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はじめに

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左から「LUMIX S 26mm F8」「LUMIX S 18-40mm F4.5‐6.3」「LUMIX S 28-200mm F4-7.1」

2024年5月末 LUMIX S9と同時発表された小型軽量ズームレンズ「LUMIX S 18-40mm F4.5‐6.3」。

発表された当初はこのレンズがLUMIX S9のキットレンズとして販売されると思っていた。 あの日から5️カ月、ようやくこの手に触ることができた。

第一印象はとにかく小さくて軽いレンズ。樹脂製のレンズボディのおかげか見た目以上に軽い。LUMIX S9と同時発売されたパンケーキレンズ「LUMIX S 26mm F8」と比較しても直径がほぼ同じためか、そこまで大きさも重さも変化を感じず、「パンケーキ二段重ねレンズ」、そんな印象を受けた。

スペックと特徴

  • 焦点距離:35mm判換算18-40mm相当
  • 最短撮影距離:0.15m(W)/0.35m(T)
  • 最大撮影倍率:0.28倍
  • 沈胴式
  • φ67.9×40.9mm 155gと小型軽量な設計
  • 非球面レンズ3枚、EDレンズ2枚、UHRレンズ1枚という豪華なレンズ群
  • フィルターサイズ:62mm
  • 防塵・防滴・耐寒設計

小型軽量なのがこのレンズの第一の特徴ではあるが、決してそれだけのレンズではない。日頃からミクロン単位のモノづくりに携わる筆者が触って感じる、モノとしての精度の良さ。非球面レンズを3枚使用するなど妥協しないレンズ構成。 このレンズは小さく軽いだけではない。精密機器として作りこまれている。 軽量化のために樹脂パーツを多く使用しているが、塗装を工夫することで安っぽさは感じない。

ただ小さく軽くと考えただけではなく、メーカーとしてのモノづくりに対する意気込みを感じる事ができるレンズに仕上がっている。ただ1点注文をつけるとするならば、ズームリングを回した時の微細な異音が気になった。レンズ設計に明るくない筆者が言う戯言ではあるが、グリースなどを塗布してスムーズさや適度な抵抗感を生み出せたら、なお高級感が演出できたのではないかと考えてしまう。

沈胴式

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上:鏡筒収納時 下:撮影時

このレンズは沈胴式になっている。持ち運びする際は縮めてコンパクトに、撮影する際は伸ばして使う。筆者は小さめの鞄に入れて持ち歩くことが多いので、メリットを感じる機会が多かったが、毎回伸ばしてから使うひと手間を苦手とする人も多いかもしれない。 ただ、このレンズはコンパクト軽量をであることを第一に考えられているので、沈胴式という選択はベストだったと感じた。

実際に使用していくと、撮影ポジションまで伸ばすひと手間も手間と感じることは少なくなってきた。望遠端まで伸ばした後にテレ端18mmまで縮めた際も、収納ポジションまで縮めすぎることもなく、18-40mmの範囲内で問題なく使用できた。絶妙な抵抗感が沈胴式のデメリットを軽減している。

スチル・動画性能

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34mm F5.9開放 ピントが合うところはシャープに、ボケている部分はソフトフィルターをかけたような柔らかい表現になる
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34mm F5.9開放 ソフトな表現になりつつも毛の1本1本が解像されているのが見える
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40mm F13 ここまで絞ると全域が締まった感じになる
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40mm F22 光芒は少しやかましく感じる。ゴーストなどは出にくいと感じた
気軽なスナップレンズとして、コスモスひまわり撮影や近所のお寺などに持ち出してみた。 写りとしては開放からF8程度まで絞ってもソフトな印象がある。決して解像されていない訳ではなく、電線などもしっかり描写されているが、薄いソフトフィルターを用いたような描写になった。 さらにF13くらいまで絞ると、コントラストの高い締まった画になった。

他のLUMIXレンズでもよく見られる描画特性だが、ソフトな描写が得意なように見受けられる。風景など撮るならある程度絞った方が良い結果が得られやすく感じた。使う人の好みが分かれる部分ではあると思う。

動画撮影時のAF追従に関してはカメラ性能によるが、LUMIX S9ではスムーズかつ的確に被写体を捉えていた。元々絞り開放でもF4.5-6.3とそこまでシビアではないのでピントも外しにくく、まだ一眼カメラに慣れていないビギナー層にも扱いやすいレンズだと思う。 フォーカスの動作音に関してもほぼ無音と言っていい。このあたりの作りはLUMIXらしさを感じた。

ハイブリットズームとの併用

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左からハイブリットズームXS、S、なし

今回スナップに使用したLUMIX S9には、ハイブリットズームという機能が搭載されている。 光学ズームとデジタルズームを融合した機能で、ズームレンズ広角側の場合は、デジタルズームはOFF。そこからズームしていく量により、合わせてデジタルズームをかけていき、最終的な望遠端側に到達した時点で、設定した最大倍率のデジタルズームが効く機能となっている。

18-40mmのレンズの場合、最大18-120mmでの撮影ができるが、スチルでの画質を担保したい場合は2倍(80mm)までに制限しておきたい。それでも18-80mmと広角から中望遠まで使えるので、スナップカメラとしては十分楽しめるレンズになってくれる。

総括

広角側が18mmスタートと広めの撮影ができ、望遠側は40mmと少し控えめではあるものの、先にお伝えしたハイブリットズームとの併用で120mmまでの撮影を可能としたこのレンズ。軽量コンパクトな事も相まって、非常に使いやすいレンズとなった。

筆者としては作品撮りをするのであれば、他にも候補となるレンズはあると思うが、気軽なスナップレンズとしては現状あるLUMIXのラインナップの中で考えると、手に取りたくなる1本になったのではないかと思う。

「LUMIX S 26mm F8」も軽量コンパクトではあるが、ズームしたい時やボケ感のある撮影をしたい時に使いにくさが出てしまう。そんな時に本レンズであれば、カバンの中でもそれほど邪魔をせず、気軽に持ち出せる選択肢になったのではないだろうか。 LUMIXはこれで軽量コンパクトなズームレンズのラインナップが完成されたと思う。この後はぜひロードマップにはまだないSPROの広角ズームレンズの拡充を個人的にお願いしたい。

あきあかね

1977年生まれ。本業の傍ら2020年よりYouTubeにて映像作品や製品レビュー等を発信している。
近年では副業として企業VP制作や自治体からの依頼で映像制作や配信業務を請け負うサラリーマン映像作家として活動中。

WRITER PROFILE

編集部

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。