DJIのコンシューマ向けドローンはMavic、Air、AVATAなどターゲット層別に様々なシリーズが展開されているが、その中でもエントリー層向けシリーズの"Mini"の一部が今回"Lito"としてリニューアル。
そしてLitoシリーズ初のドローンとして今回Lito 1、Lito X1がリリースされた。
この2機種は特に空撮用ドローンの完全初心者に向けた製品になっている。
〈Litoシリーズとは?〉
今回Miniシリーズの中からLitoに置き換えられるのは、DJI Mini 5 Proのような"Pro"の名を冠していないもののみ。
現行のMiniラインナップの中ではDJI Mini 3、DJI Mini 4Kが該当し、これらのエントリー向け製品群がLitoとしてリニューアルされる。"Pro"がつかないMiniシリーズは終了するが、Mini "Pro"のシリーズは今後もアップデートされていくとのこと。
ちなみにLitoは‘ライトウ’に近い発音だ(リトではないらしい)。
さて、Lito 1、Lito X1の違いはざっくりとこんなところ。
- 障害物回避性能:Lito X1>Lito 1(Lito X1は前方LiDARセンサー搭載)
- センサーサイズ:Lito X1>Lito 1(X1は1/1.3インチセンサー、1は1/2インチセンサーを使用。ただしどちらも4K動画および8K写真の撮影に対応)
- カラーモード:(Lito 1はノーマルのみ。Lito X1はD-Log M対応)
- 内蔵ストレージの有無:(Lito 1はなし)
実際に使用してみて、どちらもこれから空撮用ドローンの世界に足を踏み入れるユーザーにうれしい機能が盛りだくさんな、コスパの高い機体だと感じた。
本記事ではこれらを他機種との比較も交えながら紹介していこうと思う。
パッケージ内容と外観
今回のレビュー品は2つ。
・DJI Lito X1 Fly Moreコンボ(DJI RC2)
・DJI Lito 1
販売されるラインナップと価格は以下のようになっている。
- DJI Lito 1:47,520円
- DJI Lito 1 Fly Moreコンボ(DJI RC-N3):69,300円
- DJI Lito X1:54,450円
- DJI Lito X1 Fly Moreコンボ(DJI RC 2):95,700円
- DJI Lito X1 Fly Moreコンボ Plus(DJI RC 2):108,900円
ちなみに2機種の見た目は折りたたんでしまうとほぼ同じであるが、カラーリングが若干X1のほうが濃いめのグレーとなっている。
重量についてはどちらも249g以下を謳っていて、実測値はどちらも248gだった。
海外では249g以下のドローン規制が比較的緩やかな地域もあるため、海外旅行等で使用する際には便利だ。ただし日本国内は100g規制のため要注意で、必要な手続きは後の項目で解説する。
2機種の違い
・カメラ機能
今回の2機種はカメラのセンサーサイズが異なり、Lito X1は1/1.3インチセンサー、Lito 1は1/2インチセンサーを使用。また焦点距離も異なり、Lito X1が24mmに対してLito 1は26.2mmと若干画角が狭くなっている。
撮影仕様は2機種どちらも4K/100fpsまで対応。ただしカラーモードはLito 1がノーマルのみ、Lito X1だけがD-Log Mにも対応している。グレーディングを行いたいクリエイターにとってはX1が有利。
・障害物検知
Lito 1、Lito X1どちらも全方位障害物検知機能が備わっている。これは機体上下の全方向単眼ビジョンシステムによるもので、5ルクス以上の明るさが確保された環境で機能する。おそらくDJI Neo2で採用されたものと同等なセンサーだと思われる。
旧上位モデルのMavic 3 ProやMini 4 Proはセンサー動作環境として15ルクス以上の明るさが必要であるのに対して、より暗所での飛行に安定性があって初心者にも優しい。
Lito X1にはさらに前方LiDARセンサーが搭載されている(ジンバルカメラ上の2つ)。これにより日中のみならず夜間飛行時の障害物検知も(前方のみ)可能になっている。夜間のリターントゥホームでの安心感はX1が優位だ。
ちなみにLito 1はこの部分が通気口?になっている。
全方位障害物検知機能を活かしたPOIやActiveTrack 360°といったインテリジェントトラッキング機能もとても便利で、特に初心者にとっては障害物にぶつからずに被写体を追い続けてくれることで空撮のハードルが大きく下がることと思われる。
・飛行性能
2機種とも最大飛行時間は36分、耐風速10.7m/sなど、飛行性能に関しては同じスペック。
どちらも最新のO4伝送に対応し、日本国内では最大8kmの伝送距離である。リターントゥホーム機能もしっかりと動作し、実際に検証してみたところ誤差数センチレベルで帰還することができた。
RTHへの過信は禁物だが、初心者にとってこの機能はなくてはならない精神安定剤的なものとしてありがたいところだ。
・細かい部分
〈バッテリー〉
2機種はとても似た見た目をしているが、バッテリーに関しては互換性がない。試しに入れ替えてみたところ、電源ONにはなるがアプリ上でエラーが出て離陸できないというメッセージが表示された。
ただLito X1の充電ハブでLito 1のバッテリーを充電することは可能だった。しかしこれは公式で推奨されている情報ではないため要注意だ。
一方、DJI Lito シリーズ インテリジェント フライトバッテリー Plusについては、Lito 1、Lito X1双方に互換性があり、どちらも最大飛行可能時間を36分→52分に延ばすことができる。基本的にDJI Lito"シリーズ"と記載があるものについてはシリーズ内で互換性があるようだ。
〈ストレージ〉
2機種どちらもマイクロSDカードスロットを有しているが、Lito X1のみが内蔵ストレージ42GBを搭載しており、マイクロSDカードなしでも記録が可能。カードを忘れて撮影できない…というありがちなミスを防止できるのはありがたい。
最近のDJIドローンと同様に、機体電源オフの状態でもパソコン等にUSB-C接続すればメディア認識してくれるのも良い点だ。
そしてLito 1もSDカードを挿した状態でPCにUSB-C接続すると、直接SDカード内のデータを閲覧することができた。よってLito 1はSDカードを挿しっぱなしで運用するとカード忘れのストレスから解放されて良いかもしれない。
飛ばすまでの手続き
日本でドローンを飛ばすまでの基本的な手続きを、シンプルなフローチャート形式でまとめます。
スタート
↓
(1) 機体の確認
├─100g以上?→YES→(2)へ(今回はこちら)
└─NO→航空法の規制対象外(一部ルールのみ注意)→飛行へ
↓
(2) 機体登録(必須)
├─未登録→登録する(DIPS2.0)(今回はこちら)
└─登録済→(3)へ
↓
(3) リモートID対応確認
├─非対応→外付け機器 or 適用除外確認
└─対応済→(4)へ(今回はこちら)
↓
(4) 飛行場所の確認
├─空港周辺 / 人口集中地区(DID) / 高度150m以上?
│ ├─YES→許可申請へ((5))
│ └─NO→(6)へ
↓
(5) 国土交通省へ許可・承認申請
├─承認取得→(6)へ
└─未取得→飛行不可
↓
(6) 飛行方法の確認
├─夜間飛行 / 目視外 / 人や物件30m未満?
│ ├─YES→承認必要((5)へ)
│ └─NO→(7)へ
↓
(7) その他ルール確認
├─小型無人機等飛行禁止法(重要施設周辺)OK?
├─自治体ルールOK?
├─土地所有者の許可OK?
└─OK→(8)へ
↓
(8) 飛行前チェック
├─バッテリー・機体点検
├─天候確認
├─周囲の安全確認
└─OK→飛行
↓
ゴール(安全に飛行)
基本的にドローンを飛行させるすべての人に必要なのが上記フローチャートの(3)までの対応だ。
そしてよくあるミスとしてリモートIDの書き込みを忘れることが挙げられる。DJI FlyアプリからDIPS2.0に連携して書き込みができるので、機体登録を済ませたらすぐにこちらも対応しよう。
(4)、(7)の確認で便利なのが下記のサービス。
https://droneflightnavi.jp/
他機種との比較
似た価格帯のDJI Flip、上位機種であるDJI Mini 5 Proと画質比較を行ってみた。すべて4K60pで収録している。
カタログスペック上はLito X1とMini 5 Proが最大14ストップのダイナミックレンジをもつとのこと。
実際の映像ではダイナミックレンジの広さは、
DJI Mini 5 Pro ≒ DJI Lito X1 > DJI Lito 1 > DJI Flip
筆者はこのように感じた。
Lito 1がセンサーサイズが一番小さいとはいえ割と健闘している。
ちなみに発売時には専用NDフィルターがまだないが、Lito X1にはDJI Flip用のものがシンデレラフィットした。
Flipのセンサーサイズも1/1.3ということもあり、Lito X1は同じカメラユニットなのではないかと推測するが、画像処理能力向上により画質が改善されているのかもしれない。
所感
エントリー層向け最新機
冒頭にも述べたように今回の2機種は既存のエントリー層向けドローンであるDJI Mini 3、DJI Mini 4Kを置き換えるためのものだ。既存2機種は伝送方式がO2という2世代前のものであることから、最新のものに置き換わることでプロポなどの互換性が上がるのはユーザーにとってもうれしい。
例えば初心者が今回のLitoとDJI RC2のセットを購入したあと、ステップアップのためAir 3やMavic 4を機体単体購入してもプロポは使いまわすことができる。
これからドローンを始めたいクリエイターや一般層に適した製品に仕上がっていると感じた。
Litoシリーズについて考察
今回Miniシリーズから独立する形で新たに登場したLitoシリーズだが、その誕生にはMini(Pro)の性能向上が関わっていると感じた。先日発売したMini 5 Proをレビューした時にも感じたことだが、もはやプロ用機材に近いレベルに達している。
Litoはカメラや空撮初心者に向けて、Mini(Pro)はエントリーレベルを超えてカメラ知識がある空撮初心者や空撮経験者、そしてMavic等のプロ機材のサブとして、といった感じで今後うまく棲み分けしていくのだろう。
藤倉昌洋|プロフィール
新潟県在住のドローンオペレーター。株式会社NK2-Tech代表。YouTuber「NANKOTSU」としてドローン初心者向けの情報を中心に配信中。





