キヤノンは、フルサイズミラーレスカメラEOS R6 Vと同時に、RFマウント初となるフルサイズ対応パワーズームレンズ「RF20-50mm F4 L IS USM PZ」を発表した。
20mmから50mmまでをカバーするF4通しの標準ズームでありながら、全長固定設計とパワーズーム機構を採用。動画撮影を強く意識した設計が特徴だ。
高性能なLレンズでありながら、質量はわずか約420gと気軽に持ち出せる。日常の何気ない瞬間を、これまで以上に美しく残せる可能性を秘めた1本だ。実際にEOS R6 Vに装着して使ってみると、その魅力はスペック表だけでは語れないことに気づいた。新しい標準ズームの実力を、実写を通して確かめてみた。
動画時代の新しい標準ズーム
RF20-50mm F4 L IS USM PZは、キヤノン初のフルサイズ対応パワーズーム搭載RFレンズだ。アクセサリーを必要とせずに電動のズーミングができる。動画撮影では、ズーム速度を一定に保ちながら滑らかに画角を変化させられることが大きなメリットだ。
パワーズームに加えてマニュアルズームにも対応。ズームリングは軽く滑らかに動作し、20mm、28mm、35mm、50mmといった狙った焦点距離へ素早く合わせられる。従来の動画向けレンズでは、写真撮影時の操作性が犠牲になることも少なくなかったが、本レンズはそのあたりも隙がない。動画と写真のどちらも快適に撮影できる、新しい時代の標準ズームといえるだろう。
ただし、一般的なRFレンズと比べるとズームリングの回し心地はかなり軽いので、人によってはリングが緩すぎると感じるかもしれない。 なお20mm~50mmまでズームリングを回してもレンズの前玉が繰り出すことがなく、全長固定の構造となっている。レンズの自重で勝手に焦点距離が変わってしまう心配はない。
主な仕様
- 焦点距離:20-50mm
- 開放F値:F4
- レンズ構成:11群13枚
- 絞り羽根:9枚
- 最短撮影距離:0.24m
- 最大撮影倍率:0.33倍(50mm時)
- 手ブレ補正効果:6.0段(レンズ単体)、8.0段(ボディ協調制御時)
- フィルター径:67mm
- 外形寸法:約79.9×98.4mm
- 質量:約420g
発売日は2026年6月26日。キヤノンオンラインショップでの価格は税込213,400円となっている。
20mmと50mmで描き分ける多彩な映像表現
本レンズを使って最も印象的だったのが、20mmスタートという焦点距離だ。今回はEOS R6 Vに装着し、紫陽花が咲く街並みを散歩しながら、雑貨店やカフェで撮影を行った。
20mmの画角は、街並みや建物の内観の撮影はもちろん、Vlogや自撮りにも使いやすい。24mmスタートの標準ズームでは少し窮屈に感じる場面でも、20mmなら余裕を持ってフレーミングできる。
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特に旅行やイベントでは、20mmというすこし広めの画角の恩恵を強く実感した。普段は自撮りをしない人でも、旅先で友人や家族と一緒に写真を撮る機会は多いだろう。20mmなら、背景をしっかり取り込みながら複数人での撮影がしやすい。高画質なフルサイズカメラで撮る記念写真は、それだけで特別な思い出になるので、ぜひ肩ひじ張らずに撮影を楽しんでもらいたい。
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20mmと同じくらい特に多用したのがこのレンズの望遠端である50mmだ。標準画角となる50mmは被写体を際立たせたい場面で主力になるほか、本レンズの優れた近接撮影性能を活かして小物などのディティールを記録したい際に活躍する。最短撮影距離24cm、最大撮影倍率0.33倍と料理や雑貨などを印象的に撮影しやすい。
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個人的には20mmと50mmでメリハリをつけながら、間の28mmや35mm付近でカットのバリエーションを確保するような使い方が便利だった。一本のレンズで、日常のほとんどのシーンをカバーできて非常に汎用性の高いレンズだ。
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描写性能は、さすがLレンズといえる完成度だった。描写傾向をひと言で表すなら「シャープさと柔らかさを両立した上品な描写」だ。
ピントが合った被写体はしっかりと精細に描写される。紫陽花の花びらや葉脈の細かな質感も丁寧に再現されていたのが印象的だった。
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近接撮影ではやわらかい印象になりやすい。クリアに記録したい場合は絞り込むことをおすすめする。ふんわりとした表現もキリッとしたシャープな表現にもどちらにも対応できるので、被写体や自分の好みに合わせて絞りや距離感をうまく調整したい。
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高級レンズなのに、気軽に持ち出せる
Lレンズと聞くと、大きく重たいというイメージを持つ人も多いだろう。しかし、RF20-50mm F4 L IS USM PZは約420gと軽量だ。EOS R6 Vと組み合わせても負担は少なく、散歩や旅行にも気軽に持ち出せる。
特に印象的だったのが、片手での扱いやすさだ。強力な手ブレ補正により、写真も動画も安定して撮影できる。片手がふさがっている場面でも、気軽にシャッターを切れる安心感がある。
また、パワーズームの操作性も優秀だ。レンズのズームリングやカメラ側のズームレバーを使えば、滑らかで繊細なズーム操作が可能。ズーム速度の調整もできて、自然なズーム演出を取り入れられる。
ズーミング時に鏡筒が伸びない全長固定設計も大きな魅力だ。重心変化が少ないため、ジンバルとの相性も良好。小型ジンバルでもバランスを取りやすく、動画撮影の自由度を高めてくれる。
従来の標準ズームとは何が違うのか
動画用途で考えると、従来の標準ズームにはそれぞれ課題があった。
例えば「RF24-105mm F4 L IS USM」は、幅広い焦点距離をカバーできる一方で、700gと重量があり、24mmでは自撮りやVlog撮影に少し物足りなさを感じることがあった。どちらかというと写真用途で使いやすい標準ズームだ。
他には「RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZ」も動画用の標準ズームレンズとして人気だ。こちらは小型軽量で扱いやすく、動画向けパワーズームにも対応するが、APS-C専用であることに加え、ズームによって開放F値が変化する。暗い場所での撮影や、背景をぼかした表現では、フルサイズ機との違いを実感しやすい。
RF20-50mm F4 L IS USM PZは、F4通しの使いやすさ、軽量でコンパクトな全長固定設計、パワーズームという特徴を兼ね備え、これまでの標準ズームの弱点を解消した存在だ。自撮りにも使いやすい20mmの広角から、近接撮影に強い50mmまでカバーしてくれるので、日常使いであればほとんどのシーンに対応できる。標準ズームに任せたい汎用性の高さが光る一本だ。
価格は決して安くない。しかし、画質や操作性の違いは、実際に使えば誰でも実感できるはずだ。
まとめ:プロ品質を日常に持ち出せる、新しい標準ズーム
RF20-50mm F4 L IS USM PZは、仕事で映像制作を行うクリエイターはもちろん、趣味で映像制作を楽しむ人や、旅の記録や日常Vlogをより高品質に残したい人にもおすすめしたいレンズだ。
個人的には旅行で動画をきれいに撮りたいときにEOS R6 VとRF20-50mm F4 L IS USM PZの組み合わせが理想に感じる。動画性能に関して妥協することなく機材を小型軽量化できるので、旅のようなすこしでも荷物を減らして機材をまとめたい場面に重宝するに違いない。
高級なLレンズでありながら、気負わず持ち出せる。RF20-50mm F4 L IS USM PZは、わたしたちの暮らしをより美しく残すための新しい標準ズームとして、多くのユーザーに支持される一本になりそうだ。
作例映像と、実際にEOS R6 VとRF20-50mm F4 L IS USM PZを使用した所感についてまとめた動画を用意したので、ぜひご覧いただきたい。冒頭の2分半ほどの作例ムービーのところだけでも参考にしていただければ幸いだ。
尾田章|プロフィール
カメラのある日常の楽しさを発信する"くらしフォトグラファー"。カメラ機材の使い方、写真の撮り方などをYouTube、運営ブログ「KOBE FINDER」にて"Aki"として初心者にもわかりやすく解説。

