iPhone 16 Pro Maxがリリースされてから早1カ月と少し。カメラコントロールボタンの追加、低照度下での撮影の強化、4K120fpsの撮影、超広角レンズの4800万画素化、空間オーディオとステレオ録音など、目新しい機能が増えました。
今回はiPhone 16 Pro Maxを編集部からお借りし、早速さまざまな作品を制作してきたのでまずはこの2つの映像をご覧ください。
Directed, Shot and Edited by takumifone
東京感性-Night cruise (Official Lyric Video)
Directed, Shot and Edited by takumifone
※どちらもメインカメラの1倍レンズのみで撮影。
よく使うカメラ設定に素早くアクセスできるカメラコントロールボタン搭載
カメラコントロールボタンはiPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro MaxのみならずiPhone 16シリーズ全てに新しく追加されたカメラ用のボタン。タッチセンサー式のボタンなのですが、純正カメラアプリ上では「露出」、「被写界深度」、「ズーム」、「レンズ」、「スタイル」、「トーン」を変更できます。ただ、正直このボタンは自分は使わないかなと思います。
というのも、上の画像の通り、iPhoneをシネマカメラのように使用しようとすると、リグやマイクをiPhoneに装着してしまうので、カメラコントロールボタンに触れることができないんです。とはいえ、これは僕の場合なので、iPhoneを裸で使うことが多い人にとって、カメラコントロールボタンは直感的にカメラを操作できる優れたインターフェースだと思います。
低照度下での撮影
去年からiPhone 15 Pro Maxを使用してさまざまなお仕事に関わらせていただきましたが、iPhone 16 Pro Maxを最初に使ってみて思ったのは、iPhone 15 Pro Maxと比べて低照度下でのノイズが減ったかなという点。
iPhone 15 Pro Maxで撮影した作品集
iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro MaxではソニーのIMX803というセンサーをiPhone 14 Pro、Pro Maxから引き続き使用していると言われていましたが、今回はどうやらその後継のIMX903を使用しているみたいです。
iPhone 16 Pro & Pro Max Internals
— TECH INFO (@TECHINFOSOCIALS) September 22, 2024
Display: Samsung
◻️ Hardwares:
SoC: Apple A18 Pro
RAM: Micron 8GB LPDDR5X
ROM: Kioxia 1TB NAND
Modem: Qualcomm X71
Camera:
Main: 48MP IMX 903 1/1.3"
Ultra-wide: 48MP IMX 972 1/2.55"
Telephoto: 12MP IMX 913 1/3.2"
(1/3) pic.twitter.com/BS8VB2Luin
どちらの映像もDaVinci Resolveでカラーグレーディングをしていますが、ノイズが少なく驚きました。
ちなみに前述の2つのリールでは、最近Amaranから新しく発表されたコンパクトライト、Amaran Ace 25xを使用しています。
4K 120fps
iPhone 16 ProシリーズでMV撮影を通して大々的に発表されたのがこの4K 120fpsの機能。Appleでは伝統となりつつある有名アーティストのMVをiPhoneで撮影するシリーズですが、去年のOlivia Rodrigoから続き、今年はまさかのThe Weekndという豪華布陣です。
このMV、曲がすごくいいのはさることながら、低照度、スローモーション、というiPhone 16 Pro Maxの2つのポイントをよくまとめていると思います。通常、カメラではfpsの数値が上がると1フレームに取り込める光の量が減るので画が暗くなります。なので前述のMVではまさにカメラにとっては厳しい環境なわけで…。それでもしっかり撮影できているiPhone 16 Pro Maxは進化したと言えるのではないでしょうか?後述の映像作品の制作の際に役に立ったのですが、iPhone 16 Pro Maxの写真アプリ上で映像のfpsを簡単に変更することができます。
映像のタイムラインを指で直感的に操作して、好きなタイミングで映像のfpsを変更できます。
写真アプリで編集した映像をそのままAirDropして、Macで編集することができます。ちなみにこの編集自体はiPhone 15 Pro Maxなど他のiPhone上でも可能です。
超広角48MP
また、iPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Maxからは超広角レンズが4800万画素になりました。これはもちろん、iPhone 16 Proシリーズでは高画質の映像や写真が超広角レンズでも撮影できるようになったことを意味しますが、同時にカメラの仕組み上、高画素化は感度の低下を意味します。つまり、低照度下の撮影がiPhone 16 Proシリーズの超広角レンズの場合少し苦手になったかもと言えるかもしれません。
空間オーディオとステレオ録音
新型iPhoneが発表される度、iPhoneで映像を作るiPhoneographerとしてはカメラやレンズの進化に目が行ってしまいがちなのですが、なんと今回のiPhone 16 Proシリーズからは空間オーディオの録音が可能になりました。
iPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Maxの上記の設定画面で「空間オーディオ」を選択すると、純正カメラアプリで撮影した素材は写真アプリの編集画面で音の種類の選択をすることができてしまいます。
純正カメラアプリで撮影され、空間オーディオが収録された映像を写真アプリで編集すると、オーディオミックスという項目があるので、そこで「標準」「フレーム」「スタジオ」「シネマティック」と4つのプリセットから選択することができます。
簡単に説明すると「フレーム」は映像内の人物の音声を背景から分離。「スタジオ」はまるで静音マットが貼られたスタジオで録音されたようなエフェクトを音声に追加、反響音を抑えてくれます。「シネマティック」はその名の通り映画の如く人物の音声を前に配置し、環境音を周りに配置してくれます。
また、それぞれのプリセットはそのエフェクトの度合いを調節することができます。この機能はTikTokなどの縦型ショート動画でドラマなどを簡単に撮影したいという人にとても役に立つのではと思いました。また、空間オーディオの録音はiPhone 16 ProもしくはiPhone 16 Pro Maxでしかできませんが、編集自体は前世代のiPhone 15 Proなどでも可能です。
まとめ
といった感じで、iPhone 16 Pro Maxを1カ月ほど使い倒したレポートでしたが、いかがでしたでしょうか?一見するとあまり進化をしていないように見えるiPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Maxかもしれませんが、使ってみると確かに進化しているのが分かるデバイスでした。最後に、iPhone 16 Pro Maxを使用した映像を撮影してみたので、ご覧いただけますと!では!
山﨑拓実|プロフィール
映像制作Mc代表。1998年生まれ、明治大学国際日本学部卒。日英バイリンガル。新卒で太陽企画株式会社に入社した後、フリーランスのiPhoneographerに。現在はBusiness Insider Japan、Gizmodoを運営する株式会社メディアジーンに所属。Business Insider Japan、Gizmodoの映像・記事制作を行いつつ、個人の兼業でのPV、MV制作、配信なども行っている。https://mc19851026.org/