
イントロ
もうスマホでいい。もうスマホで十分撮れる。
そう口にしてから何世代更新されただろうか。それでも発売する度、スマホは進化を繰り返してきた。「Xiaomi 14 Ultraから大きな変化はないらしい」そんなネガティブな前情報が多い中、Xiaomi 15 Ultraを手にすることになったゆえにレビューには少しのためらいがあった。
Xiaomi 14 Ultraで感じたXiaomiとLEICAの本気。描写された一枚一枚にそれは確かに映り込んでいたように感じたが、さて今回はどうだろうか。

こだわりの Photography Kit
慌ただしいスケジュールの中でXiaomi 15 Ultra Photography Kit Legend Edition が手元に届いた。中一光学もそうだが、Xiaomiにも通底する、欧米の簡素で環境に配慮したパッケージ。その斜め上をいくようなネーミングとパッケージが嫌いではない。ちょっと期待してしまっている自分にいつも気付かされる。

Kitの進化のポイントはサムレストが追加されたことだろう。こういった使いやすさや撮影体験の向上をケアする姿勢には好感を持てる。本体がシックな仕上がりな分、Kitレンズのビビッドな色使いが際立つ。このあたりは好みが分かれるだろう。

気のせいかもしれないが、Xiaomi 14 Ultraよりもバッテリーの消耗が早いように感じることもあり、グリップ兼バッテリーとして機能するこのアタッチメントのありがたみも増したように感じる。
使ってこそ感じる着実な進化
電源を入れ最低限の設定を済ませる。
ネガティブな情報が刷り込まれていたせいか、余計に試してみたくなるものだ。身の回りで被写体になりそうなものを見繕い、Xiaomi 15 Ultraのカメラを立ち上げ早速シャッターを切りはじめる。
スマホで撮影する場合は、手持ち撮影が基本だったこともあるかもしれないが、ミニ三脚にセットしながら、ここまで寄れるのか…と声が漏れた。

撮影倍率をレバーで切り替え、露出をダイヤルで微調整しながら撮影を続ける。
センサーサイズは変わらずだが、新しい画像処理エンジンにより暗部の階調がさらに豊かになったというのは間違いなさそうだ。Xiaomi 14 Ultraでは、黒つぶれしていたであろう部分に微細なディテールが浮かび上がる。ここまで安心して物撮りにのぞめるスマホがかつてあっただろうか。



新たに搭載されたペリスコープ望遠レンズ。100mm 200mm 400mmと次々に被写体を追い込んでみる。本来なら屋外での遠景撮影に真価を発揮するのかもしれないが、物撮りでもその凄みに触れることができた。いや、むしろ積極的にこの性能を生かしたテーブルフォトを撮ってほしいとさえ思う。素晴らしい描写性能だ。
作例
室内での描写に驚きつつ街へも繰り出してみた。ここでいくか作例を見せながら描写性能を伝えたい。


あくまで個人的な感想だが、屋外では200mmまでの描写が特に心地よかった。ハイライトとシャドウの描写に改めて驚かされた。

撮っていて感じたのが手ぶれ補正の効き具合だ。これも素晴らしかった。どう表現していいのか難しいのだが、スマホで望遠撮影をしている時に感じたことのない、安定したライブビューがそこには映し出されていた。
これが新しい「デュアルOIS+EIS」システムの恩恵なのか、これがなければここまで安定した望遠撮影はできなかったと感じる。Xiaomi 15 Ultraの進化は、特にこのダイナミックレンジの向上、望遠性能の強化、そして手ぶれ補正の安定性にあった。
もちろん広角側の描写も十分に優れている。この冬最後の雪景色に偶然に立ち会うことができたが、イメージのままに撮り納めることができた。お弁当も美味しそうに写せて満足である。



LEICAのカラーモードとフレーム
Xiaomi 15 Ultraは、LEICAの色再現をさらに強化し、「LEICA Authentic」と「LEICA Vibrant」の2つのカラーモードを搭載している。前者はフィルムライクな深みのあるトーン、後者はデジタルらしい鮮やかさを持つ。今回もLEICAのカラーモードを使ってのみ撮影しているが、好みに応じて選択できるのが嬉しいポイントだ。
LEICA専用の透かしやフレームを適用できる機能も用意されている。クラシカルなボーダーやフィルム調のエッジを加えることで、作品としての完成度を高めることができる。



スナップシューターの新たな一台として
最新の高性能なスマホ好きには間違いなく自信を持って進められる一台だろう。
一方で、メーカーの設定した今回のターゲットが誰かは別として、個人的にはスナップシューターに新鮮な気持ちでこのスマホを手に取ってほしいと思った。本来、高性能なコンデジやコンパクトなボディと単焦点で撮ることが多いであろうスナップシューターに、従来にない画角・構図・意図を、手のひらに収まるこの一台と閃いてほしいという想いだ。




まとめ
2世代続けて使ってみると、Xiaomi 14 Ultraが先駆者としての役割を担い、Xiaomi 15 Ultraで新機能を盛り込みつつも一気に成熟させてきたように感じる。LEICAのブランド力に頼りすぎない、Xiaomi のスマホづくりへの哲学も垣間見た。
新機種というと新しい機能がもてはやされがちだが、今回のXiaomi 15 Ultraのように使って感じられる安定感のある進化こそ評価したいと思う時がある。Xiaomi 15 Ultra はXiaomiのスマホづくりへの哲学と機能性の進化がちょうど良いバランスで融合した一台であった。



宮下直樹(TERMINAL81 FILM)|プロフィール
フリーランスのフォトグラファー・シネマトグラファー
写真・映像、ドキュメンタリーから空撮まで。
視覚表現の垣根を超えた小さな物語を縦横無尽に紡ぐ。
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