しているということからこれからファームウェアのアップデートで新たな撮影方法が増えてくれることを望む。

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手動制御のコントロールはこんな画面で行う

とはいえ、インテリジェントフライトモードが充実しているためスタート地点を調整するのに使うくらいがちょうど良い。

まずはDJI NEOを自分の(もしくは被写体の)顔に向けてAI認識させる。そしてスマホのSTARTボタンをタップすると設定した飛行モード撮影し、STOPを推せば終了し戻ってくる。そしてDJI NEOの下部5㎝くらいのところに手を差し出すと、ストンと手のひらに着地する。

これだけ簡単なのだから、今まで興味はあったけど二の足を踏んでいた潜在ユーザーの開拓には一役買うだろう。DJI NEOスタンドアロンで33,000円という価格設定もドローン初心者が手を出しやすい価格だ。

とはいえ画質も必要十分のスペックを備えている。4K/30p、1080/30,50,60pの撮影が可能でH.264、H.265のMP4で収録。写真解像度は12MPになる。

ただ、microSDなどのスロットは無く22Gの内部ストレージのみになる。4K収録で37分ほど撮影時間だ。データの転送は後部USB-Cから行うかスマホに直接ダウンロードする。その時にトリムダウンロードという方法が出来るのが助かる。使いたい部分だけ切り出してダウンロードできるのだ。

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DJI NEOのバッテリー、カメラ設定、音声収録

1つのバッテリーで17-18分飛行できる。スマホのみで操作するのだったら内臓バッテリーでコストと重量を下げるという選択肢もあったと思うが、通常操作やFPV的な使い方もできることを考えると交換用バッテリーは助かる。

シャッタースピード、絞り、ホワイトバランスがマニュアルを選べるのも嬉しい。ただ、スマホ操作の場合はカメラのマニュアル調整の項目は見つからなかった。すべてオートだとしても露出補正の項目くらいはあって欲しいが、誤操作への配慮からか最低限のSTARTのみの操作画面は潔い。

カラープロファイルはノーマルのみである。ドローンはロケーションで使う事が多く広いダイナミックレンジが欲しいので、D-logとかも選べると助かるのだが、次期ファームウェアに期待したい。

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メインカメラ以外には下方ステレオカメラのみ装備している。そのおかげで手のひらを差し出すと自動的に着陸ができる。衝突回避の周辺カメラは装備していない。

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ジンバルはチルト方向のみ稼働する。ロール方向のブレ補正は電子制御になるが、かなりの安定度だ。チルトが60°まで上向きにできるのも良い。大抵のドローンカメラは機体前方下部に設置されるので上向きの角度が限定されてしまう。 機体で特徴的なのは全面保護のプロペラガードだろう。挟み込むように掴むこともできるし、子供の撮影でも安心して飛行できる。

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上部のプロペラガードはプロペラ交換のために外すことが出来るが爪が深く簡単には外れないような構造になっている。

小さいとはいえプロペラの風切り音はそこそこ大きい。ドローン本体のマイクでは、その音で音声はとても収録できない。DJI NEOはVLOGドローンというだけあって音声のことも考えられている。操作しているスマホで音声を収録することでプロペラ音に悩まされることなく喋りも収録することができる。

手軽に楽しめるドローンに

日本では機体登録が必要な機体重量になってしまうが、国土交通省への無人航空機の登録もWeb上で可能だ。せっかく操作方法でこれだけハードルを低くしているのだから、機体登録で躓いてしまうのはもったいない。DJI NEO専用の分かりやすい機体登録方法などをバンドルすることで法規を守りながらも手軽に楽しめるドローンに成長してほしい。

自分の周辺、半径20m以内のドローン。そんな印象をDJI NEOに持った。送信機を使った場合は最大映像伝送距離を10㎞としているが、スマホだけの操作の場合は30mと聞いている。そのためインテリジェントモードの最大設定距離も20mなのだろう。

この半径20m以内で被写体に威圧感を与えずに手軽に撮影するには軽量フルガードのDJI NEOは最適なのではないだろうか?

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さあ、STARTをタップしよう。

WRITER PROFILE

小林基己

小林基己

CM、MV、映画、ドラマと多岐に活躍する撮影監督。最新撮影技術の造詣が深く、建築と撮影の会社Chapter9のCTOとしても活動。